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ルシエルの白魔女 ʚ♡ɞ  作者: 春原☆アオイ・月代ユカイ
第一章 知人~友人
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第3話 女幽霊ルシエル

 二人の目の前に突然、宙に浮く白い女性が現れる。急な事に驚愕する二人。特に朱音(あかね)の方は完全にテンパっていた。


「わわわ……なっ何あれ?天王寺(てんのうじ)君」


「おっ俺にもわからないけど……もしかするとここで自殺した自縛霊だったりして……」


 その話を聞くやいなや顔を真っ青にしてブルブルと震え出す朱音。それもそのはずだ。普段は高圧的な態度を取っている朱音であったが、お化けが大の苦手でテレビ番組の幽霊特集なんかを見てしまうと夜も眠れなくなってしまう程だった。


「えっ?え?わわわ……私、お化けだめ怖い……てっ天王寺君なんとかしてよ男でしょ?」


「あっ悪霊退散。悪霊退散」


 女幽霊に向けて手をかざし、叫んでいる空翔であったが全く効果無し。慌てふためいている二人であったが……女幽霊の様子がおかしい。


 幽霊にしては迫力も無いし、襲ってくるでもなければ逃げる訳でもない。女幽霊はどうしたら良いのかわからない様な表情でずっと固まっていた。


「あっ……貴女はいったい何者?何が目的で私達の前に現れたのよ?」


 朱音が質問すると女幽霊は困った顔で答える。


「すみません。私にも良くわからないんです。何も覚えていなくて……気付いたらここにいて……あわわわ」


 あまりにも気迫の薄いこの女幽霊を哀れに思ったのか今度は空翔(あきと)が優しい口調で伺う。


「もしかして名前も覚えて無いの?」


 空翔の問に困った顔をする女幽霊は暫く考えて込んでから思い出した様に言う。


「私の名前は……ルシエル……たぶん」


「たぶんって……」


 女幽霊(ルシエル)の話に二人してツッこむ。そのあまりにも気迫の薄い感じに恐怖心が完全に和らいだのか朱音が空翔に笑いながら話し掛ける。


「あはははは……なんかこの幽霊さぁ怖くなさすぎて拍子抜けなんだけど」


「笑ったりしたら可哀想だよ。目黒さん」


 ルシエルの事を思って空翔がフォローするが……後ろでも笑い声がする。


「ふふふふ………」


 振り替えると何故かルシエルまで笑っていた。そのルシエルの態度にイライラした朱音がツッこむ。


「なんでアンタまで笑うのよ」


 朱音のツッこみにシュンとするルシエル。するとルシエルは直ぐに謝ってきた。


「すっすみません。なんか楽しそうだったのでつい……」


 完全に消沈(しょうちん)しているルシエル。朱音が困った顔をして空翔に相談する。


「なんか変な幽霊だけど、どうしたら成仏させられるんだろう?」


「こう言うのは生前の未練が残って成仏出来ないケースが多いはずだけど。ルシエルは何か未練があったの?」


 ルシエルはまた暫く考え込むが……。


「ごめんなさい。良く覚えていないんです……私、いったいどうしたら良いんでしょうか?」


「それはこっちが聞きたいわ」とツッこみを入れたい朱音だったがあまりに不憫(ふびん)過ぎる為、そこはツッこむのを止める事にした。


「ねぇ天王寺君どうしたら良いかな?」


 朱音の問い掛けに考え込んだ天王寺が言う。


「このままじゃ可哀想だけど……何も情報が無いんじゃ対策も出来ないよな。いったん山を降りてこのハゲ鷹山で自殺とか無かったか調べてみようか」


 空翔の提案に満足そうな感じの朱音。


「そうね、それが良いかも。ルシエルもそれで良いわね」


「はい。お願いします」


 満面の笑みで答えるルシエル。この不思議な女幽霊ルシエルだが、良く見ると見た目は凄く可愛らしい。


 さっぱりとしたショートボブヘアーに吸い込まれそうな程、大きな瞳。胸が大きくスタイルは良い。白いワンピースの様な服を着ているが靴は履いていない。年齢は朱音と同じくらいに見える。


 ルシエルの事を調べる為、下山し始めた朱音と空翔だが……なぜか後ろからルシエルがふわふわとついてくる。イライラした朱音がルシエルを怒る。


「ちょっとアンタ何でついてくるのよ。山で待ってなさいよ」


 朱音が言うとルシエルは困った顔をして話す。


「ごっごめんなさい。なんか体が勝手に引き寄せられてしまって……」


 ルシエルが言うには私達が移動すると誰かに押されるように体が勝手に移動してしまうんだとか。空翔が何か閃いたように話す。


「もしかしたら俺達のどちらかが取り憑かれてしまっているのかも知れない」


 空翔の話に朱音が素早く反応する。


「えっ?何それ。ずっとついてくるって事?私、嫌だよそんなの」


「俺だって嫌だよ。でもどちらかに憑いてる可能性は高そうだよな。最悪はお祓いかな」


「……ごめんなさい……私……」


 申し訳無さそうに謝るルシエル。故意じゃ無いにせよ、取り憑かれてしまっていては大問題だ。だがひたすら拒否を繰り返す朱音とは裏腹に空翔はいつもの軽い感じで言ってきた。


「まあ下山してウチラが別れればどっちに憑いてるかわかると思うし、そこはもう運だな……あはは」


(あはは……じゃねぇよ。私に憑いてたら本当に恨むからな)


 お化け嫌いな朱音に取っては死活問題であり、自身にルシエルが憑いていない事をただただ必死で祈っていた。


 山の(ふもと)まで来ると空翔と帰る道が別れる。運命の瞬間である。


「じゃあ俺こっちだから……明日は休みか。週明けにでも調べた結果を教えるな」


「うん。私の方も調べてみるよ」


 そう言って空翔と別れた。


 ルシエルはと言うと………私の所にはついてきてない。朱音はルシエルがいない事に心底安心した。


「やったー。私の方にはいない。天王寺君には悪いけど、あんな場所で逆立ちしたからきっとバチが当たったんだ」


「まあ、元はと言えば私が変な事を提案したからこんな風になっちゃった訳だし、悪い事しちゃったかな?まあ、お詫びに少しハゲ鷹山について調べてみるか」


 そんな事を考えながらベットで寝転びながらスマホをいじり、ハゲ鷹山について調べるが自殺についての情報は何も見つからなかった。


 女幽霊の名前であるルシエルでも調べてみたがレストランとか検索されるだけで詳しい事は何もわからず、疲れた朱音は空翔あきとに任せては寝る事にした。


 そして翌朝、起きると朱音の体に異変が……。

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