2-2 ※パレット視点 女教師だってセクハラしたい
『パレットさん、近くに新しいレストランができたのですが今度一緒にお食事でもいかがですか?』
は~(クソデカため息)下心見え見えの同僚からの食事のお誘い……ハッキリ言って不快ですね。だいたいコイツ新婚ですよ?馬鹿じゃないですか?
私が旦那様……カイトさんと婚約したと広まって(正確には私が自分から広めたのですけど♡)私の周りに変化が起きました。なんと急にモテだしたのです!もちろんですが全部お断りしています。だって私には最高の婚約者がいるわけですから。
しかし、このことで色々勉強になりました。昔から疑問だった『え?なんでこの女って彼氏途切れないの?』という謎――彼氏がいるのにどうしてモテるか?ではないのです。彼氏がいるからモテるのです!寝取るのが好きな男がいるという事もありますが、男のいる女というのは、女としての自信を持って余裕が生まれるから接し方も自然となり魅力的になるのです。今思うと私の婚約者を寝取ったルイズもそのタイプでしたね。彼氏ができる→別の男が迫ってくる→天秤にかけてそっちに乗り換える→また別の男が……と彼氏が途切れないようにしているのです。
まあ、今更そんなモテロジックを理解したところで私には関係ありません。今の私はカイトさん以外どうでもいいのですから……うっひょおお!改めて私の婚約者は最高!ピッチピチに若い!カワイイ!たくましい!強い!カッコイイ!そして将来有望!名門貴族の跡取り!学生なのに宮廷召喚士!王様とも上手くやってる!それなのにS級冒険者!何より女性に優しい!っしゃあああああ!SSSS級物件!もうたまんねええ!それなのにいい!水曜日は私の男だというのに!まだ誘えてないのですよ!なぜなら……私は教師で、カイトさんは学生……人目が気になって二人きりになれません。
そんなジレンマに苦しむ私に救世主が――
『あらあら~、パレットちゃんったら頭抱えてどうしたの~?』
お義母様ことマリアさんが私に心配そうに声をかけてくれます。は~(恍惚)カイトさんの婚約者になれたことも嬉しいですが、この女神を義母にできたことも嬉しいです。この麗しい義母は今の学園男子がオカズにしている女教師ダントツ1位。もうすぐ40才とは思えない美貌、ゆるふわオーラの人妻、なのにS級冒険者……モテないわけがなく、私はそんなマリアさんを母というより姉のように慕っています。
そんな自慢の義母に相談……いや、流石に恥ずかしいですね。
「いえ、その……悩みという程のことでは……」
『あらあら~、私はてっきりカイトちゃんの事だと思ったけど勘違いだったかしら?』
やはりお見通しでしたか……私は今日の出来事をマリアさんに話しました。
それは今日の午前の事です――
「はい、それでは授業を始めます」
本日の2限は私が担当する『近代魔法史』という普通の魔法の歴史の授業。正直、特別面白いわけでもない普通の座学。そう普通の授業……私の婚約者が出席していると言うこと以外は……
旦那様……いえカイトさんですね。私と旦那様は、二人で話し合った結果、在学中は「パレット先生」「カイトさん」と呼び合うことにしました。そうしないと、人前でも「パレット」「旦那様」と口に出してしまいそうだからです。
そのカイトさんは私との時間が他の婚約者達より少ないという理由で、選択科目で私の授業を選択してくれました。それ自体は嬉しいのですが……
「魔法系統の12種類の分類はD.E328年にゴペロビス・イーヴォによって……」
私は生徒たちに背を向けて、黒板にチョークを走らせる……そうなのです!つまり私はカイトさんに後ろから見られているのです!それがたまらなく私をムラムラさせる!
もちろんカイトさんは真面目に授業を受けていますが、私をそれどころではないのです。胸ほどのインパクトはありませんが、私のデカケツを突き出して、誘うように振ってカイトさんを誘惑したい。もし教室に二人だけだったら絶対にしています。でも今は他の生徒たちも……いえ、むしろ他人の目があるからこそムラムラしてしまい――
『パレット先生!あの……お尻がエッチすぎて授業に集中できません!』
真面目なカイトさんに……生徒に叱られる淫乱女教師な私はウットリした顔で誘惑するのです。
「カイトさん。それでは私に指導をお願いします」
そう言って尻を突き出すと、カイトさんが教壇に登ってスパンキング!それを他の生徒が見守って……んほおおおおお!授業中に!女教師と男子生徒が!
