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第6話:力の差。

「おい!誰か回復系の能力者いないのかっ!?」

「お母さんっ!お母さんっ!」

「包帯たらねえぞっ!」

薄ぐらいシェルターの中に悲鳴と怒号が鳴り響いている。むせかえる様な血の臭い。最大50人程しか収容できないこの部屋はすでに許容量を越えている。

「直ちゃん…」

不安を紛らわす為に紡がれた、想い人の名。彼は無事なんだろうか?シェルターはここにしかない。直人の姿がまだ見えない智佳は、不安と恐怖で胸がつぶれそうになる。彼は戦ってるのだろうか?能力がなんだというの?いざと言うときには役に立たない力。そんなものの為に、無能者と蔑ますまれ苦しんでいる友人もいる。耳に届く悲鳴を遮るかの様に手で押さえる。

「直ちゃん…」

もう一度呟くその名前は、周囲の喧騒に掻き消されていった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


突き出す拳が空をきる。風を切る音を聞きながら、咲耶はさらに攻め立てる。

「最高だよ君は!」

ヒュンッ――立て続けに襲いくる攻撃を笑いながらよける。スーツの乱れを直しながらの余裕の行動。緑の瞳は楽しげに細めている。

「このっ!!」

「当たらないよ?次は僕だね?」

そう言うと指を空中に踊らせ、魔法陣を描き

ゴアアアァァッ!!!

《殺戮人形》から緑色の巨大な犬が飛び出してくる。「…あんたの能力はその魔法陣みたいね?」

「クスッ否定はしないよ」

全長5mはあろうかと言う巨大な犬。緑のオーラで造られた迫りくるそれを、しかし

「ムダッて言ってんのよっ!」

シュババァッ

左手を一閃するだけで、消し去る。

軽くステップを踏み腰を落とすと

「はああぁっ!」

力を溜めた拳を前に突き出す。白い衝撃波が扇上に広がり、アスファルトを削りながら敵を飲みこまんと進んでいく。

「むっ!?」

危機を感じたのか、正面に魔法陣を展開。防ごうとするが

「……っ!?」

「無駄よ」

音も無く魔法陣は消え去り、衝撃波が《殺戮人形》の全身を暴れ狂う。

「ぬあぁーーっ!!」

「防御だけじゃない。私の攻撃すら力を飲み込み還元する」

光に貫かれもがく様を見ながら、顔に当たる髪をかきあげる。

(す…すげえ)

改めて咲耶の戦いを見て驚嘆する直人。自分では手も足も出なかったと言うのに…。ふらつく体を支えながら悔しさに唇を噛む。

「三沢くん…早くいきなさいっ」

「あ・ああ。すまない」

直人を促す為に視線をそらしたその時

「いけないなぁ?どこを見ているの?」

「…っ!?」

カッ――閃光が辺りをてらし

スガガガァァーーーン!!

凄まじいまでの爆音が鳴り響いた。

「ぐあっ!?」

「きやぁあっ!?」

爆風が周囲を撫で付け、建物や木々が吹き飛ばされていく。

「くくく…ヒャハハヒャッ」

爆発で生じた衝撃で散々に破壊された上で狂ったように笑う。

咲耶の攻撃による苦痛や外傷は見当たらない。せいぜいスーツが乱れているくらいだ。

夕方までは綺麗なイルミネーションで彩られた憩いの場所。今は見る影もなく繁華街の殆どは消し飛んでしまっていた。

「あ…う」

ガラッ。埋もれた瓦礫の山から直人を抱えはいずり出す咲耶。全身は血と埃で塗れ、裂傷・打撲等が幾つも出来ている。

「あれ?今ので死ななかったんだ?大概丈夫だね?付近200mくらいは消し飛ぶ力なのに」

「がっはっ」

血を吐き膝をつく。肋骨が何本か折れたのがわかる。土煙漂う視界の中直人の見る。

(良かった…。生きている)咄嗟に庇ったお陰で命に別状はない。その体は血まみれではあるが。

そっと寝かしつけ《殺戮人形》を睨み付ける。

「なにを…したの?」

唇から血が一滴垂れ拭いながら尋ねる。

「くく。攻撃だよ?君が耐えられないだろう力でね?」

「…兵器召喚」

攻撃される瞬間に視線を戻した時に見た、幾つものロケットのようなもの。それを思い出す。

「君の《白鳳》は能力が出すエネルギーには強いみたいだけど、純粋な物理力にはあまり強くないみたいだからね?ある程度の物理力なら、力を還元し跳ね上がった君の体自信でも防ぐ事は出来るだろうけど、これは効いたでしょ?」

「くっ」

「格闘重視に置いた攻撃だから、もしやと思ってね?」

得意げに説明するその顔を憎らしげに思いながらひたすらに睨む。《殺戮人形》の言う通りだ。《白鳳》の唯一の弱点をつかれた。

咲耶の攻撃主体は主に、超接近戦による直接打撃。

勿論、能力吸収した物を操る事も出来なくはないが、体の基礎能力を上げる事に殆どをまわす。上がった体力での一撃必倒。これが戦いでの主体だ。ある程度の物理攻撃なら避ける事や防ぐ事が出来るのだが、無差別での物理的な爆発などでは対応できない。生き残れたのは、《殺戮人形》の力を何度も吸収し、自身の体の防御力を極限まで高めたお陰で命が助かったのだ。

「魔法陣からのエネルギーが主体じゃ…なかったの?」

「否定はしないと言ったけど、肯定もしてないよ?」

「…………」

「魔法陣は魔神から得た力だよ。僕自身の力は物質化能力。イメージした物を作り上げる事ができる。制限はあるけどね。それに忘れたかい?僕の本業は科学者だよ?」

ブーンと音をたて、《殺戮人形》の周囲に数十個もの物体が現れる。

「自身が理解しているなら例えこの世に存在していない物体でも作り上げることなど造作もない。魔神のおかけであらゆる能力が向上したしね」

「くっ…」

まさに絶望的。勝てるとは思っていなかったが、まさかここまでとは思っていなかった咲耶はなすすべなくそれを見つめている。

「…今夜は三日月か。僕は三日月が好きなんだ。ある男の悲しい人生の物語りを思い出すからね」

ふと空を仰ぎ見、誰ともなく呟く。遮るものは何もなく破壊された繁華街から立ち上る炎が暗い夜空を明るく照らしている。

「さぁ。もう終わりにしよう。彼女の気配が近い」

「……?」

その台詞に疑問符を浮かべる咲耶に

「なかなか楽しかったよ」

死の宣告が告げられる。

(どうすれば…!?)

体は殆ど言う事がきかない。しかし立ちすくむわけにはいかないと構えをとる咲耶。その様子を嘲笑うかのように数十もの爆弾が四方八方から迫りくるのを見

「負けて…たまるかぁーっ!」

咲耶の絶叫が、三日月と炎が照らす闇夜に吸い込まれて行った。

眠い。意識朦朧の中書き上げました。他の小説と同時に書くのは疲れますな。さぁ今日は遊びに行くぞー。

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