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零
有史以来、この国では頂点に立ち、国を統べる現人神が信仰されている。
この国の国民は幼き頃から、神は万物を支配し、創造したり操り、ケガや病気も治すことができ、未来も見通して脅威からも国を守り、不老不死であると教えこまれる。
しかし実際は、神殿がある特定の遺伝子を持った赤子を親から引き離して匿い、代替わりのその時まで、いやその生を全うするまで神殿という箱庭に閉じ込めておく。その特定の遺伝子を持った子供は巫と呼ばれる。
私はここに書き残しておこう。
この国の神の真実を。
そして、もう戻りはしない楽しき日々を。
忘れないように。
『168代神様 手記』より
はじめまして。
由良恵夢と申します。
この作品が処女作なので、つたないところも多いとは思いますが、楽しんで頂けたら幸いです。