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2.いざ!入学!




——アリーゼ7歳——


「ジル!あった!!」


「やりましたね!お嬢様!」


ジルに肩車をされた私は、掲示板の入学試験の合格者名簿に自分の名前を見つけた。


この2年間、ジルに実技と座学、両方をしごき倒された甲斐があった・・・!


これで晴れて私も学生!


青春が私を待っている・・・!!





—教室―


「お前ら我がへカティア学園に見事!合格おめでとう!私はこのクラスを担当するハーフリングのハリエットだ。ハルでいいぞ。」


ハルと名乗った私達とそう身長の変わらない女性は、金髪のショートカットを揺らしながらそう言った。


ハーフリング・・・。確か人族より少しだけ寿命の長い小人族・・・。


「まずは自己紹介・・・と行きたいところだが、さっき近くの森でスライムが大量発生して生態系を乱しそうだという連絡が入ったんだ。早速で悪いが、お前らにはそのスライムを退治・捕獲してもらう。」


スライム!?・・・ってよくゲームとかに出てくるあの!?

この世界にもいたんだ・・・。


ハルはざわつく生徒たちに言った。


「知り合いのいない奴もいるだろうが、これも訓練の一環だ!まずはそこらの奴と3人一組を作ってくれ。」


さ、3人一組!?


ずっと入院生活で友達万年ゼロのこの私が!?


い、いや・・・恐れるなアリーゼ!


これは友達をつくる絶好のチャンス・・・!私も積極的に声を・・・!



「あの!・・・」


「3人とも同じクラスだねー!がんばろ!」


「・・・。」


声をかけた3人組の女の子たちは私を完全にスルーしてスタスタと行ってしまった。


まだだっ・・・!


「ねぇ私と・・・!」


「ね!君もしかして狐とのハーフ?俺たちと組まない!?」


「うん!よろしくね!」


「・・・・・。」


2人組の男の子は半獣のかわい~い女の子と一緒に、これまた私を完全にスルーしてスタスタと行ってしまった。

・・・・。


ま、まだ残ってるはず・・・!誰か!


バっと教室を見渡すとそこには気品の良さそうな少女が立っていた。


いた!!!


「わ、私と組まない!?」


「あなたと?」


やっと言えた!!


するとその少女は長い髪をくるくると指に巻き付けながらため息交じりに話した。


「・・・わたくし、あなたのような如何にも野山で育ってきたような方とはお付き合いできませんの。他を当たってくださる?」


少女はくるりと体の向きを変え、どこかへスタスタと行ってしまった・・・。


「の・・・やま・・・?はぁあああ!?」


魔王の子供に向かって何!?私より地位の高い奴はこの世界じゃパパくらいなんだっつーの!!


・・・って、ふぅ。いかんいかん。落ち着けアリーゼ。ジルに言われてたじゃない。



そう。私は誰にも自分が魔王の子供であると言ってはならない。どんな危険が及ぶかわからないからだってジルが言ってた。


脳内にジルの「絶対言っちゃだめですよ!」という言葉がよぎった。


故に!!私がこの学校で一番最強であるということも秘密なのだっっ!!だからぜんっぜん悔しくない!!


アリーゼはふっふっふ・・・と不敵な笑みを浮かべた。


「はっ!!班決め!!」





—森—


「皆3人一組の班は組めたな?それじゃあ渡した網や魔術を使ってスライム退治だ!各自背負っていっるかごの中に倒したスライムから落ちる、『スライムのかけら』を入れてくれ!一番多く倒した班にはご褒美もあるぞ!」


さっそく森にやって来た私達にハルは言った。


クラスの皆は「はーい!」と元気よく返事をする。


「・・・はーい。」


・・・私を除いて。


私の横には気弱そうな少女。そして無表情の少年。


・・・なんとか班は組めたけど私達は完全にクラスのあぶれ組・・・!


誰からも声をかけられてなかった気弱そぉ~な女の子と誰に対しても毒舌吐いてた絶対性格悪いうさ耳少年!!


特に後半は最悪!!


私はじと~っと少年の方を見た。


「・・・何?」


「いや別に・・・。な、名前は?」


私は睨まれながらも精いっぱいの笑顔で名前を聞いた。


完全に敵対視されてるけど同じ班になったんだから仲良くなれるかもしれないしね!


まずは名前を・・・!


「・・・そっちが名乗るのが先なんじゃないの?ま、キョーミないけど。」


「え・・・。」


うさ耳感じ悪少年はそう言うと、一人で森の中へ入っていった。


「な・・・!なんなのあいつ!!腹立つ!!!!耳だけは可愛いけど!!」


「あ、あの・・・!」


「ん?」


降りむくと、もう一人の気弱そうな少女がおずおずと話しかけてきた。


「わ、私はセレスって言います・・・。その、足引っ張ったらごめんなさいっ・・・!」


セレスと名乗った少女は今にも泣きそうだった。


「ちょっ!泣かないで!足なんか引っ張ったっていいから!」


「ほ、ほんとうですか・・・?」


そう言ってこちらを見上げるセレスの耳をよく見ると、魚のエラのようなものが付いていた。


もしかして・・・。


「私はアリーゼ。よろしくねセレス。・・・セレスは魚人族なの?」


「は、はい、一応・・・。でも私は魚人の血が薄くて、水に触れないと魚人になれないんです・・・。」


セレスは俯きながら話した。


確かにセレスは耳がエラみたいってだけで、他は全部人と同じだ・・・。


「そうなんだ・・・。っていうか、同い年なんだから敬語はなしにしようよ!その方が話しやすいよ!」


「ええ!?でも・・・!」


「いいからいいから!ね?セレス!」


「・・・!う、うん。アリーゼ・・・ちゃん・・・!」


セレスは遠慮がちに私の名前を呼ぶと、嬉しそうに微笑んだ。


か、可愛い・・・!


やっぱり子供の笑顔は可愛いわね・・・っておいおい!!


三十路の思考でどうすんだ!!


三十路思考を振り払うように首を振ると、私はセレスの腕を引っ張った。


「じゃあ私達もスライム狩りにいこ!」


「で、でもさっきの子は・・・?」


あのうさ耳小僧か。


「あいつみたいなのと組んでたら狩れるもんも狩れないわよ!二人であいつよりもいっぱい狩ってやろ!」


「う、うん・・・!」


セレスが頷くのを確認して、私は森中へ、スライム退治に赴いた。







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