『この!変態!淫乱女教師!胸だけじゃなくてケツまでデカいなんて!どうすればこんなエロいケツになるんだ!』
罵声を発しながら私のケツを叩くカイトさん!
私は興奮して叫んでしまうのです!
「んっほお゛お!カイトさんの女だからです!だからカイトさん好みの!エロ尻女になったのですううう!」
『そうか!じゃあ皆に見せつけてやろう!』
こうして私たちは生徒達の前で熱いキス……
そんなヤバさ200%の妄想を止めてくれたのは現実のカイトさんでした。
『パレット先生!そこは黒板じゃないですよ!』
ハッと我に返ると、黒板を突き抜けて、ふつうの壁にチョークを走らせていました。妄想トリップで気付かなかったのです。
「こ、これは失礼しました。少々、集中しすぎてしまいまして……」
私が生徒たちに謝罪すると、ちょうど授業終了のチャイムがなりました。
ふ~、やばかったですね。もし、あのままだったら、壁にカイトさんとの愛の壁画が誕生していました。
そんな淫らな私をカイトさんが心配そうに声を掛けてくれました。
『パレット先生、顔が赤いけど風邪ですか?授業中も苦しそうに腰を振ってたけど……』
その言葉に愕然としました。私は無意識のうちにケツを振っていたのです。無垢なカイトさんは腰と勘違いしていますが……見られてしまいましたね……なら……もう我慢しなくていいのでは?
私は自分の中で何か大事な線がプツッと切れたのを感じました。
「実は……カイトさん……少し、隣の資料室に来ていただけませんか?」
『え、はあ……わかりました』
こうして無警戒な羊は私という狼に密室へ攫われて――
埃っぽく薄暗い資料室というシチュエーションが私のエロボルテージを加速させました。
「カイトさん、壁に手をあてて背中を見せてください」
わたしの要求に素直に従ってくれるカイトさん……可愛すぎますね。だから、いまからつまみ食い♡。
『パレット先生!いきなり何を!?』
カイトさんは私にいきなり尻を触られて驚いています。
これはもちろんセクハラですが……うるせえええ!こんな若くて引き締まったいケツ!触られてあたりまえだろうがああああ!男子はよ~く覚えておいてください!男が女のケツを好きなように、女だって男のケツにムラムラするのです!
「カイトさん……あまり大きい声を出さないでください。こんなところを誰かに見つかったら……はあはあ」
『そ、それは……わかりました……』
完全無欠のセクハラですね……でも、これは純愛。婚約者同士のスキンシップだからセーフだと私はセルフジャッジして、試合を続行します!
それにしてもカイトさんのケツ……いいですねえ。若く、引き締まっていて、プリップリで、凄いエネルギーを感じます。この粘り強い下半身に触れるだけでムラムラするのは仕方のないことです。この愛しいケツをただ触るだけなんて……無理に決まっているのです。
『せ、先生……だ、ダメだよぉぉ……』
私より圧倒的に強い男がか細い悲鳴をあげている理由は……私が鼻息を荒くしながら、カイトさんのケツを頬ずりしているからです。でも、これでも我慢しているのですよ?本当はもっと……そうです。私は女教師のプライドがあるから、その一線だけは越えなかったのです。
しかし、こんな素敵な時間も長くは続かず……
『パレット先生!次の授業があるから、この辺で!』
カイトさんはそう言い残して資料室から脱走しました。
そして少し冷静になった私は……ぬああああ!やっちゃったああああ!ヤってないのにやっちゃったああああ!はぐああああああ!絶対に幻滅された!夜這いどころじゃない!こんなの出禁にされる!圧倒的シャットアウト!だってええええ!私は四捨五入すれば30才なんですよ!?女は加齢と共に性欲が強くなる生き物なんだから仕方ないでしょおおおおお!うわああああ!
こんな事があった事をお義母様に相談すると……
『そうだったの~。よしよし、パレットちゃんは悪くないわよ~』
お義母様は聖母の如き包容力で私を抱きしめて頭を撫でてくれます。
やばいやばいレズになっちゃう。女教師が同僚女教師に、しかも婚約者の義母に欲情するとか、変態を超えた変態になってしまいます。だからグッと堪えました。
「お義母様……私、いったいどうすれば……」
『私に任せて。パレットちゃんだって私の娘なんだから~』
こうしてお義母様が協力してくれて……うっひょおお!明日は水曜日!私の日です!
次回もパレット回です。
追記2021/10/11
運営に怒られたので修正しました。