第1話:Prologue of prologue―偽りの世界―
暗い黒い喰い闇の中。 赤い朱い紅が降る。
唯一無二が無に染まり。 行くべき地が腐り逝き。 全ての愛が哀になる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
―俺が死んで行く。
闇夜に僅かに照らされる月明かりに照らされながら自身の消失を認識する。見上げると微かに見える三日月。はかなげなその姿に己をダブらせる。月明かりが照らす辺りには延々と広がる瓦礫の山。散乱する人だった壊れた人形達。優しかった隣人。愛してくれた家族達。掛け替えのない存在が手の平から零れ落ちて行く。
「10歳の誕生日に僕はお母さんに殺された」
「15歳で妹に殺された」
「18歳の時に俺は幼なじみに殺された」
「20歳で片思いのあの娘に殺された」
「23歳で俺に告白してきた娘にいきなり殺された」
「28歳の俺はまた殺された。婚約者に」
今度こそと。何度も絶望しながらもやっと手に入れたはずの幸せ。それが手の平から零れ落ちて行く。繰り返される裏切り。果てしなく続く絶望。永久に繋がる呪いの連鎖。崩れ行く心の中で最後に聞いた言葉を思い出す。
『化け物』
目にはもう何も映らない。耳にはもう何も入らない。口にはもう唄は紡がれない。鼻にはもう香を呼び込まない。全ての五感がもう世界を感じれない。
「くくく」
潰れたはずの喉から声が漏れる。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
人だったはずのソレは狂った様に笑う。その姿はまるで悪魔の様。己で殺した存在に向けて壊れたかのように哄笑する。全てに絶望する悪魔は笑い続ける。涙を流しながら。
そして―
世界は歪み捩れ腐り潰れ崩れ割れ零れ壊れ狂い死んだ。
ちわっ!作者です。出だしはかなり暗いっす。まぁそこそこコミカルに描くので重くはないかと…。ちなみに恋愛コーナーで、らぶ・ぱら☆てのを連載中です。文構成は全然違うし、かなりくだけたおバカな話しですがそちらもヨロシクー(^^)v