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2.いざ!入学!(3)





森は既に炎の海と化していた。


「・・・これでようやく小さいスライムは一掃できたみたいね・・・。」


私は大きく両手を掲げ、さらに魔力を手に集中させる。


「これが・・・最後っっ!!」


思いっきり両手を振り下ろすと同時に巨大な炎の塊が落ちた。


ドォォォォン・・・



スタっと地面に降り立つと森はもはや完全に“森”ではなくなっていた。


森の中央には巨大なクレータ—ができ、生き物は皆、スライムも含めて死滅していた。


「あれ・・・?もしかしてやりすぎ・・・?」


見通しが良くなった森で先生たちの方を見ると、クラスの皆に混じってセレスとあのうさ耳男子もいた。


・・・そういえば、クラスメイトのこと考えてなかったけど、皆無事みたい・・・。


先生のおかげ?


そんなことを思っていると、ハルがすたすたと早歩きでこちらに向かってきた。


「・・・?」


・・・ヤな予感。


ハルは私に近づくとぽこんっと頭を殴った。


「いたっ!?」


「これをやったのはお前かぁ!誰が森一つ消していいと言ったんだ!!」


ハルはものすごい剣幕で怒鳴り散らした。


「で、でもスライムは全部倒しました・・・。」


私が半泣きで訴えると、ハルは大きなため息をついた。


「・・・これからは・・・なんていうか、一般常識を学んでいこうな。」


ハルはそう言って私の頭を撫でた。


「ほれ」


「?なんですか?これ。」


「ご褒美だ。倒したものは倒したからな。スライムで作ったスライムグミ。美味いぞ~?」


ハルはにししと笑うとクラスの皆の方へ戻っていった。


ご、ご褒美ってこれかい・・・!!



「アリーゼちゃん!大丈夫?」


私が肩を落としていると、心配したセレスが駆け寄ってきた。


「うん・・・セレスも大丈夫だった?」


「私はすぐに先生のところに戻って防御魔術の中に入れてもらったから・・・。」


セレスは俯く。


やばっ・・・!怖がらせた・・・!?


せっかくの友達がっ・・・!!


そんな心配をよそに、セレスはすぐに満面の笑みで顔を上げ、嬉しそうに言った。


「アリーゼちゃんはすごいんだね!!あんな魔術がもう使えるなんて・・・!すごいすごい!!」


「そ、そうかな・・・?怖くない?」


「火はちょっと怖かったけど、でもあれだって人の方には落ちてこなかったから大丈夫だったよ!アリーゼちゃんはすごいね!!」


セレスはぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んでいる。


うっ・・・!笑顔がまぶしい・・・!


森一つ消したのにこの子は天使か・・・!




「そんなにすごいか?あれ。」


「あ!お前!!」


ふと声の方を見るとあの毒舌うさ耳少年が歩いてきていた。


「目的はスライム退治だけのはずだったのに、森はほぼ全壊・・・。そんなの、ただの力加減を知らないバカっていうんじゃないのか?」


「なっ・・・!」


「アリーゼちゃん・・・!」



うさ耳少年は私の元まで歩いて来ると、耳元で誰にも聞こえないように囁いた。


「——あの巨大スライムをこの森に放ったのは俺だ。まさか魔王軍の姫がこんなにバカだったとはな。」


「・・・!」


こいつ・・・私が魔王の子供だって知ってる!?


しかもスライムを放ったって一体・・・!


「お前何者だよ・・・!」


私の言葉は完全に無視して、うさ耳少年はくるっと向きを変えると


「ほら、先生が呼んでるぞ。先行くからな。」


と言っていってしまった。


「アリーゼちゃん・・・。大丈夫?」


「う、うん・・・。セレスも行こ?」


「うん・・・!」


あいつ・・・なんで私の正体を・・・!


私は心にもやを抱えたまま、セレスと一緒にクラスメイトの元まで歩き出した。





——この時の私は、この事件以降私のあだ名が『破壊神』になることをまだ知らない——






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