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滝先生との初対面。


翌朝、足袋とTシャツ、それからランニング用の長ズボンをカバンに入れ


無論、教科書等々のどうでも良い物も入っているわけではあるが・・・。


悪魔の揺りかご(通勤電車)に乗り込む。


まだ通学に慣れていない俺にとったら通学は地獄でしかない。



が、今日は少し違った。


気持ち的にだが。




・・・う・・・う



うおぉぉぉぉぉ!!!



今日から練習だぁぁ!!



気合の入り方が違ったのだ。


この悪魔ども(通勤中のリーマン)を蹴散らしてさっさと学校行ってやるぜ!!



学校到着。


朝頑張りすぎて、ぐったり


「うぅ・・・死ぬ・・・吐く」


「ねぇねぇ~今日部活休むからぁ~」


宮崎が言ってくる、この過酷な健康状態で。


「あ゛ぁ゛?聞いたよそれはよぉ~!」


ぐっだぐだになりながら返答。


「ほらぁ~怒らない怒らないぃ~」


てめぇ―はゲイか。






とにかく面倒な、授業をほとんど聞かずボーっと過ごした。


というよりも脳は完全に寝てたと言った方がいいかもしれない。


目は開けていた・・・と思う。



とにかく授業もすべてグダグダ。


高校入ってすぐの定期テストひどいことになるだろうな・・・


分かっていても中々授業には身が入らない。


なんせ今日から


部活なんだから!!










放課後、とにかくダッシュで道場へ!!




・・・道場が開いていないッ!



どういうことだ?


今日は例の「滝先生がいらっしゃる」そして「色々できる」そうじゃなかったのかッ??


諦めつかず道場の前で10分くらい唸っていると


先輩の一人がやってきた。


「何やってるの?!」


「それが道場開いてないんですよ!」


「そりゃ、カギを開けなきゃ開かないよ・・・」



先輩は手にカギを持っている。


「えっ!カギってどこにあるんですか?!」


・・・まさか小中学校的に毎回職員室に取りに行かないといけないのか?


『失礼します、~年~組の~です。道場のカギを取りに来ました!』


まさか先輩たちはいつもこんなことを・・・



「職員玄関の高田先生の下駄箱に入ってるから道場開いてなかったら取りに行ってね。」



た、高田先生??職員玄関??下駄箱??


無茶言わないでッ。


「あ、は、はい・・・」


そういうしかなかったのだが。


「あ、はい無理ですねぇ~」


え?せ、先輩分かって言ってたんすか?!


まあいいか。


先輩がカギを開けてくれて先輩に続いて道場に入った。


「失礼しまーす」







道場はシャッターがしてあって外から入るためにはドアから入るしかない。


弓は”武器”だ、管理をしっかりしないといけないということだ。


だから最初に来た人は全部シャッターを開けて道場自体の準備をしないといけない。


シャッターを開けていたら、あの荒井先輩が来た。


「失礼しまーす、あ、辻井先輩こんにちは~、おッ・・・ようッ!」


「よう、じゃないだろ!」


「あ、すみません」


軽く蹴りを入れられる荒井先輩。


辻井先輩は3年生、荒井先輩は2年生ということで良いのだろう。


「こ、こんにちは、はは」


苦笑しながら俺は言う。


シャッターを開け終わった俺は続いてこういう


「えーと、僕はどうしたらいいですか?」


「ほら、男子!さっさと裏連れてってあげるッ!」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!弓だしてるんすから!」


「は・や・く、は・や・く」


「は、はい!」


荒井先輩の動きが早くなる。


弓をしまっていた袋をたたむスピードが笑えてしまう。


「ねえ、早くやるのは良いけどさぁーきれいにやってくれるー?ぐちゃぐちゃじゃんかー」


「す、すみません」


しゅんとする荒井先輩。


うんでも、そのたたみ方は荒いですね。荒井先輩。


とりあえず先輩の準備が終わって


的の裏まで連れて行かれる。


そしたら小さい部屋があって・・・


そこが男子の部室ということだ。


「男子、肩身が狭いですね・・・」


「いや、まあこれで男子3人だからさ。人数的にしかたないよ。それに女子は部室ないしね。」


「え?3年生の方は?」


「え?ああ、そうか1年生が今年は2人もいるのか!うらやましいなぁ!」


「ああ、もう一人の方を忘れてたんですね!はは」



よし、取り合えず会話が成立しているぞ!!(そしてもう一人の一年生宮崎はうらやましがられる対象ではない!!)


・・・ん?女子は部室無い?


ナ・イ??


「先輩、女子はどこで着替えたり・・・?」


「ああ、道場の昨日座ってもらった畳のとこで普通に着替えるよ。」


「え?!普通に!?」


「いや、まあ、隠すけどね!ははは」





・・・お、おぉぅ、良かったような残念なような。


「女子は脱皮術持ってるからね」


「ああ、それ分かりますね。はは」





おわかりだろうが説明しよう、脱皮術とは女子が教室で体操着等に着替える時


何やらウマいことやって下着等を見せずに着替えを完了することができる技である。


制服がスカートだからこその技であることは言うまでもなく、男子は遂行することを許されない・・・








って俺は何を語っているんだ。あほか。


話しながら着替えていると外から車の音が・・・


「あ、滝先生がいらっしゃった!!」


大慌てで先輩が部屋の外へ!


俺も続く!


道場の裏は車道に面していて金網で囲われている。


金網には大きいスライド式ドアがついていて、車が停められるだけのスペースがある。


いま、まさにそのスペースに車が入ってこようとしていた。




”滝先生・・・いったいどんな人だろう・・・”


不安と期待が入り混じる、そんな心情で車の扉が開くのを待つ。



。。。「ガチャ」


ドアが開く・・・


「ああ、荒井君、はい、こんにちは」


「こんにちは!」



うぉお!なんときれいな礼だ!


これは女子の世界で暮らしてきた結果なのか?


いつもさげすまれてきた結果なのか?????


というか師範の先生・・・



また女性!?



60代くらいの元気なおばあさんだ。


何やらアクセントが関西っぽい。


「ああ、今年の一年生?荒井君、男子。」


「はい、男子です!」








・・・・チーン



え?今の会話終了?









・・・チーン


終了ですね。



ま、まあとりあえず、


そうして師範「滝先生」との初対面を果たしたのだった。



滝先生は俺に向かってこういった。


「男子は毎年少ないから貴重なのよ。インハイ行ってぇな。


最初の1,2か月は練習辛いけどあとからそれがなんだったのか分かるときがくるからね」



「はい!!」


そんなことを言われながらすでに着替え終わっていた男子二人は道場の畳のあるところへ戻る。








そういえば部室で色々教えてもらった。


弓を引くところを射位っていって射位の後ろに畳の場所があるわけだ。


矢が的まで飛ばされて移動する区間を矢道、


矢の到着点が的であり、外れた時に到着するのが安土っていう土の盛山みたいな物。


矢を取りに行くため人が歩く道を矢取り道って言うんだって。



矢道を挟んで射位のある方が”表”、安土の方を”裏”


そうこの部では呼んでいるのだそうだ。



ってなことで修正。


男子二人は裏から表へ移動したのだった。

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