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プロローグ
目が覚めると、目の前に白い羽根を生やした少女が二人浮いていた。
「…うっわ、死んだか」
『なによ、失礼ね』
『ほんと、失礼よ』
思わずこぼすと少女二人は全く同じタイミングでぱたぱたと羽根を羽ばたかせながら頬を膨らませた。
明らかに羽根のサイズと揚力が見合わないが、死後の世界にそんなことは関係ないか、と思い直す。
『いいから行きましょ』
『はやく向かいましょ』
少女二人はそれぞれ右手と左手を掴むとふわら
「どこに行くんだ? 天国か? 天国だろ?」
『どこからそんな自信が湧き出るのかしら』
『もとからそんな奴だったと聞いているわ』
『ああ、そうだ。向こうにゆく前に一つ。
雄しべと雌しべの数は特に分類において重要じゃないから』