騎士団
この俺が、冒険者たちを倒しまくったせいで、ついに騎士団がやってきた。
この地域を治めるなんとかかんとかという偉そうな名前の領主の手勢だ。
「どうしましょう! エルンハイム様!」
俺の外にずらりと並ぶ、屈強そうな騎士団の姿をモニター越しに見て、執事が慌てていた。
「あんなの絶対に勝てっこないですよぉー」
「狼狽えるな。愚か者め」
エルは、いつものように石の椅子にふんぞり返っていた。
「荷物をまとめよ。、、逃げるぞ!」
えっ、、俺は動けませんよ?
その場合、もちろんこの俺は置いていかれるんですよね?
「はい! 今すぐにぃ!」
そして、、2人はボスの間から出て行った。
で、しばらくして戻ってきた。
「道がわからん!」
「なんということでしょう! この前よりもさらに複雑にぃぃーー!」
「こうなったら、、もうこのダンジョンと運命を共にするしかあるまい」
「うぅ、、、最後にもう一度だけエルンハイム様の生着替、、う、ごほんごほん、、、」
アホ過ぎて、、少しコイツらが好きになってきたかもしれない。
騎士団の女団長、シルビアはなにやら特殊なスキル「透視」を持っているようだった。
この俺が仕掛けた巧妙な罠を、いとも簡単に突破していく。
エルと執事は、部屋の隅で身を寄せ合って震えていた。
執事は、、ちょっとハァハァ言っていた。
そして、5階層あるうちの4階層までが、すでに突破されていた。
「う、、、最後くらいは、、誇り高き魔族の威厳を、、、」
そう言いながら、エルは執事を蹴り倒し、いつもの様に椅子にふんぞり返った。
そしてついに、騎士団長シルビアとその配下達が、ボスの間へとなだれ込んでくる。
「ふふふふ、、よくぞ来た。か弱き人間よ。妾がこの迷宮の主エルンハイム・リートデリッヒ・パパラッチなるぞ。神妙に、、ひれ伏せぃ!」
エルは、小刻みに震えながらも、いつもの様に石の椅子にふんぞり返りながら言った。
そんなエルを取り囲み、、、
一斉に跪く騎士団。
「ご命令を! 我が主人」
「ふぇぇ?」
間に合った、、、。
この俺は、レアモンスター「セイレン」と「サキュバス」により、まず配下の男兵士どもを骨抜きにし、そこからさらにレアランクの罠「魅惑」と「堕落」を仕掛け、、
ついには騎士団長シルビアまでもを手駒とすることに成功していた。