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2-20 ※セリア視点 エピローグと聖女の目標

 聖☆わからせ隊……私の案からかなり変わってしまいましたが悪くないですね。噛めば噛むほど味わい深いパーティー名に思えてきました。そして初めてのダンジョンでのレベリングは大成功です。たった一日で、お姉ちゃんはレベルが32、フェリスちゃんは26になりました。カイト君のサポートがあったとはいえ、最終的に二人ともA級モンスターであるエンシェントゴーレムをソロで倒せたのですから最強美少女三姉妹の誕生です。そんな私の自慢の姉と妹ですが……


「寝ちゃいましたね」


 まだ日が高いのにエンシェントパレスのど真ん中でぐっすり眠っている二人――私がサンクチュアリを張っているし、カイト君もいるから大丈夫ですけど、困ったものです……でも……ふふ、寝顔が可愛いから許しちゃいます♡


『初めてのダンジョンでA級モンスターとの戦いで緊張してただろうし、何より急なレベルアップに体がついてこれてないだろうから仕方ないよ』


「レベルアップ酔いってやつですね。私も経験あります。これは……しばらく起きませんね」


『うん、目覚める頃には日が暮れちゃうから、おんぶして帰ろう』


 こうして私がお姉ちゃんを、カイト君がフェリスちゃんを背負ってエンシェントパレスを出ると管理小屋のバゾルお爺さんが心配そうに出迎えてくれました。


『ほほほ、全員怪我は無いようじゃな……それにしても、セリアちゃんはイイ男捕まえたのう』


 流石はバゾルお爺さん!昔はソロでブイブイ言わせた腕利き冒険者だったそうで、人を見る目はピカイチです。


「はい♪カイト君は最高の夫で、最強の召喚士です。そして私達『聖☆わからせ隊』は無敵のパーティーになる予定ですよ」


 私は思ったことを素直に口に出すと、バゾルお爺さんはカラカラと笑って、カイト君は少し恥ずかしそうに、はにかんだような笑顔を浮べています。

 何はともあれ、これで無事エンシェントパレスでのレベリングは終えて、あとは家に帰るだけ――街道を歩く私とカイト君は、お姉ちゃんとフェリスちゃんの素晴らしさについて語り合います。


「やっぱり私のお姉ちゃんは天才ですね。炎の剣でシュバッっと斬って、ドーンとやってガシャーンとゴーレムを倒した時は感動で涙が出そうでした」


『まさかいきなり【魔法剣】アビリティを使えるようになるとは思わなかったよ。リューネの弱点は学園内の人間相手の模擬戦に特化して、頑丈なモンスターに有効な攻撃がソルプロミネンスしかない事だったけど、これで一気に化けたね』


「はい、私もうかうかしていられません。それにフェリスちゃんの蜂の召喚獣は……たぶん普通に戦ったら勝てないと思います」


『スカルホーネットは戦闘に特化した無駄のないステータスだからね……俺のゴクウに似たタイプで、ローガンが御前試合の時に召喚したフレイムホーンドラゴンにも勝てると思う』


「そんなに……これでは姉としての威厳が……」


『はは、今のフェリスだと上級召喚獣を長時間維持するのは難しいだろうから、持久戦に持ち込めばまだまだセリアさんに分があるよ』


 カイト君は慰めるようにフォローしてくれましたが……ああ……私って全然ダメですね。優秀な固有スキルと自分のレベリングに最適なエンシェントパレスが近くにあったから強くなっただけで本質はヒーラーの聖女……このままだと皆に守られる存在になってしまいます。

 そんな不安が顔に出ていたみたいです。


『セリアさんもまだまだ強くなれるから大丈夫。まあ、聖女としては十分すぎるくらい強いんだけど……』


「それじゃあダメです!守られるばかりで澄ました顔で回復魔法するだけの聖女なんて!前線で強敵と戦ってボロボロになりたいんです!」


 私のメス豚志向が漏れちゃいました……てへ♪


『え、ええ……今更だけどセリアの目標って何?』


 そんなのカイト君のお嫁さん兼メス豚に決まってます!まあ、それは当然だから、あえて口に出す必要はありませんが……あれ?改めて聞かれると……ああああ!私ってなんてつまらない女!このままだと学園卒業後はニートまっしぐら!メス豚ニート聖女待ったなしです!いやああああ!カイト君に失望されちゃう!お姉ちゃんは最強の魔法剣士を目指して、フェリスちゃんはカイト君に負けない召喚士になろうとしてるのに……私はメス豚になりたいなんて言えません!


『あははは、そんなに真剣に悩まないでよ。俺だって何にも考えてないんだからさ』


「でも……カイト君は宮廷召喚士って立派な官職が……」


『成り行きでなっただけだし、このパーティーのリーダーも同じようなもんさ……セリアさん……特に目標のない似た者同士、これから一緒にそれを探さない?』


 カイト君……カイト君!好き!好きいいいい!なんでそんな事をサラッと!似た者同士!?一緒にそれを探そう!?幸せ!私はこれからもカイト君と……


「はい!これからも一緒に頑張りましょう!ずっと一緒ですからね!」

キリがいいので、ここまでを第二部として次回から宮廷召喚士としての仕事が始まる第三部が始まります。

第三部から登場人物や別の国や町の名前も増える予定ですので、チマチマ設定資料などを挟んでいこうと思います。

良ければブックマーク・高評価をよろしくお願いいたします。

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