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ルシエルの白魔女 ʚ♡ɞ  作者: 春原☆アオイ・月代ユカイ
第二章 友達以上恋人未満(キュンLV 1)
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第12話 初恋

こっこれは……まさか!Σ( ̄□ ̄;)

 トックン……トックン……トックン……空翔(あきと)に救われたあの日から……朱音(あかね)の心身にはある変化があった。


 学校にいても家に帰っても気付けば空翔君の事ばかり考えてる。そして、高鳴る鼓動……。


(いったいどうしちゃったんだろう私)


「まあ、あんな事があった後だし、気が動転してるだけよね……たぶん」


 木村(きむら)に襲われた恐怖を紛らわす為、自己防衛的に空翔の事を考えているだろう。きっと落ち着けばいつも通りに戻るはず。

 そんな事思いながら数日が経過すると学校で一つの小さな事件が起こった……朱音に取ってはとても大きな事件だった。


 この日の昼休み、親友の(はるか)と数人の女子グループが私に声を掛けてきた。


「ねぇねぇみんな。空翔君って気さくだし、優しいし、すっごく格好良いよね?」


「うん。そうだよね」


「イケメンだし、運動神経も頭も良いもんね」


 遥を始め数人の女子は空翔に好意がある様子。私はと言うと……。


「そう?私は別に何とも思わないけど……」


 いつも通り否定的な意見の朱音だったが……。

 なんでだろう……こう胸がチクチク……なんか少し痛む様な気がする。


 朱音が胸に違和感を感じていると(はるか)が思いも寄らない事を口にした。


「私ね。なんか空翔君の事好きになっちゃったみたいなんだ」


「えっ??」


 遥が空翔君の事を好き?確かに遥はイケメン好きだし、空翔君は本当に素晴らしい男性(ひと)だ。親友の恋なんだし応援してあげなきゃ……だけど……。

 この時から朱音の中で胸の痛みがチクチクからズキズキへと変わっていた。


(こっこの締め付けられる様な苦しさと痛み……私いったい……)


 苦しむ朱音に追い討ちを掛ける様に他の女子達が遥を応援しだす、


「えぇーー遥ちゃん恋したのぉ空翔君にぃ。マジでウチラ応援しちゃうよぉ」


「遥なら可愛いし、行けるってウチラもサポートするからさ。ねっ朱音」


 話を振られ驚く朱音であったが胸の痛みに耐えるのに精一杯で何も考えなしに遥の応援をしてしまう。


「えっ?ああそうね。遥の恋だもんね」


 ……ズキズキ……ズキズキ……ズキズキ……


 言葉とは裏腹に心臓に突き付ける程の胸の痛みは徐々に増していくばかり……朱音(あかね)ただ必死にその場で耐えていた。

 すると女子グループの一人がとんでもない事を言い出す。


「なんか2組の羽田(はだ)さんや4組の島津(しまづ)さんも空翔君を狙ってるみたいだし、善は急げって事で明日のお昼に空翔君を呼び出してあげるから告白しちゃいなよ」


「ふふふ……明日はいつもよりも気合い入れてメイクしてくるよ」


 遥もやる気は十分の様だ。それからと言うもの、家に帰っても何も手につかず、ただただ強くなっていく胸の痛みと戦い続ける朱音。


 ズッキッ……ズッキッ……ズッキッ……。


 胸に突き刺さるこの痛みは更に激しさを増し、朱音の心を蝕んでいく。


「痛い……痛いよぉ……何なのこの痛みは……グスッ……グスッ……」


 食事も手につかず布団の中に入っても胸の痛みでなかなか寝付く事が出来なかった。気がつくと涙で枕をビショビショに濡らしていた。


 結局、殆ど寝る事が出来ずに暗い顔で学校へと向う朱音。机に(もた)れかかって寝ていると、めかし込んで来た遥が入ってきた。

 他の女子グループ達は遥の可愛さに大盛り上がりである。


「遥……超可愛いー」


「似合ってるよそれ」


「これなら絶対いけるってこれなら落ちない男子(おとこ)なんていないよ」


 確かに今日の遥はいつもより数倍可愛く見えた。だが今の朱音に取ってはそんな事はどうでもよく、胸の痛みに耐える事だけで精一杯であった。


 そんな事は露知れず、空翔が朱音を心配して声を掛けてきた。


「おい朱音なんか苦しそうだけど大丈夫か?」


「ほっ……ホッといてよ。私、別に平気だから……」


 空翔が心配してくれたのに冷たくあしらってしまった事を後悔しつつも胸の痛みは更に増していき朱音の心を壊していく。


 昼休み……遥の告白が迫ると胸の痛みがピークへと達した。ご飯も喉を通らず、ただただ胸の痛みに耐える時間が続いた。


 苦しさが限界に達し、トイレへと(こも)ってしまう朱音。息をするのも苦しくて呼吸も次第に荒くなる。


 親友である遥の幸せを願う気持ちとそれとは全く違う感情が葛藤(かっとう)し、胸を締め付け涙が止まらなかった。

 気付けば遥の告白が失敗するように願っている自分がいる……最低だよ私。


 昼休みも終わりの時間に差し掛かり涙を(ぬぐ)いトイレを出る朱音。教室に入ると中では泣いている遥の姿が目に入った。

 話を詳しい話を聞くと、どうやら空翔には好きな人がいるらしく、振られてしまったとの事であり、クラスの女の子達が遥を励ましていた。


「うわぁああん………うわぁああん……」


「ほらアンタなら他にも良い男いっぱい見つかるからさ」


「ほらっ泣かない泣かない」


 朱音は泣いている遥を見て少しだけホッとした自分に腹が立っていた……。だがこの時から朱音の胸の痛みは何故か治まってくる。

 

 放課後になると遥達は気分転換にとそそくさと出ていってしまうが……朱音はと言うと……空翔を呼び出して疑問をぶつける事にした。


「あのさ。空翔君。どうして遥を振ったの?遥は凄く良い子だよ」


 少し戸惑った空翔が朱音に答える。


「遥ちゃんにも言ったけど、他に好きな人がいるからだよ」


 胸のチクチクがまた徐々にズキズキして行くのがわかる。でも聞かずにはいられなかった。


「この学校の生徒なの?」


(何を聞いてるんだろう私……絶対おかしいじゃんこの質問)

 それでも聞かずにはいられなかった。朱音の質問に右広角を少しだけあげて話す空翔。


「へぇーそんなに俺の事が気になるの?意外だな」


「えっ?……いや……その……なんで学年でもトップクラスの可愛さを誇る遥が振られたのか気になってただけ……」

「べっ……別に深い意味なんて何も無いんだからね」


 空翔の返しにあたふたとしている朱音。空翔が朱音に小声で話し掛ける。


「絶対に内緒にするって約束してくれるなら朱音には特別に教えてあげても良いけど……」


 コクりと頷くと空翔が朱音に耳打ちをした。



果たして朱音の恋の行方は如何に……次回へ続く。

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