first part, 部活への飢え
この物語はただの作り話ではないかもしれません。
高校生活が今始まろうとしている。受験は一回失敗して第二志望の学校だ。
正直なところそんなに楽しみではない。
レベルも高いとは言えず、有名でもない。
特徴と言えば普通科の学校で無く商業科の学校であることくらいだ。
この学校に通う意味を見つけ出せるだろうか?そんなことを考えながら初めて学校の門をくぐる。
ネガティブ、ネガティブ。ずっとそんなのではならない、そうとは分かっていても難しい。
実際、友人もまだ一人もいない、周りは同じ中学から来てるってやつも多くて楽しげに話している。
単純につまらないのだ。つまらなくて、つまらなくて。こうしてネガティブになっていく。
中学では陸上競技部に所属し自分としては熱心に活動をしていたと思う。
この高校でも部活をやって充実させよう・・・。そう思っていた。
た・だ、中学で頑張りすぎた俺は陸上には少しのトラウマを感じてしまい、
陸上を続けるつもりはさらさらなかった。
そんな時、こんな話を聞いた。
「この学校は弓道が有名です。校外の師範も専属でいて礼儀と正しい弓を重んじた弓道部です。」
もともと、幼稚園から小学生の終わりまで剣道をしていた俺は武道とか日本らしいことが好きだったので軽い気持ちで弓道良いなぁくらいに思っていた。
つまらない・つまらない・つまらない。
入学式がとにかくだるかった。耐えがたい入学式。
吹奏楽部が大いに音を外し、保護者も笑いを堪えるほどだ。
俺は笑えもしない。とにかくつまらなくてやりがいを早く見つけなきゃ。
学校に通う意味を・・・見つけなきゃ。
ずっと、ずっと入学式の間考え続け、「部活に入る」それしか頭になくなってしまった。
部活・部活・部活、入部・入部・入部。入学式が終わったころには頭はそれでいっぱいだ。
その時に知っていたこの学校の部活は「弓道部」だけだった。
入部することに余りに飢えていた俺は・・・高校初日が終了してすぐに担任にすがりつき本来もらえない入部届をもらい校外にある弓道場の前にいたのだ。
この弓道部で過ごしていく時間がいかに大切なものになっていくかはこの時分かっていなかった。