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ルシエルの白魔女 ʚ♡ɞ  作者: 春原☆アオイ・月代ユカイ
第一章 知人~友人
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第2話 二人の賭け

流行んないかなぁ~

「おはようございませんでした」

 一方空翔(あきと)はと言うと相変わらず誰とでも気さくに話し、知ってか知らずか朱音(あかね)にまで声をかけてくる。


目黒(めぐろ)さん。おはよう、昨日の爆笑スマイリーボム見た」


(はぁ……マジでウザったいな。コイツもひょっとして私に気があんのか?男は嫌いなんだよ……)


 朱音が不機嫌そうに空翔に言う。


「おはよう()()()()()()()()()。なんでアンタにそんな事を教える必要あるのよ」


(そうそうこんな言い方して突き放して置けば大抵の奴は寄りついて来ない。うん、これにて一件落……)


 そう思っていると空翔が思いもよらない方向で話を進めてきた。


「ございませんでしたって……何なのその挨拶?」

「確かにそうだよな。俺が教えて貰う必要もないし、目黒さんが答える必要ないんだよな……だけど困ったな。俺、目黒さんともっと話をしたいんだけど」


(なっ?なんだコイツ……私と話をしたい?何を言ってんだ?マジで……。私はあんたとなんか話したく無い。迷惑って言葉知らないのか?)


 朱音はツンとした口調で空翔に言った。


「私はあんたとなんか別に話したくないんだけど……」


 これだけストレートに言えば流石の空翔も引いてくれるだろう。そう思っていた朱音だが……少し甘かった様だ。


「うーん困ったな。俺は話したいのに目黒さんは話したくない」

「……じゃあどうしたらこの問題が解決出来るか二人で考えないか?」


(こっコイツ……私の想像の上を行ってやがる。勉強は出来る癖に本当は馬鹿なのか?目的はいったいなんだ?やっぱり私に興味あんのか?)


 色んな事を考えるが、結局何がしたいのかはわからずただ突き放す様に答える朱音。


「そんなの一人で考えなさいよ。だいたいなんで私となんか話したいのよ。正直は私にはもう関わらないで欲しいんだけど」


(ここまで言えば、この鈍感馬鹿も流石に気付いて……)


 そう思ったのも束の間、強気で反論してくる空翔。


「クラスでも浮いてる君をほっとく訳に行かないだろう。このまま非行にでも走ったらどうするんだ?」


(浮いてる?非行?失礼きわまりない奴だ。コイツ私に喧嘩でも売ってるのか?イケメンだからって何を言っても許される訳じゃないんだぞ)


「はぁ?お前何言ってんだよ」

「もう話したくないからあっち行ってよ」


 その日はそこで話が終わったのだが、それからも空翔は毎日の様に朱音の所に来ては話掛けてきた。


 いい加減に(しび)れを切らした朱音は空翔に無理難題(むりなんだい)を吹っ掛ける事にした。


「あんたが、もしハゲ鷹山の一本杉で10分間逆立ち出来たら普通に会話してあげても良いわよ。そのかわり失敗したら二度と私には関わらないでくれる?」


「えっ本当?じゃあ今日の放課後山頂で待ち合わせな」


(こっ……コイツ、マジでやる気なのか?10分なんて体操選手ですらかなりキツいレベルだぞ……一般人にはまず無理だろう?)


 そんな事を思いながら放課後にハゲ鷹山へと向かう朱音。朱音が山頂に着いた頃、すでに空翔は準備運動をしていた。


「お待たせ天王寺君。勿論チャレンジは一回だけだからね。失敗したらちゃんと私との約束守ってね」


「ああ勿論だよ。目黒さんこそ約束忘れないでよ……へへへ」


(コイツ本気で成功させる気なのか?いやいや無理だろう。普通の場所なら兎も角、山頂の木でやる訳だし、下も土だし……)


 そんな事を思っていると空翔が話掛けて来くる。


「じゃあ目黒さん時間計っててよ。よっと」


 綺麗に逆立ちする空翔。服が捲れ上がり、お腹が露になると細身ではあるが腹筋がバッキバキに割れているのがわかった。コイツひょっとしてこれが見せたかっただけなのでは?と少し疑う朱音。


 最初は余裕を見せていた空翔も5分が経過した辺りから苦しそうな顔をする。


「別に諦めても良いんだからね」


 朱音が甘い言葉をかけるが、全くやめる気配の無い空翔。


 更に2分経過し、辛そうな顔をしている空翔を見て流石の朱音も空翔の体が心配になる。


「なんでそんなマジになってんのよ。そんなに私と話したいの?」


朱音の言葉に無言で頷く空翔……。8分が経過した頃、顔を真っ赤にして必死の形相の空翔。見かねた朱音が止めに入る。


「もうやめなよ。約束の事なんて別に良いからさ……あんた本当に死んじゃうよ」


 そして10分経過と同時に倒れ込む空翔。その表情は清々しく何かを達成した男の顔になっていた。


「はぁはぁはぁ……よしっ10分」


 流石の朱音もこれには驚いた。


(まさか本当にやってのけるとは……。)


 そんな空翔に朱音が呆れた顔で質問をした。


「はぁ……なんでそんなに私と話す事に(こだわ)る訳?」


 朱音が聞くと空翔はいつもの様に軽く返す。


「えっ?なんでって……なんか寂しそうだったからだけど」


(私ってそんな寂しそうに見えてるのかしら?いやいやいや……別にそんな事無いし、なんでこんな奴にそんな事を心配されなきゃなんないのよ)


 そう思いながらも約束だからと言葉を返す朱音。


「別に私は寂しくなんか無いわよ。ただ男嫌いなだけ」


 朱音の言葉に空翔が笑顔で言う。


「へぇー男嫌いか……なんか大変なんだなぁ」


(おいおい。他人事の様に言うがアンタも男だからな。アンタも……)


 勝負には負けてしまったがあんまり話掛けて欲しく無かったので朱音は空翔に釘を刺す。


「まあ、そう言う事だからさ。話すのは約束通り許すけど、あんまり絡んで来ないでよ」


「わかった。約束するよ」


 そう言って立ち上がろうとするとフラッと一瞬よろける空翔。朱音が支えようと空翔の手に触れた瞬間……二人の目の前に宙に浮く白い女性が現れる。


この女性はいったい何者なのか?……次回へと続く。

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