◇1
有無を言わさず押し付け、去っていた…竜人の少年を置いて
少女が目をグルグル回しながら状況を必死で確認しようとしていたら少年のほうが声をかけてきた
「なまえ、君の名前」
少年は少女の名前を聞きたいらしい
「…………………きみは?」
「…ないよ、君もないの?」
「うん」
少年はもう一つ質問をした
「そう
ねぇ、君は怖くないの?
俺はまだ幼い竜だけど、竜人だ」
「まちの、ひ…とのほうがわ、わたしはこわい
あ、なたはわからないけど…いま、わたしをしいたげない、いやなめでわたしをみない」
町の人たちにされた行為を思い出しているのか酷く怯えながら
不安を取り払おうとしながら少女は必死に言葉を紡ぐ
「そんなこと、しない」
少年はそんな少女を安心させるように優しく陽だまりに咲く向日葵のような暖かい笑顔を少女に向けた
少女は少年の笑顔のおかげで落ち着いたようでそれに応えるようにぎこちないが嬉しそうな笑みを浮かべた
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「さっきのひともくろいかみ…だった
めはくろかったけど…あのひとはなに?」
[さっきのひと]とは少年を連れてきた青年のことのようだ
「あの人は、魔を統べる王だ
魔の上に立ち
魔を愛し
魔の為に動く
魔であることに誇りを持たせてくれる素晴らしいお方
…らしい」
少年は実際に青年の凄さを垣間見たわけではないので、風の噂で聞いたことをそのまま少女に伝えた
やはり、というべきか少女は理解できていなかった
勿論、少年も意味などは分からなかった
次の次からは旅に出ると思います!
閲覧ありがとうございました~