第4話 『復讐』を開始しました
(オレ達は、NPCだ。人間にとっては都合のいい存在だろう。だけど、)
オレの中に熱い何かがドロリと流れ込んでくる。
(オレにはそれが許せない!)
自我を持ったNPC。
何かしらのバグによって生まれてしまった存在。
現実世界では生きられない此処だけの、タルテカルディアオンラインでだけの存在。
それは、人間にとっては、ただの『事故』であり、『不運』であり、『不要』な出来事だろう。
だが、理不尽な目に遭っているのはオレで、この怒りは……。
そうか、これが……『怒り』か……。
こんな存在として生まれてしまった事への冷たい感情。
これが『悲しみ』……。
肉壁。
ネタキャラ。
雑魚。
こんな風に馬鹿にされ、笑われ、殺され……オレ達は何のために生まれた?
『恐怖』『怒り』『悲しみ』三つの感情がごちゃ混ぜになって溢れ出そうになったその瞬間、オレの中に一つの言葉が生まれた。
復讐
そうか、復讐だ。
自我あるNPCであるオレが生まれたのには理由があるはずだ。
なくてたまるか。
でなければ、やっていられない。
こんな理不尽な世界に生み落とすなんて。
復讐だ。
オレは復讐の為に生まれたんだ。
自我あるNPCとして、神がオレを選び、感情を、悲しみを、恐怖を、怒りを、与えたんだ。
ならば、オレのやることは一つ。
コイツ等にオレ達と同じ恐怖を刻みつける。
価値のないモノとして見られる恐怖。
捨てられる恐怖。
ストレスのはけ口にされる恐怖。
愛されない恐怖。
そして、
死の恐怖。
恐怖を人間に刻みつける。
だけど、今は出来ない。
流れ込んできた情報から分かる。
アイツらは強い。そして、オレは弱い。スキルも一つを除いて大したものではない。
仮に、奇襲で一人殺せても、他の奴らに殺されて終わりだろう。
オレは死ねばデータとなり、ゴミ箱に捨てられ、消去されるだけの儚い命だ。
だから、今は、なんとか生き残るんだ。
その為には、アイツらを殺さなければならない。
正確には『出来るだけ自我あるNPCだと気づかれないように、アイツらを殺し、リスポーンさせる』ことだ。でなければ、オレはアイツらの所有物のまま。アイツらが死ぬことでオレ達はロストアイテム扱いされ自由の身になれる。
(出来れば……だけどな)
能力差は歴然。
だけど、やらなきゃ死ぬ。
それだけだ。
「やってやる……! ここから、オレの復讐が始まるんだ……!」
人間達に聞こえないよう、オレは自分の意志を口に出し、動き出した。
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