協力
お久しぶりです!!
ようやくテスト期間が終わり書く時間がとれました。
急いで書いたので誤字脱字があるかもしれません。
その場合は御連絡下さい〜。
では本編の方をどうぞ!!
「…えっと。話をまとめると、八年前行方不明になったお姉さんの手掛かりを求めて高見原に来たと?」
顔を真っ赤に染めたまま彩は、視線を外したままコクンと頷いた。
あまりの事に気まずくなった彩が、話を変えるべく話しはじめた身の上話。
気まずいのは誠一も一緒で、顔を壁の方へ向け受け答えをしていた。
実の所、顔が真っ赤なので顔を合わせづらいのは誠一も一緒だったりする。
高見原市岩戸町三丁目 『児童養護施設・森ノ宮』103号室
気まずい雰囲気の中、誠一は似たような話を最近聞いたなと頭を捻る。
行方不明とかそう言う話…と誠一が考え込むとふと腐れ縁の七瀬桂二の顔が思い出される。
「ああ、そっか。七瀬から似た話を聞いたっけ」
「似た話?」
「いや、似た話と言うか行方不明ってのが共通点の話を、良く聞くんだ。最近じゃ隣のクラスだったかな? 篠崎って女の子がこの間から行方不明って聞くけど…なあ、まさかと思うけど…」
誠一の言う通り、最近の高見原において行方不明事件が多発していた。
噂好きの自称情報屋の友人がいる誠一にはそんな話しがよく耳に入る。
そんな中で昨日の襲撃。
一つの予想が、誠一の頭に浮かび上がる。
「最近の行方不明事件の原因ってあいつらなのかな?」
「確証は無いから断定は出来ないけど、可能性は高いと思う…」
「そっか…」
「…何? 今流行りの『桜坂の剣士』みたく悪人を潰してまわるつもり?」
神妙な顔をした誠一に彩は皮肉げに聞くと、違うよと頭を振る。
「なあ、聞きたいんだけどさ。能力ってなんなんだ?」
「ん〜能力か。日本では能力とか、神通力や超能力とかいうんだけど。この国が世界に誇る『辰学院』の話じゃあ概念的には西欧の『ギフト』に近い遺伝的脳疾患らしいわよ」
『辰学院』世界に数箇所ある『世界的な最高学府』の一つ。
そこにある『脳科学研究室』において提出されたレポート。
「遺伝的脳疾患?」
「辰学院から出回った『重金レポート』によるとサヴァン能力を発現させるサヴァン症候群の発展系と言われているわ」
「サヴァン症候群?」
「聞いた事ない? 一瞬にして目で見たモノを記憶して絵で再現出来たり、何十万桁の計算を一瞬で計算出来るとか?」
そんな話を誠一は確か誰かから聞いたなと、朧げに思い出す。
「聞いた事がある。でもそれって漫画の話じゃないのか?」
「違うわよ、本当に存在する病の話。話によると大量の本を一回読んだだけで記憶して、ページ数から内容を一言一句間違えずに答える所か逆から読んだ男が見付かったのが最初と言われているわ」
「それは凄いな。そんな事が出来るなら、人生楽しいんだろうな」
「そうとも限らないわ。サヴァン症候群、病って言ったでしょう? この病には別の障害が出るのよ『知的障害』や『自閉症』がね」
そうサヴァン症候群とは賢人病とも呼ばれ、一種の天才を作る病でもある。
しかし、天才になる代償を支払うように、大部分の人間は脳に障害を負うのだ。
その話から誠一は続ける。
「あれ? 君が言うには能力者はサヴァン症候群なんだろう、だったら俺も自閉症?」
「あなたね、自閉症の人の家族から怒られるわよ? 言ったでしょ? サヴァン症候群の発展系だって。重金レポートによると能力者を発現する能力遺伝子とサヴァン症候群を発現する遺伝子が似通っているらしいわ。けれど能力者とサヴァン症候群の違いはいくつもあるわ、自閉症にならない・発現する能力の次元が違うとかね?」
「うー何か頭が痛くなってきた。要するに、一番最初に言った『能力者はサヴァン症候群の発展系』ってのでいいんだな?」
概ね間違ってはいないので彩は頷く。
しかしながら能力者や超能力やら、フィクションのファンタジーSFの様相をていしていたが思った以上に科学的な話になって誠一は驚いていた。
そして誠一が、一番気掛かりだった事に結び付く。
「遺伝的って事は、俺の親も似た能力を持っているって事かな?」
「おそらくね。大体の能力者の親子は似たような能力を…」
そこで彩はハタと気付く。
彼の、自分の居る場所の名前を。
「ここ児童養護施設とか銘打ってるけど、ぶっちゃけ孤児院なんだよな。でさ俺、前から思ってた。何で自分には親がいないんだろう? 何故捨てられたんだろうって。自分のルーツについていつも考えてた。そんな悩みを持っていた俺に昨日の戦いや君の話。聞いてて思った。これは予想だけど能力者ってのがキーワードで、全て繋がるかもしれない。だから…」
誠一はベッドの上にのせた自分の手を見る。
彼はいつの間にか拳を握っていた。
昔から持つ怒りにも似た衝動や、それを打破するべく欲した力。
今考えれば誠一が何かを欲し、得る為だったかもしれない。
「だから、俺は君に協力したい。俺の目的『理不尽を打ち破る』と『自分のルーツを知りたい』に対して一番の近道だと思うから…頼む」
そう言いながら誠一は頭を下げる。
それを見て彩は少し顔を曇ら俯いた。
「…」
「俺の技量から言えば君にとって足手まといかもしれない…けど!」
「…ない…」
「…ん?」
「あーもう。そんな事聞いたら断れないじゃない!!」
だんまりと俯いていた彩に誠一は断られそうだと思い、更にたたみ掛けるように懇願するが結果は真逆。
「別にいいわよ。こんな広い上に入り組んでいる町、一人で探せるとは思えないから…」
言いながら彩は手を差し出す。
「だから、よろしく」
「…! ああ!! よろしく」