念願のモンスター
「さすがでごさいますぅぅーー」
執事の声が、俺の中に響き渡る。
「流石は大魔王様の血統! エルンハイム様にございます! ダンジョンの管理人となられて2日目にして、この様な大迷宮を築き上げ、侵入者した手強い勇士たちをこうも簡単に蹴散らすとは!!」
執事がエルを褒めたたえていた。
エルは戸惑いながらも高飛車モードに突入。
「ふふん。妾の力を持ってすれば、当然の結果であろう? 低級魔族よ、しかと目に焼き付けろ!」
「ははぁぁぁーー!!!」
そんな管理人たちを見て俺が思うこと、、、
それは、、『頼むからモンスターを配置させてくれ!』ということ。
エルの持つ『ダンジョン大全』に載っているコードがわからないと、俺にはモンスターを召喚することができないのだ。
だが、最初に自分の遊び部屋を増やして以降、いまだにエルがその本を手に取ることはなかった。
部屋の隅に放り投げられて、なんならうっすらと埃までかぶってる始末だ。
なんとかあの本を開いて、モンスターの召喚コードを見なくては、、、
その時「あ、、、」とエルが言った。
「どういたしましたでしょうか? エルンハイム様」
「さっき倒した勇士の装備を回収せねば」
「はっ! では、、行ってまいります」
そう言って、執事がボスの間から迷宮に向けて出発した。
そして、道に迷った。
「エルンハイム様ぁぁあー! ここはどこですかー!」
「アレクセイ、右だ、、いや、、ええと、お前から見たら左だ! ち、、違う! そっちじゃない! ええい、たわけ者がぁ!」
魔族同士のテレパシーでやりとりしながら、エルが俺のマップを見ながら指示を出すのだが、、、
「上、、上ってどっちですかぁぁーーーー!」
「上は上じゃ。ダンジョンマップで上じゃ! もう面倒だから、妾はそれしか言わぬ!」
石の椅子にふんぞり返りながら、エルが高飛車に言い放つ。
執事は、、結局勇士の装備を回収できず。
ボスの間に戻ってきたのはそれから1時間ほどたった後だった。
その後、エルたちは閃いて『ダンジョン大全』を引っ張り出して、モンスターを召喚。
召喚したモンスターに装備品の回収をさせた。
「ふふふ、最初からこうすればよかったのじゃ」
「感服いたしました。エルンハイム様」
椅子でふんぞり返っているエルと、、、
俺の罠でボロボロになった執事。
ってか、、、今しがた召喚された低級モンスター「スライム」ですら、、マップ見て1発で道覚えたんだけど、、、
そんで、全く迷うことなく、毒沼で倒れた勇士たちの装備品を回収してきたんだけど、、、
エルだけでなく、この執事も相当な代物だと、背筋が寒くなる思いがした。
まぁ、俺には寒くなる背筋とかは、、(以下略