プロローグ
旅をする人物そしてその傍らにはペットというよりも相棒に近い猫と類似しているが正確にはキャトルー種のお手伝い妖精のファリアが荒野の中で旅をしていた。
「いやー楽しみですね、今度はいったいどんな冒険が待ち受けてるのかワクワクしますね!」
「まぁーな今度のお宝はとんだ大物に違いないな」
「でも、長いですよね、どうしてそこまでして求めるのですか?冒険者様?」
「まぁーあれだな、そこにはお宝が眠ってるといえばいいのかなカッコよくいえばあれだロマンがそこにはあるって感じだな」
旅の男はそういうとファリアは
「さっすが、旅をしてかれこれ十年の重みは違いますねー」
「おいおいやめてくれよーファリアこれでもまだまだ半人前だよ」
「そんなそんな謙遜なさらずにーっといつの間にか話してたらついちゃいましたね」
「おっそうだな」
話しているうちにいつしかついたようで目前には広い大穴が開けている洞窟が冒険者を待ち構えるようにして居座っていた。
その奥には何かがあるそんなオーラを放っているのを旅の男は感じ取る
「それじゃあいくか準備はオッケーか?ファリア」
旅の男はそう言うと、脇にかけていた刀を引き抜くその大きさは一メートンぐらいの幅でこれはこれからでてくるであろうものと戦うための武器でもある。
使い慣れた刀は光を放って持ち主の期待に応えるように今か今かと楽しみにしているようだった。
持ち主も同じく……
「さっすが早いですね北嶺様」
「まーな、戦闘ではこれ常識だからなファリア、ていうか、準備はオッケーか?」
「あっまだでした!まだでした!ちょっと待っててくださいねーていうか、その間は目を閉じててくださいね!見たら殺しますからね」
「見ないよというか光に包まれて見えないんじゃ?」
「それでもです!」
「はいはい……」
旅の男である北嶺と呼ばれた男は後ろを向いてファリアを見ない形で体の向きを変える。
「絶対ですよ!」
「はいはい……」
どんだけうたがってるのかとため息をつく。
そして、北嶺をよく見て見ないということがわかるとファリアは早速呪文を唱える。
「モーションチェンジ」
そう唱えるとあたりが光に包まれてあたりが無空間に入ったかのように真っ白になる。
そして、一瞬の光がやむと
「終わりましたー北嶺様!」
「本当にいいんだな本当に」
「大丈夫ですよ北嶺様!ほらっ」
「おっおう」
そう言われてしぶしぶ目を開けるとそこにはフードに身を包んでいたものはなくなり、戦闘用の服に切り替わっていた。
「ほっ……良かった……」
北嶺は小さく安堵の声を上げる
「どうしたんですか、安心しちゃって?」
ファリアはそう言うと、北嶺の顔の方に向けて首を傾げてみせる
「いや、なんかさ前回、すっ裸だったから、あっ大丈夫で良かったなーって安心したからさ」
「まあー私みたいな完璧妖精かわいーこちゃんが間違えるわけありませんってぇー!女の子に何黒歴史をさらりと言ってるんですかー!」
ポカポカと北嶺を殴るファリア、ちなみに実際はボカボカと一般冒険者だったら即死する威力らしいが北嶺はDEFのみならずこの世界では一生涯カンストすることはできないであろうステータスと物理攻撃と魔法攻撃を全部無効化するスキルと装備を身につけているのである。
よって、ポカポカと殴られる表現ということになる。
「あっごめんファリア言い過ぎちゃったねごめん」
「むう」
北嶺は武器を腰に収めて手を合わせて謝る体勢をとるのである。
ファリアは頬を膨らませて怒っていた。
「許します、でもそのかわり後で街に帰ったら最高級のデザートでも奢ってくださいね」
「うん、まあ……いいだろう」
「やったーやったー楽しみだなぁあー楽しみだなぁ」
北嶺がファリアの許してくれる条件としてそれをしぶしぶ承諾すると、さっきの怒っていたのはどこへやら子供のように喜ぶファリア。
女の子は甘いものには目がない生き物だということを悟る。
「はぁー楽しむのもいいが、それはこの洞窟を攻略してからだな」
「えぇー」
「どうかしたのかファリア?」
「北嶺様僭越ながら早くデザートが食べられないとこのままじゃ死んでしまう症候群にかかってしまいましたあー早く早く食べたいなぁー」
とわざと仮病じみた真似をする。
北嶺は少しため息をつく
「はぁそうかそうかわかったよ、今日のところは早めに探索済ませて終わろうか」
「えっいいんですか?」
「いいよ、別に無理してまで未踏破のダンジョンを攻略するなんて命に関わるからさ」
「やったーやったー」
「でもまたしつこく言うが浮れるなよファリア」
「了解であります北嶺様!」
ビシッと兵隊ようにしっかりと敬礼するファリア。
よっぽど甘いものが楽しみなのか今日はいつもより気合いが入っている。
「そんじゃここで喋ってるのも何なし早速行くか」
「そうですね!行きましょ待ってろデザートタイム」
「浮かれすぎるな」
北嶺は軽くファリアの頭を叩く
「痛いじゃないですかーぷー」
「あははは、ごめんごめん」
「笑わないでください!ぷー」
未踏破のダンジョンを前にしてそんな気楽な会話をしながら二人は進むのであった。