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第六話 「おとこのいじ・ぜんぺん」

小説を書くのって難しい。


「あの、失礼ですが本当に冒険者登録を?」


奇声を上げた受付嬢は再度俺に問いかけてくる。

笑顔で「はい」と言うと泣きそうな顔で同僚に顔を向けている。

さっき嘆いていた受け付け嬢が、ため息と共に立ち上がってこちらに来た。


「失礼します。受付嬢のマールと申します。冒険者登録ですが、身分証を確認させていただけますか?」


はい、とストレージから仮の身分証を取り出すとまた受け付け嬢が眼を見開いた。


「アイテムボックス!?」と騒ぎ、奇声女は「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」と再度奇声を上げる。

全く進まない登録にイライラしながら笑顔で「登録は出来ませんか?」と言う。


慌てて身分証に眼を通すと、それが仮の身分証だと分かったらしく。

直に身分証を冒険者ギルドで発行してもらえることになった。

というか冒険者の証自体が身分証となるらしい。二度手間じゃなくて良かった。

簡単にギルド規則と階級に冠して語られる。


階級はF~S級まで、自分と同じかそれ以下の以来しか受けられないこと、階級をあげる為には功績ポイントと試験が必要など色々と説明してくれる。

規則として冒険者同士のトラブルは一切かかわらないとのこと、正し一般人に対する傷害などにはそれ相応の罰がギルドから与えられるらしい。

まぁ想像通りだな、と思っていたら身分証が渡された。カードになっていて【ステータスチェック】と念じると自分のステータスが空中に浮かんだ。

どうも本人しか見れないらしく、自分のステータスを確認することが出来た。

というか冒険者カードは超技術で出来ていることがわかった。

何故ならステータスを確認するのにMPを全く使わなかったのだ。

俺なんてステータス確認にMPを体感で消費するのに、【ステータスチェック】で無駄にMP消費していたのを知って、少しへこんだ。


「カードの確認は済みましたか?ではこれよりランクの判定に映りたいと思います。判定には当ギルドの教官と戦っていただき、その強さを判定していただくことになります。

事前に剣術や魔法の教官が選べますがどうしますか?」

選んでどうすんだよ、とはいわない、とりあえず「一番強い方を」というと心配そうな表情で「今居るのは元A級の教官になりますがよろしいですか?」と言った。

すごいな人類最強一歩手前の人間か。レベル2で勝てるとは思わんが一応戦ってみたいな。


俺が笑顔で頷くと、マールは少々お待ちくださいといって奥に引っ込んでいった。


再度出てきたマールにつれられてギルド奥の訓練場に連れて行かれる、そこには既に多くの冒険者達が模擬戦を繰り広げていた。

意外と強い、特に魔法は詠唱はあるものの威力は高そうだと思う。

この大陸はもしかしたら普通より強い魔法使いや剣士がいるのかもしれない。レベル2とはいえ無様な真似は見せられないと背筋を伸ばした。


「本日お相手していただく元A級冒険者マルク・ハーマン教官です」

その言葉を聴き、億劫そうに眼を開いて俺を見据える教官。僅かに目を開いたが、驚きは少ない。

こちらも、じっと見ると相手のスキルが浮かび上がる。


名前マルク・ハーマン

種族ヒューマン・ビースト(獣人)

