朝食後にて続、自己紹介
アリシアちゃんが部屋に運ばれてから数分後、
僕は、昨日晩御飯を食べた場所で今度は朝御飯を食べていた
相変わらずエルシーの突き刺さる視線が怖いです
「姫様、そんなに彼を見つめちゃって一目ぼれでもした?」
「そんなわけないだろう!!」
「必死に否定するあたり怪しいよのう」
「こんな変態男を誰が好きになるか!ここが中立でなければ即刻斬っていたというのに」
「斬ったらコレクションにならぬではないか!やはりわらわが綺麗に殺してやろう」
食卓で剣を振り回さないでくださいエルシーさん、御飯はすでに食べ終わっていたからよかった
そして斬るとか言われたような気がするんですが、まだ命狙われてたのか!1日たったし名前教えてもらったから少しは安全だと思ってたら違ってた!
でも考えてみたら、名前教えてもらったのってアリシアちゃんとエルシーだけじゃないか?
まだ半分、この幼女の容姿して年寄りみたいな話し方するエルシー曰く魔王とアリシアちゃんの師匠で魔道師らしいこの男の人の名前を僕は知っているか?
「あぁ、そういえば僕の自己紹介まだだったかな」
「えっ」
心を読まれたかのようなタイミングで僕は驚いた
だがきっと食卓に座ったことで魔道師さんが思い出したのだろう
「待て、ここはわらわから自己紹介をしようぞ!」
「そうかい?でも君話だすと長いじゃないかここはやっぱり僕から…」
正直どっちが先でもいい、早く名前をしって少しでも生存率を上げるための交渉をしたい
そういえばさっきからエルシーがおとなしい、魔王に突っかかってくると思ってたのに
やっぱり姫様だから僕の気持ちを少しは組んでおとなしくしてくれてるのかな
って、いない!?
「エルシーなら外にいったよ、もしかしたら帰ってしまったかもしれないが」
暫く考え込んでいた僕が顔をあげるとエルシーはいなかった。そしていつの間にか話し合いが終わっていたらしい魔道師さんにまたもや僕の考えていたことに対して答えたのだがそれは・・・
「えぇい!そんなやつのこときにせず、わらわの話を聞かぬか!」
「うわぁ!」
目の前に急に魔王の顔が迫っていて僕は椅子から転げ落ちた
「何を驚くのじゃ、失礼なやつじゃのう」
「そりゃ誰だって驚くだろうさ、魔王が目の前にいたならね」
「いや、魔王とか関係なく急にこられると驚きます」
「そんなに驚くことかのう?」
「さぁどうだろうね?そんなことより自己紹介はやくしてあげたらどうだい」
そうだ!自己紹介をここまでひっぱった上にさらにそれるところだった
「えっと、魔王様?ぜひ自己紹介お願いします」
「おぉ!わらわのことを知りたいとな?ますます気に入ったやはりコレクション決定じゃの!」
いや、さっきまで自己紹介するっていったの貴方の方じゃないですか
「では聞くがよい!わらわの今の名前はクラリーチェ」
「待って、今ってなに」
「さっそく話の腰をおるでない!質問は後じゃ!それとも、もう言わなくてよいのかえ」
「あっはい、ごめんなさい。どうぞ続けてください」
結構気分屋なのかもしれない、ここはおとなしく聞いとこう
「ふむ、では続けようぞ。えっとなんじゃったか、地位は魔王でこの世界の半分を仕切っておる、とってもえらーいわらわなので言葉遣いにはきをつけるのじゃぞ?」
「でも主はなかなかに面白そうじゃから言葉遣いは気にしなくてもよいぞ」
「あぁ、あの勇者とは遊びで戦っておるのじゃ、あやつは本気のようじゃが、わらわにとってはいい暇つぶしよの」
「趣味は主のような変わったものを集めることじゃ、いまのところ主とアリシアが特に欲しいのう」
長い!いや、学校で3分の自己紹介させられた時より、はるかに短いだろうが他の2人がもっと短かっただけにこれが長く感じる!
「ほらほら、君がしゃべりすぎて彼追いつけなくなってるよ」
「むっ なんじゃ耐え性のないやつじゃ、しかたないのう質問にこたえてやろうぞ」
これ完璧に心読まれてるんじゃないかな、でも信じたくないから今はスルーしよう!
「えっとじゃあさっきの質問の答えをお願いします」
「あぁ名前じゃったな。この通り何年も生きてるとな名前も変えなければ飽きてくるのじゃ」
「すみません、どの通りなんですか。」
「見たままじゃが?何かおかしいかえ?」
「あえて言わなかったことですが幼女がそんな年寄り口調で話すのもおかしいですし、魔王とか言われても信じたくないですし、名前ってそんなに簡単に変えれるものでしたか?」
「わらわの体が幼女なのはこの方がいろいろ都合がいいのでな。魔王であると証明してもよいがそれは主がわらわと共に来てくれるならの話じゃな。名前なんぞどうでもよいのだ、魔王だからの」
だめだ常識が崩壊する!やっぱりこれ夢だ、質問の答えがおかしいとか今はどうでもいい、夢なんだしこんな設定もあるよね?程度の認識でいこう!
「君、まだ寝ぼけてる?まぁこの世界早く慣れるといいね」
決意を新たにした瞬間、魔道師さんに否定された気がするが、心を読むなんてそんなの現実じゃありえないのでここもスルーだ!
「そ、それよりも魔王様のことはよくわかりました!次は魔道師さん?自己紹介お願いしてもいいですか!」
「いいよ。僕の名はロレンツォもちろんこれは今の名前だけどね。この町の町長的な存在で、薬を作ったりしている。アリシアは僕の家のお手伝いさん兼弟子で一緒に暮らしてるよ、これくらいでいいかな?質問はあるかい」
「短いですね」
「うーん、特に言うべきこともないし男の話なんて興味ないだろう?」
「そうじゃそうじゃ、そんなつまらぬ男の話よりわらわの話の方が楽しいぞ」
「自己紹介に楽しさは求めてないです」
でもやっと全員の名前を知れたことだし、これで少しは生命の危機フラグも下がったかな
「さ、自己紹介も終わったし君のこれからをどうするか決めないとね」
「いや夢だからいい加減覚めて家に帰りますし」
「まだ寝ぼけておるのか?つねってやろうかえ?」
「もう君は僕らと1日過ごしているし、夢も見ただろう?もう君は心の半分は諦めて、僕らと安全に過ごすために自己紹介までして、この世界を知ろうとしている、もう認めた方がいいよ」
いわれてみれば、1日たってる。それに覚めるとわかっているなら、彼女たちを知る必要はなかったのだ。僕はもう認めざるおえないのかもしれない、これが夢じゃないことを・・・
「さてアリシアもいい加減起きるころだろう。エルシーは戻ってこないと思ったらやっぱり帰ったのかな。魔王、君はこれからどうする?」
「そろそろわらわも帰るかのう。だがこやつも連れて帰りたいしのう」
「まだ彼には時間がいるみたいだし明日まで待ってあげなよ」
「待つのは嫌いじゃが仕方あるまい、ではまたの」
そんな会話を聞き流しつつ、僕は頭を抱えたまま机に伏せ、さっきのことについて悩み続けていた