2/75
シロイロキツネのささやかな願い
それは、シュウが依頼を受ける1時間ほど前のできごとである。
……どうしたものか、このままでは極夜はもたない。感知能力に優れている極夜は世
の中の歪みを感じすぎる故に、歪みに耐えきれない。歪みは極夜をきっと変質させる。違う何かになってしまう。私を、いままでを、忘れてしまう。………もう二度と…
私は、セカイを正そう。
きっとそれで………
セカイを渡るための準備は整った。
まず、同士を得よう!強く賢く、何より
愛しさを、失うことの痛みを知るものを。
そして歪みを消そう。私の力があればセカイを正せるはず。その後極夜と暮らすのだ。
だから、
「極夜、私出かけてくる」
すやすやと眠っている妹に優しく声をかけて
フワリと浮かび上がった。