第15話 三角関係
転校後すぐに留学ってどうなんでしょうね(  ̄▽ ̄)
防波堤で空翔の留学の話を聞いた朱音。朱音の中では心が揺れ動いていた。
別れが辛くなるから留学するまで空翔にはあまり近付かない方が良いのか?……それとも思い出を沢山作った方が良いのか?
悩んでいる私の下にルシエルがやってくる。空翔君には会話の聞こえない所で待機して貰った。
「朱音さん。何やら浮かない顔をしていますが、どうかされましたか?」
「あのさぁルシエル聞いて……私、どうしたら良いのかな?」
思いの内を話すとルシエルは快く相談に乗ってくれた。
「それは絶対に思い出作りに決まってます。自分の思いを押し殺してまで我慢する必要なんて無いんですよ」
「そっそうかな?でも別れる時、辛いかなって……」
そう言うとルシエルが優しく教えてくれる。
「別れる辛さよりも何も出来なかった後悔の方がずっと辛いんですよ。私も以前、自分を圧し殺して後悔した経験があるので痛いほど気持ちがわかるんです」
ルシエルの話は説得力があり、朱音も相談して良かったと心の底から感謝した。
「ありがとうルシエル。貴女に相談して本当に良かったわ」
「私はただ……朱音さんと空翔君が幸せになっていただけたらそれで良いんです」
こんな話、普通の人には相談出来ないもんな……最初はこの女幽霊に取り憑かれてるのが苦痛で仕方なかったんだけど、今となっては少しありがたくも感じる。
話が終わると空翔が朱音とルシエルに話かけてくる。
「二人とも話は終わったか?もし良かったらこの後、この前の喫茶店にランチでも食べに行かないか?もちろん俺の奢りで」
「さんせーい」
横で微笑んでいるルシエル。
「ふふふ……」
喫茶店ポールへと向かう一行。店内に入り、メニューを見ているとルシエルがまたピラフを推してくる。
「ここのピラフが美味しいんですよね……ふふふっ」
嬉しそうなルシエルに空翔が言う。
「そう言えば、この前に来た時にもそんな事を言ってたよな……じゃあ俺はピラフにしよっかな。朱音は?」
「うーんピラフも良いけど、この和風スパゲティも捨てがたいのよね」
「和風スパゲティも美味しいですよぉ……ふふふっ」
ルシエルはスパゲッティーもお薦めしてくる。迷っている朱音に空翔が提案する。
「じゃあさ。両方頼んでシェアして食べようぜ」
「あっそれ良いね。そうしよう」
意見が合った所で注文をする二人。暫くすると料理が運ばれてくる。
ルシエルが推すだけあって実に美味しそうだ。取り皿2つ貰いそれぞれ取り分けて食べる事に……。
「きゃーーここのピラフ最高。味といい風味といい文句無しね」
「こっちのパスタもなかなかのもんだ。味付けはシンプルなのに出汁の旨味が凝縮されてて何とも言えないハーモニーだな……」
「ふふふ……喜んでいただけて光栄です」
舌鼓している二人を横から優しく見守るルシエルだが、窓から誰かがこちらを覗いているのに気付き咄嗟に出ていくとそこには朱音のクラスメートの遥がいた。
「ふぅー食べたなぁ」
「私もお腹いっぱいだよ」
ルシエルが二人の下に戻り、状況を説明する。
朱音が窓の方を向くと遥は逃げ出してしまい慌てふためく朱音。
「遥が見てたって……それかなり不味いよぉー」
空翔が朱音を後押しする。
「会計は俺が払っとくから朱音は先に出て遥ちゃんを追ってくれ俺も後で必ず追い付くから……」
「ありがとう。ごめんね空翔君」
外へ出ると遠くに遥の後ろ姿を発見し、朱音が追い掛けた。
遥はそんなに足が速い方じゃないし、きっと追い付けるはず……そう思いながら走り続けた。
遥は城址公園のベンチに座って泣いていた。
やっと追い付いた朱音は遥に声を掛ける。
「ごめん遥……とにかく話を聞いて欲しいの」
朱音に気付くと鋭い目付きで睨みつけてくる遥。
「今更、私に何を話すって言うのよ。私は振られたって言うのに貴女はその私が振られた相手と呑気に食事?しかもシェアして仲良さそうにランチまで食べて……本当に最低よ」
遥の言葉に朱音も戸惑っている。
「ごめん……何も言い訳出来ないや。でも聞いて……私も空翔君の事が好きで……みんなにはその事をずっと隠してて……それで……それで……ごめん」
更に冷徹となった遥は朱音に言う。
「つまり、ずっと騙してたって事よね。私が告白する時も応援する振りをして……私が振られるのもわかってた癖に……」
「それは違っ……」
朱音の反論を遮る様にして遥が話す。
「もう貴女とは話たくないわ……ずっと友達だと思ってたのに……さよなら」
「ちょっと待ってよ遥」
そのまま走りさってしまう遥。追い掛ける事が出来ない朱音。
後ろからようやく追い付いてきた空翔が朱音に声を掛けるが……。
「ごめんな。遅くなって……あれっ?遥ちゃんは?」
空翔の言葉に泣き出してしまう朱音。
「ううぅぅ……ううぅぅ……空翔君……どうしよう……グスッ……遥に嫌われちゃったよぉ……うわぁぁああん」
泣いている朱音を優しく抱き締める空翔。
「ごめんな。俺のせいで朱音に嫌な思いをさせて……」
それから涙が枯れるまで空翔は朱音を抱き締めていた。
三角関係から破綻した朱音と遥の友情(ノ_<。)
今後、修復されるのか?( TДT)