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「赤い赤い瞳の少女、黒い黒い髪の少女
君はそんなに嫌われちゃって、楽しいかい?嬉しいかい?
それとも悲しいかい?哀しいかい?」
歌うように青年は言う
無表情で少女は答える
「たのしくないうれしくない
かなしくないかなしくない
そんなことばをわたしはしらない
あなたはだれ
わたしのしをじゃまするひと?」
少女の言葉に青年はクスクスと笑う
「そうだね…別に君の死を邪魔するつもりはないよ
ただ遅らせようとしてるだけ
君には頼みごとがあるんだよ」
「しらないしらない、あなたはしらないひと
だからききたくない」
少女は拒絶する
「まぁまぁ、そう言わずに
君と同じで黒い髪に赤い瞳、しかも最も嫌われる黒い竜人だよ
この子と一緒に住んでほしい
期間は十年」
「りゅう、じん…?」
いつの間にか青年の足には少女と同じくらいの少年がしがみ付いていた
少年の少女と同じ黒い髪と赤い瞳以外特徴となるところを挙げるとすれば
包帯で左目・首・両腕・両足を巻いている点と右頬の部分が若干鱗で覆われているところだろうか
「知らない?幼少期は人の姿をとって人と共に生活する奇抜な種族さ
僕が君たちを助けられたらいいんだけど
僕はそこまでこの子に手を貸しちゃいけないんだ」
「なんでわたし、わたし…わ、わたしにちかづかないで
くろをもつひとはきらわれるあかのめをもつひとはきらわれる
りょうをもっているひとはもっときらわれる
わたしといるとやくがうつってしまう
ちかづかないで」
少女の言葉に青年は笑顔になる
「優しいね、君は
ここは十分な食物もないだろうしね
だから、君たちはここ、晴の国から隣の隣、森の国に行ってもらうよー
準備だってばっちりだ!」
そういって、青年がコートの中からだした小さな袋からありえないくらい沢山の道具を取り出した
「衣類一式と移動の為の杖とか~
このフード晴の国にいるまではフードを深くかぶっていてね!
後はお金が入ってるから、まぁ頑張ってね!」