第5話 図書館にて
ルシエルを通じ赤い糸で結ばれていた二人
今までの経緯を元に空翔が話を整理する事にする。
「つまり今、聞いた話を整理するとだな。俺と目黒さんはルシエルを経由して赤い糸で繋がっている。ルシエルは俺達が近くにいる時にのみ現れるって事みたいだな」
空翔の説明を聞いた朱音は怒りのボルテージが限界まで達してついにキレた。
「それってつまり私がどこにいても糸を辿れば居場所がわかるって事でしょ?」
「そんなのプライバシーも何もあったもんじゃないわよ……本当に最悪だよ……もう」
確かに男嫌いの朱音に取って男に居場所を知られる事はかなり致命的であった。
常にストーキングされてる様なプレッシャーとストレス……。これからの生活に不安と怒りを感じでいる朱音とは裏腹に空翔はまたも軽い感じで話す。
「まあ、場所がわかったからって大した事はわからなそうだけどさ」
「そんなに嫌なら極力追わない様にするよ。まあ、待ち合わせとかするには便利そうだけどな」
この軽い感じにもかなりイライラしている朱音。「お前と待ち合わせする事なんて一生無ねぇよ」と心の中でそう連呼する朱音であった。
話が落ち着いた所で朱音が空翔に気になっていた事を聞く事にする。
「そう言えば天王寺君はなんで図書館にいるの?」
空翔はそんなに本好きにも見えないし、土曜日のこんな朝早くから図書館にいるのは不自然に思えたからだ。
すると空翔が質問に答えてくれあ。
「俺はルシエルの事を調べに来たんだ。インターネットとか隈無く調べたけど、何も手掛かり全く無くてさ。この町の古い文献になら何か載ってるかなって思って調べてたんだ」
なる程、ルシエルの事を調べる為なら確かに来ていてもおかしくはない。空翔は軽い感じではあるが、結構真面目なんだなと少し関心する朱音であった。
「それで何かわかったの?」
「うん。かなり昔の話らしいんだけど。ハゲ鷹山は草木が生え繁る緑の山だったみたい何だけど……ある日、山で火事が起きたらしいんだ。山頂のでの火災だった事もあり、消火は困難を極めたらしい」
(その話なら私も知ってる。確かに酷い火事で近辺の町の消防隊の協力もあって何とか消し止められたらしいけど……)
「うん。私もおじいちゃんに聞いた事がある。かなり酷かったらしいね」
「山頂の木々はほぼ全焼したみたいなんだけど、一本だけ一際大きな杉の木だけは燃えずに生き残ったらしい……」
(本当に嘘みたいな不思議な話なんだけど本当の事らしい……まるで何かに守られた様に残っていたらしいそれが……)
「それがあの一本杉よね。それで?それで?」
「あの一本杉には神様やら精霊やらが宿っているって噂になって今尚、奉られているのだとか……」
(確かに不思議な力によって守られているようで神様やら精霊が守護しているのかも知れない)
「うん。そうだね確かに奉られてるよ。でっ何がわかったの?」
ここで空翔が確信へと迫る。
「もしかしたら、ルシエルはあの木を守護する精霊なんじゃ無いかって俺は推測してる。木の精霊はドライアドと言われており、悪さをした者を懲らしめる為に出てくるらしい」
「ウチラが神木で逆立ちなんかしてたからルシエルは罰を与える為に俺達の前に現れたのかも……」
どんどん顔色が悪くなっていく朱音。その話が本当ならルシエルの手によって私達は……想像しただけでも寒気がしてくる。
「えっ?それじゃあウチラどうしたら良い訳?私、嫌だよ罰を受けるなんて……」
不安そうな朱音に向かってルシエルが話かけてきた。
次回はルシエルの爆弾発言から始まります。