性別男

年齢43

LV 52

職業 獣戦士

※固有能力

【獣化】

【炎神スラヴァの加護】

※スキル

【身体能力強化Ⅴ】

【危機察知Ⅶ】

【剣術Ⅵ】

【弓術Ⅲ】

【格闘Ⅵ】

【投擲Ⅳ】

【魔法耐性Ⅲ】

※魔法

【生活魔法】


ありえない。本気で接近されたら危険なスキル構成。しかもレアスキルの魔法耐性だと?魔法使い殺しか。

このレベルが教官て凄すぎるだろう。この大陸はハードモードなのか?明らかに初心者お断りステージだ。

しかも加護つき、確か炎神スラヴァは砂漠で信奉される土地神の一種で炎と熱の減衰効果があったはずだな。


無言になっている俺を見たマールが「魔法は無効化されるか減衰されるのでお気をつけてください」と言った。

それに合わせるかのように教官が言った。


「冒険者ギルドの教官を勤めているマルクだ。どこの貴族かは知らんがここは実力がものを言う冒険者ギルドだ。

そのきれいな顔が傷つきたくないというならさっさと帰れ」


俺がぽかんとしていると「気に障ったのか?」と眉間をゆがませた。


「お前がたとえ王族でも役立たずなら俺達の信頼は得られない。

だがお前が実力を示したのなら俺達は敬意を持ってお前に接し、仲間として肩を並べよう。

まずはお前の実力を俺に示せ、たとえどんな手段でもいい。俺にお前の強さを認めさせろ」


実力主義の典型だな。悪くはない。しかしながら教官殿。正々堂々と貴方を倒せれば評価は最高になるのではないのですか?

剣術が得意ならそれで認めさせるのも一興。ここは――


「剣術でお願いします、剣術には多少の心得があります。それと私のことはリリーシャとおよび下さい教官」


教官殿、面倒だな。教官と呼ぶことにしよう。

教官は不敵に笑うと壁に立てかけられた木刀を手にした。


「いい度胸だ。リリーシャ。すぐに倒れるなよ?訓練場の地面は温室育ちにはちと冷える」


俺の技能獲得ポイントは初期ポイント20とレベル1の5で合計25ポイント。今はレベルが上昇したおかげで30ポイントだ。

下位スキルは1ポイントで獲得できる、中位スキルは3、上位スキルは5となる。

魔法は一律5、ユニークと呼ばれる特殊スキルと魔法は百単位でポイントを消費する為、獲得は不可能だ。

全てのスキル魔法はレベルが上がるほどに獲得ポイント数が増加していく。

こちらの唯一の強みは眷属作製能力で作られたキャラクターは【加護】と呼ばれる恩恵を受けることだ。

マルクと名乗った教官が受けている加護とは違う、俺の加護の効果は以下のとおり。


【創造神の加護】

≪この加護を受けしものは獲得経験値と必要経験値に補正を受ける。またレベル100になったとき種族を変更し固有ボーナスを得る。≫


うん、全く関係ないね。俺の加護って進化の加護だから戦闘能力に変化が無いんだよね。

つまり俺のステータスは……


名前リリーシャ・エル・アルマータ

種族エンシェントヒューマン(眷属)

性別女

年齢17

LV2

職業なし

※固有能力

【創造神の加護】

【鑑定】

※スキル

【剣術Ⅰ】

【身体能力強化Ⅱ】

【投擲Ⅱ】

※魔法

【ヒール】


身体能力に関しては隠しパラメーターなので鑑定でも見えない。

見えるのはスキル構成と魔法のみだが今の自分では教官には勝てない。教官は強すぎる、あのステータスでNPCならまさに最強クラス。

これでAランクは明らかに詐称だろう、俺ならSランクをやる。だから勝つ可能性の高い選択肢を選ぶ。

まずこの戦いは剣術オンリーのはず、ならば身体能力強化と剣術をあげることにする。

次に【マクロ】を起動、接近剣術特化した"同僚"の【マクロ】を貼り付ける。これは【剣術】がなくても作動する。

危機対処は"山猫"の【マクロ】が受け持ってくれるはずだ。これで俺のステータスは以下のとおり。


名前リリーシャ・エル・アルマータ

種族エンシェントヒューマン(眷属)

性別女

年齢17

LV2

職業なし

※固有能力

【創造神の加護】

【鑑定】

※スキル

【身体能力強化Ⅲ】

【剣術Ⅲ】

【投擲Ⅱ】

※魔法

【ヒール】


残りポイント0


身体能力強化に15ポイント。剣術に15ポイントを振り込んだ。全力だ!

【マクロ】起動。


木刀を受け取った俺が教官に声を掛ける。


「死ななければ問題ありません。骨の数本は覚悟しておりますゆえ、本気の打ち込みをお願いします」


その言葉に教官は笑って答えた。獣人なので顔が裂けたような笑みだ。


「いい言葉だ、リリーシャ。その言葉が法螺でないことを証明して見せろ」


ゆっくりと教官が木刀を付きこんだ、俺がそれを払うとそれが合図のように戦いが始まった。

【マクロ】が発動し、教官の木刀めがけて俺の体が突進をし始めた。


最強の眷属VS最強の獣人!

今ならマルク・ハーマン圧倒的!

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