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1-8 黄金の方程式:眼鏡×巨乳×女教師

 王立ランベルク学園――トラギア王国の王都マクセラの貴族学校だ。正確には貴族専用の学校というわけではないが、生徒の1割が裕福な商人の子供や特待生の平民、残りは貴族の関係者なので自然と貴族学校と呼ばれる由緒正しい教育機関である。

 ベルリオーズ家の婿養子になるカイトも貴族の一員になるので、入学する運びとなり、本来なら大変名誉な事だが、当の本人が乗り気でない。

 ベルリオーズ家総出で学園へ向かう道中でカイトがぼやいていた。


「ねえピピン……今更だけど俺って入学する必要ある?」


「はっきり言って能力面だけなら全く必要ないな。カイトに足りないのは、この国の歴史と地理の知識と貴族のマナーくらいだ」


「だよね。この世界の数学って算数に毛が生えたレベルだし、語学は『異世界言語』のおかげで苦労しないし……魔法やスキルに関しては、たぶんこの世界の誰よりも詳しいと思う」


「実際、国からはさっさと官職に就けて働かせろという意見もあった。具体的には、私のサポートで、国中を回って情報収集とか、冒険者ギルド運営の裏方とか」


「ふーん。で、ピピンが勝手に断ったと」


 一年間死線を共に潜った仲だから、カイトはピピンの考えを聞かなくても理解できた。


「ああ、相談するべきだったんだろうが……」


「別に責めてないよ。俺のためを思ってだろ?」


 ピピンは改めて聡明な婿ができた喜びを感じて、自然と笑みがこぼれた。


「ああ、貴族相手だと力技で解決できない事もある。だから、学園で貴族の空気というものに慣れてもらいたいんだ。そして、学生時代に信頼できる人間と交流を持ち、人脈をつくって欲しい。ただ……」


「大丈夫だよピピン。貴族の空気に慣れても染まりはしないさ」


 ピピンはただ笑って頷く。正直、染まる心配よりも、カイトが正義感から暴走する事を心配しているのだが、言ったところで止まる人間でない事を知っていたし、そんな所が気に入って婿にしたので、あえて口にはしなかった。


 そうこうしているうちに、一行が学園に到着すると、セリアが学内に案内した。


「カイト君、ここが私達の通うランベルク学園です」


 王都の城下町の東の一角――広大な敷地には、華美な校舎、グラウンド、学生寮、さらには食堂や日用品店まで揃っており、一つの街として完結した空間となっていた。

 その広い校庭にポツンと立っているメガネの金髪の若い女性――

 それに気が付いたリューネはその女性に駆け寄った。


「あ、パレット先生。もしかして先生が編入試験の試験官ですか?」


「ええ……リューネさん、それにセリアさんも……どうしてお二人が?」


 真面目そうな雰囲気の美人巨乳女教師のパレットは、メガネをクイッとさせてから、首を傾げる。

 そんな先生の問いに、セリアは見せつけるようにカイトの腕を組みながら答える。


「えへへ、それは私達の未来の夫であるカイト君の試験を応援にきたからです」


 普段のセリアからは想像できない振る舞いに、パレットは驚きを隠せなかった。


「ええ!?お二人の婚約者だったのですか?わ、私なんかまだ独身なのに……」


 生徒に先を越されてショックを受けているパレットにカイトが自己紹介する。


「えっと、今日編入試験を受けさせていただくカイトです。今更ですけど、編入試験って何するんですか?」


 カイトは礼儀正しく落ち着いてパレットに接したが、視線は彼女の胸に釘付け。

(でっっ!でっか!え?ちょ?で、でかすぎでしょ?この胸で女教師?それはまあ、巨乳が教師やっちゃっダメって事はないけど、エッチすぎだって。それに何あの赤縁眼鏡?あんなの元の世界のAV女優の女教師シリーズでしか見たことないって。いや、それより胸だよ胸。マリアさんもでかいけど、異世界来てナンバー1だよ。って、や、やべええ、胸見すぎて、心象悪くして試験落ちたら笑えねえ。そうだ、首元を見る。面接の基本。うん、谷間じゃなくて首元、首元、首元……)

 そんなオッパイ星人のカイトに女性陣は冷ややかな目線を送る。

 見られている本人であるパレットも、もちろんカイトの視線に気づいていたが、彼女にとってはいつもの事なので、鉄仮面の表情を崩さずスルーしてくれた。


「本来は筆記試験、体力測定、魔法の実技ですが、カイトさんは国からの推薦ということですので、今回は魔法の実技だけですね。では、早速試験を始めましょう」


 それを聞いたカイトは、ピピンが同行した理由を察した。

 試験会場である魔法演習場へ向かう途中、カイトはピピンに小声で相談する。


「ピピン。ぶっちゃけ、どこまで見せていい?」


「固有スキルは隠さなくていい。下手に隠すとかえって面倒だからな。だが『アレ』は絶対に使うな。今、私が国に使用許可をとっているから、それまでは人前で使うのも話すのも禁止だ」 

 

「わかった。でも、それで合格できるの?」


「はあ……私はお前がやりすぎないか心配で来たんだぞ。いいか、S級ダンジョンを基準にするな。くれぐれも試験官を殺すなよ」


「はは、ピピンは大袈裟だよ」


 そう言って笑いながら演習場に入っていくカイトをピピンが心配そうに見つめていると、気配を消していたセリアが父親の背後から、


「お父さん……『アレ』って何ですか?」


 完全に不意を付かれたピピンはビクッとしたが、平静を装って誤魔化そうとする。


「ははは、何のことだい?セリア……」 


 そんな父にセリアは無言のままゾッとするような冷たい視線を送る。

 ピピンはあっという間に耐えられなくなった。


「……カイトの事を知りたいというセリアの気持ちはわかった。しかし、カイトのためでもあるんだ。今は待ってくれ」


「カイト君のため……うふふふ、じゃあ仕方ないですね」


 ピピンはセリアには『カイトのため』と言えば何とかなるのがわかってホッとした。

 こうしてベルリオーズ家四人は演習場の観客席に移動すると、試験の準備が整った。

今回は2章のヒロインの女教師の登場までです。

試験まで一気に書こうと思いましたが、そうすると長くなりすぎテンポが悪くなるので、少し短いですが、いったんここで切ります。

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