部員の一人に
長い長い一週間。
俺、入部してんだけどなぁホントなら、ああ、しくじった。
あんとき
「入部届あるんです」
って言うことだけで変わってたかもしれないのに・・・
その一週間グダグダ
入学してすぐに基礎学力を調べるとかいうテストを
国、数、英の3教科やったのだが
全部中一レベル
あくまでここは高校だろ?
3教科ともに95点を超える
まわりもさすがにこんなのは・・・
「こんなの無理なんだけどぉ~えぇ~普通に50点行く人いるのぉ~」
誰だ?こんなアホを合格させたのは。
「ああ、ってか最初の掛け算間違った~ははははは」
とりあえず小学校に戻って九九からやり直せ。
さすがにそんなのばっかりってわけではないが
英語はひどい物だった。
全部マークシート方式だったのだが
周りをみると
30点、65点、50点、45点・・・・
バカなのか、それともふざけてやったのか
this is a pen の域だぞレベル的に
「この名詞の前にくるのは a でしょうかそれとも an でしょうか。1か2を塗りつぶして答えなさい」
なめてんのか??
俺はマークミスで一問落として97点
まわりからは英語ができるヤツってその時にレッテル貼られたが
これでできるヤツにされてもうれしくない
というか悲しくなってくる。
もうグダグダだ
はやく部活よ始まってくれ・・・
そして火曜!
・・・部活動オリエンテーションってのがあったのだ
全一年生が体育館に集められ
各部の部長が部紹介をしていく
・・・レベル低いッ
なんていうか説明もグダグダ
「えーと、そのー」
が永遠と続く。
やってられない。
とりあえず俺は今日から弓道部だ。弓道部に入るんだ。
弓道部の説明を聞いて入部の決心が揺らぐのは耐えられなかった俺は
一年生が座って並ぶ列の前から4番目という超危険ポジションながら
ばれないように寝た。
・・・・全員が立つ
びっくりして俺も立つ
なにやら体育館中に生徒が散らばる
生徒の向かう先には先輩らしき人たちがいる
「こ、これは・・・弓道部の部長を探してそこに行けばいいんだな!」
状況で希望の部活の部長の所へ集まるのだろうと判断
探す。
名前が分からないけどあの部長さんのところへ!!
あ、弓道着着てる。あ、目立つ。
ダッシュ!
お、お、お、おぉ!!?!?
弓道部の列に人が並ぶ並ぶ。
これは今年は運がいいのか男子の人数増えるんじゃね?
俺の想像してる女子のみの世界ではなくなるのでは?
ただ、この人数はあの道場に入らないだろう・・・
そんなことを考えながら列へ紛れる。
「出発しまーす!」
部長の声。
え?!どこへ?!
体育館を出て、みんな靴に履き替えさせられて
校門をくぐり・・・
道場へ!!
いや、だから入らんって!!
が、無理やり入れられた。畳のスペースが7~8畳分あるんだが
そこに大体30人くらいが押し込められる。
先輩たちはそんなことは気にしないみたいだ。
ぎゅうぎゅうな中で順番に弓を引きながら矢とか弓とか・・・弓具の説明を始める。
俺は絶対入部するつもりだったから必死で覚えた。
だけど・・・
そんな重要な話はなかった。
「これが弓です、これが矢です。」
はい、見ればわかります。
その時の説明で具体的だったのは二つだった。
「的と射手との距離は28mです。」
「的の大きさは一尺二寸です。実物はこれです」
スゲェ・・・遠いな・・・ってか小さい・・・
周りはそう思ってないみたいだが
「・・・あれくらいなら中てられるべ。」
「いやだって28mしかねえんだぜ?」
とボソボソ。
やっぱこいつらアホなんじゃねぇの?
野球で例えよう
距離は28m、ボールの大きさは矢の太さ、球種はストレートのみ、ストライクゾーンは的の大きさ。
お前ら、中てられんのか?
何よりも弓を使うわけだから真っ直ぐに飛ばすわけだ。
角度が1度ずれた時、28m進むうちに何cmのずれになるよ?
弓に触れたこともない、練習のれの字もまだしてない、弓道何て1回先週見ただけだ。
それでも中てることが容易でないことは何となく想像できていた。
こういう人たちと俺はタメで部活やっていくのか・・・先が思いやられる・・・
説明が終わり、学校に戻る。
カッタルいHRを終え
放課後、
道場へダッシュ!
入部届を片手に
下駄箱に着く、そしたら同じクラスの人?らしき人から声をかけられる。
俺はクラスの人間を把握していない。
「ねぇねぇ、弓道部入るのぉ?」
いかにもオタク面の男子だ。
「おう。これから道場行く。じゃな。」
「ええぇ~・・・もういくのぉ~?じゃあいくぅ~」
あ、まじか。
まあいいか。
「じゃあいこうぜ!」
軽やかにダッシュ!おお!これでこの学校でのやりがいを俺はゲットできる!!
「え~走らなくていいじゃーん、ゆっくりゆっくりぃ~」
え、あ、まあ別にいいけどさ...
調子狂うなぁ、そう思いながら一緒に歩いていく。
道場に着き、入部届を見せる。
先輩が必死になって俺たちに言う
「いま顧問の先生たち学校に戻ってったばっかりだからまだ道の途中のはず!追いかけて!」
とりま俺ダッシュ!
「待ってよぉ~」
悪いな、待てない!
途中の道で先生らしき人発見。
「先生。弓道部の顧問の先生ですか?」
「え、うんそうだよ。」
「今日から入部させてもらいます。コレ入部届です。」
「ああ、分かりました。受け取りました。」
うん、「受け取りました」っていって確認をする所が商業高校の先生らしい。
ビジネスでそういうの大切だもんね。
あとからそいつもやってきて。
「これです。」
これじゃわからないよ君。と俺は思いながらも先生は
「はい、わかりました」
そういって受け取った。
無事俺は、いやこの時点では俺たちは入部を成し遂げ、
部員の一人となったのだった。