第6話 除霊失敗
まさかのルシエルの発言にビックリΣ( ̄□ ̄;)
ルシエルは木の精霊であり、私達に罰を与える為に来ているのではないかとの空翔の見解に恐怖で顔が真っ青になり震え出す朱音。
今にも泣きそうな表情の朱音にルシエルが口を開く……。
「あのぉ……こんな事言うのは何ですが、いくら御神木とは言え、逆立ちしたぐらいでバチなんて当たる物なんでしょうか?」
ルシエルの発言に唖然となる二人。確かにルシエルにそんな事を言われてしまったら元も子もない話だ。
さっきまでのあの恐怖や不安はいったいなんだったのだろうか?そんな事を考えると余計にイラだってしまう朱音であった。
「アンタがそれを言うなよ」
「すっ……すみません……グスン」
シュンとして悲しそうな表情のルシエル。だがそれは自業自得な様な気も……。
すっかり行き詰まった気がした朱音は空翔に今後の事について聞いてみる事にした。
「天王寺君。なんか決定的な情報無いみたいだけど……これからどうするつもりなの?」
「えっと知り合いに凄い霊媒師の人がいるから昨日、お祓いの依頼をしといた。明日の日中に来てくれるみたいだけど、目黒さんも良かったら一緒に来る?」
意外と行動力がある空翔に感心した朱音。そう幽霊と言えばお祓いが定番の除霊方法。これならいけると踏んで上機嫌で話に乗っかる事にした朱音。
「えっ?私も良いの?勿論行くよ。行く行く」
お祓いなんて……っと完全に否定されると思っていた空翔は意外と乗り気な朱音に安心し、時間と場所を伝える。
「じゃあ、明日14時にハゲ鷹山の一本杉で待ち合わせな。あのオッさん結構忙しいみたいだから時間厳守で頼む」
「了解」
その日はそのまま解散する事になった。空翔の言った様に確かに二人が離れるとルシエルは消えてしまう様だ。実に不思議な現象である。
朱音は期待に胸を膨らませて就寝した。翌日、約束の時間にハゲ鷹山の山頂にてお祓いが始まった。
「ホンジョラハンムラ……フムラスカヌイクタ………ハン………ホンジョラハンムラ……ムテムテスキルハ……ハン………」
お経の様な呪文の様な良くわからない言葉を発する住職の様な人。この人が霊媒師の様だ。朱音は空翔とルシエルと共に聞いている。
暫くすると空翔の下にやってくる住職らしき人。
「お坊っちゃま。御神木との対話を行いましたが心配いりません。怒っている様なご様子はありませんでした」
「あと、お話にありました女性の幽霊についてですが……私の霊視にも映らず詳しい事は何もわかりませんでした。ただ邪気は感じられませんので悪霊と言う訳では無い様です」
霊媒師の人曰く霊視にも映らない事は極めて稀なケースであり、完全お手上げ状態との事であった。いつもは軽い感じの空翔もこの時ばかりは焦っているように感じた
「えっ?でもそうしたらこのルシエルって女幽霊はいったい」
霊媒師の人も手の打ちようが無くて困った顔で応対する。
「私にもわかりませんが、恐らくは守護霊又は守護天使……いずれにしてもお二方に危害を加える事は無いかと思います。お力になれずすみません」
取り合えず危害を加える霊で無かったのは良かったけど……これじゃあ、ずっと私達は憑き纏われる事になるんじゃ……。
期待から一気にドン底まで突き落とされた朱音はショックで落胆している。空翔も完全に凹んでいた。
「はぁ……あのオッサンでもダメとなると、本当にお手上げだな。もう何したら良いんだか皆目検討もつかない」
凹んでいる空翔の横にルシエルがふわふわと飛んで来て申し訳無さそうな表情で謝る。
「すみません……すみません……私のせいで……グスッ……」
そんなルシエルを見て可哀想に思った空翔は励ます事にした。いつもの軽い感じで……。
「ああ……そんなに気にしないでよルシエル。別に悪い霊じゃ無いらしいしさ。楽しく行こうよ。楽しくさ」
そんな空翔に対してイライラしている朱音は……もう爆発寸前。ルシエルに当たりつける事にした。
「私はすーっごく迷惑だけどね」
相変わらずのストレートな朱音の発言にショックを受けるルシエル。まあ気持ちもわからなくも無いが……当然、ルシエルは泣き出してしまう。
「ごっごめんなさい。私のせいで……ううぅぅ……」
「そんな言い方したらルシエル可哀想だろ?」
泣いているルシエルをフォローするように空翔が間に入るが依然として反省など微塵もない朱音。
「ふん。私の知ったこっちゃ無いわよ。だいたい除霊も失敗したし、今日は本当に無駄な時間を使っちゃったわ。私の休日返しなさいよね」
怒りを露にする朱音に対し、空翔も申し訳無さそうな顔で謝る。
「悪かったな。こんな所まで来て貰ったのに除霊も出来ずに……」
空翔の申し訳無さそうな顔を見ていてハッとする朱音。流石に言い過ぎてしまったと反省し、謝る事に……。
「ごっ……ごめん。私、少し言い過ぎた。ルシエルだって悪気があってウチラに憑いてる訳じゃ無いみたいだし、天王寺君も色々やってくれてるんだもんね」
謝罪する朱音に気を良くしたのか空翔が朱音に声を掛ける。
「ねぇ目黒さんこの後、少しだけ時間あるかな?」
「はい?」
空翔は朱音を誘っていったいどうするのか?
空翔の誘いとは?……次回へ続く。