第9話 スクールパニック
今日からまた学校の始まり( ̄▽ ̄)
一週間って長いよね(* ̄∇ ̄)ノ
翌朝、朝食を取り、支度を終えると早々に学校へと向かう朱音。
相変わらず赤い糸はそのまま掌から出ているが、気にしなければそれほど気になる物でもない。
学校へ着くと親友の遥が朱音に声を掛けて来る。
「おはよう朱音。昨日のミュージックパワーのステーツのライブ見た?」
「おはよ。見た見た、なんか派手な衣装着て踊ってたよね曲もなんか良い感じでさ」
「ボーカルのマキタ君って格好良いよねぇー」
ステーツのボーカルであるマキタはイケメンのアイドルである。
遥は割と面食いな所があり、アイドルもそうだが今まで付き合った彼氏もみんなイケメンであった。ただ朱音はイケメン男子の良さも魅力も良くわからないでいた。それは恋をした事が無いからなのだろうか?
「まあ、私にはよくわからないけど、格好良いんじゃないかな?」
そんな些細な話をしていると空翔が登校してくる。
「みんなおはよう」
教室に入るなり勢い良く挨拶をする空翔。みんなも空翔に挨拶を返している。
空翔が転校してきて2週間程経過するががもうすっかり慣れてクラスに溶け込んでいる。
空翔は席に着くなり私にも挨拶してきた。はぁ……学校ではあんまり話しかけて欲しく無いのになぁ……。
「朱音もおはよう。なんかいつも来るの早いよな」
「おはようございませんでした。そんなの私の勝手でしょ?余計なお世話よ」
空翔が転校してきてから朱音とのこのやり取りは日常茶飯事であり、周りから見ても普段通りの変わらぬ光景であった。
「おはようございます。朱音さん、空翔君。今日も一日宜しくお願いしますね」
声の主は……ルシエルであった。
「あっ……あんたが……どうしてここに……ハッ」
(そっそうか……空翔君と私がそばにいる時にルシエルは現れるんだった。つまり学校にいる間はほぼルシエルは出現したまんまになるって事?あり得ない)
勿論、ルシエルは周りからは見えなければ声も聞こえる訳ではないのだが、想定外だった事に頭を抱える朱音。
一方、空翔はと言うとルシエルに軽く手を振って挨拶をし、平然と過ごしていた。
授業が始まると教室の色んな場所を覗き見て回るルシエル。そんなルシエルの行動にイライラのボルテージが上がって行き……ついに痺れを切らした朱音がキレた。
「さっきから何、色んな場所を覗き込んでるのよ。気が散るからじっとしてなさいよ」
朱音が突然キレた事にクラスメート達はみんな驚いていており、先生からも指摘を受ける事になる。
「目黒さん。どうかしましたか?」
「あっいえ……すみません独り言です」
謝って席に着く朱音であったが怒りは治まっておらず、その表情は怒りに満ち溢れていた。
「あっ……朱音さん……ごめんなさい私のせいで……」
ルシエルが後ろから申し訳なさそうな顔で謝罪に来るが完全に無視する朱音。
昼 休みになり、ルシエルへの無視を見かねた空翔が朱音に声を掛けて来る。
「ルシエルも悪気は無いんだし、良い加減許してやれよ……朱音が無視するからルシエルの奴ずっと泣いてるんだぞ」
「ううぅぅ……グスッ……朱音さんが……朱音さんが……許して……ヒック……ぐれないでずぅ……ううぅぅ……」
床に凭れかかり酷く泣いているルシエル。そんなにショックだったのか?まあ、少しやり過ぎたかと反省しつつ、ルシエルを許す事にする。
「もう良いわよ。わかってくれれば……」
「朱音ざん……グスッ……ありがどぅございます……グスッ……私、朱音ざんに嫌われてしまったらどうしようかと……」
泣きながら朱音にお礼を言うルシエル。少しオーバーな気もするが確かに今、ルシエルが頼れるのは朱音達だけなので除け者にされてしまうとやはり寂しいのかも知れない。
それからはルシエルも反省し、授業中は大人しくしていたのだが………音楽の時間にちょっとした事件が起こった。
次回、朱音とルシエルの意外な才能が明かに