第1話 出会い
初恋キュンな恋愛小説
ルシエルの白魔女
スタートです。
心温まるストーリーです。
ここは折鶴町にある小さな中学校。この学校に通う一人の女子中生がいた。
彼女の名前は【目黒 朱音】15歳……中学3年生。
大きくて尖った目にサラサラのミディアムヘヤーが特徴の女の子。スタイルは良いけど遺伝なのか胸は小さめ。
性格はサバサバしており、思った事はなんでも口にするが、決して交友関係が悪いと言う訳ではない。頭脳明晰で学年でも5本の指には入る実力者であり、おまけに運動神経も抜群。
見た目も可愛らしく、頭も良い朱音だが声を掛けてくる男子は殆んどいなかった。何故か?
何故ならば……朱音は大の男嫌いだったからである。朱音の男嫌いは学校でも有名な話であり、男子生徒が声を掛けよう物なら、完膚無きまでにボロボロに言われ撃沈させられる。それは最早、伝説として語り継がれるレベルであった。
そんな朱音に恐れを込めて男子生徒達は陰で皆こう呼ぶ。『高嶺の黒薔薇』と……。
だがそんな朱音にも恐れをなさない人物も少からず存在はしていた。隣のクラスの木村である。
木村はゴリラの様な体に金髪のモヒカン頭でヤンキー共のリーダー……つまり、番長的な存在であり、朱音に気があるのかしょっちゅう声を掛けてくるが、当の朱音は煙たがっていた。
今日も朝のホームルームの後、木村がまた調子に乗って声をかけてくる。
「おはよう朱音ちゃん。今日もご機嫌斜めなのかい?」
(ったく……いつもいつも絡んで来やがってウザい奴だなぁ。私はお前になんかに興味無いんだよ……)
朱音が不機嫌そうな顔で木村に言う。
「おはようございませんでした。私に何か用?」
「私はあんたに何も用ないからすぐにでも消えて欲しいんだけど?」
強気な朱音に若干怯み気味な木村だったが、そこは番長……威厳を保つ為、耐えながら朱音に返す。
「そっ……そんな言い方すんなよ。男嫌いも大概にしないと将来結婚とか出来なくなるぞ」
(ふん、余計なお世話だわ。だいたい私は結婚する気なんてサラサラないし、なんでお前にそんな事を言われなきゃなんないのよ)
木村の一言に朱音が怒りを露にした。
「あんたにはそんな事、関係無いでしょ?それに私は生涯独身を貫き通すの。キャリアウーマンになって他の男共をバシバシ足蹴に使ってやるわ」
「ってか、あんたとなんか話したくないんだけど、早く私の前から消えてくれる?」
(そう私に声をかけてくる男共はみんなこうやって蹴散らして来た。そしてそれは変わらない……今までもこれからも)
そんなある日の事。朱音のクラスに転校生がやってきた。
「はじめまして【天王寺 空翔】です」
「東京の方からやってきました。趣味はバスケットボールとスマホゲームです」
「まだこの町の事は良くわからないので皆さん良ければ教えて下さい」
絵にかいた様な爽やかな青年。180cmはあろう身長。サラサラのマッシュヘアーに細くしなやかな体。甘い瞳に整った顔立ち。所謂、イケメン要素を全て持ち合わせた様な男であった。
クラスの女子が皆、浮き立つのが感じられた。すると左の席に座っている親友の遥が私に声を掛けてきた。
「ねぇー朱音。転校生の子、凄く格好良いよぉ」
遥は朱音の親友であり、優しくて明るい性格。セミロングヘアーのお嬢様って感じの女の子で学年でも1、2位を争うほどの美人。男女問わず人気か高く恋愛には割りと積極的。
「ふーん。遥はああ言うのがタイプなんだ?私は興味ないな……男になんか」
朱音は男嫌い……イケメンだろうが、ブサメンだろうがそんな事はお構い無し。男に全然興味などなかった。
冷ややかな目で転校生を見る朱音。自己紹介が終わると先生がこちらを見て言う。
「じゃあ天王寺君は目黒さんの右の角席でお願いします。慣れるまではみんな天王寺君に学校の事たくさん教えてあげてくださいね」
(マジか……なんで寄りによって私の席の隣なんかに………)
そんな事を思っていると転校生は朱音に対して声をかけてくる。
「宜しくね目黒さん」
(なんか慣れなれしいし、コイツ。「自分、イケメンですから」とか思ってたら大間違いだからな)
「……ふん」
そっぽ向く朱音に苦笑いの空翔。この時の朱音は気付いていなかった。これが運命の出会いだったなんて……。
空翔は持ち前の明るさと話しやすさですぐにクラスにも溶け込んで行った。おまけに運動神経も抜群で頭も良いって言うんだから女の子達にも人気が高いのもまあ頷ける。
この前、英語の授業なんかでも発音が素晴らしいんだかで偉く褒めれてたもんな。まあ私には全く関係無い話だけどね。
休み時間になるとクラスの女子はみんな私の席が羨ましいと詰めよってくるが、私に取っては別にどうでも良い話であった。
一方、空翔はと言うと……。
【お題】
おはようございませんでした。
【意味】
べっ……別にあんたとなんか「おはよう」したく無いんだからね(>Д<;)
プチ情報でした。