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2・事情説明

「黙って来い」


「おいおい、兄弟。

 そんな怖い顔すんなって!

 宣伝しなきゃ人が来ないだろ?」


目の前の変人に反省した様子は無い。

悪い事をしたなんて自覚もないのだろう。

とはいえ、人の家の前で謎設定を大声で語るのは辞めて欲しい。

近所で変人を知らない者は居ないとはいえ、生中継のカメラの前で魔法が使える、だの最高傑作が出来た、だの騒がないでほしい。

今でも体のデカさで目立つというのにこんな形で全国に名を広めたくない。


今朝早くからずっと放送されていた昨日の学校で起きた集団錯乱についてインタビューを求めた報道陣に目の前の変人が妄言を吐いていた事をテレビを付けて知った家族に教えられた時の俺の気持ちよ。

気持ち良く眠っていたのに邪魔しやがって。


カメラに囲まれていたから強引に分け入って面倒事を増やそうとする厄介者を急いで家に引き入れた。

家族からはまたかという慣れた様子の苦笑で済ませている雰囲気だが今回は規模が違い過ぎる。


以前から変人が話していた魔法という謎設定。

それが本物かもしれない。

馬鹿げた考えかもしれないが昨日の事を思い出すと頭から否定ができない。

催眠術や暗示だと変人の口から言ってほしいが違うのだろう。


「昨日のは…アレが魔法なのか?」


「おいおい、兄弟。

 前から説明してただろ?

 俺は異世界から来た魔法使いだって。

 信じてなかったのか?」


自室に連れ込んで面倒事に巻き込んだ変人に問いかけると不満そうな顔で答える。

あんな妄言を信じる奴が居るはずが無いと返したいが、起きた事から目をそらす訳にはいかない。

面倒だが、今回の事を解決しないともっと面倒な事になる。

それだけは確信を持てた。


「昨日は何をしたんだ」


「おいおい、ようやく聞く気になったのか?

 前から説明してた通りさ」


変人は俺のベッドに座ると床を指差した。

もう一度、説明してやるから座れと言いたいのだろう。

話したがりだが、昔から上から見下ろされるのを嫌っていたからな。

指示通りに変人の向かい側に座ると目線が変人の方が少し高い。

変人は気を良くして話しだした。


「俺は異世界の魔法使いの生まれ変わりだ!

 得意な魔法は肉体操作と精神操作!

 夢は世界征服だ!」


まるで劇場の役者のような激しい身ぶりで話しだした変人。

それは小さな頃から言っていた事だし、初対面の相手に言う自己紹介でも似たような妄言を吐いていた。

それで大抵の奴は遠ざかっていたな。


「だが問題があった。

 俺の魔法は異性にしか使えない。

 つまり男にしか効かない」


腕を組み顔をしかめて問題が起きたと言わんばかりの態度で続ける。


これは初耳だ。

しかしそれでは昨日の騒動と矛盾する。

異常が起きたのは男子ではなく女子だ。

まさか今まで女装していたってオチじゃないだろう。


「俺は女が好きだ。

 男に囲まれるなんて死んでもゴメンだ」


それは知ってる。

変人が同性好きなのはよく知っている。

何度、それでクラスメイトから文句が来た事か。

確かこの前は着替え中に変人がエロい目で見てくると相談に見せかけた文句を言われたな。

それをされた俺の気持ちを教えてやりたい。


「そこで考えたのが魔力変換器を創る事だ。

 今の少ない魔力で動かせる低燃費を実現させる為に魔力の収集、貯蔵に特化した肉体改造。

 俺の魔力を元に貯蔵した魔力を変換して魔法として放出する機能を阻害させない精神性になるように誘導。

 つまり兄弟を経由すれば魔法が女に効く。

 昨日は初運転だった訳さ」


こいつ、俺を普通にモノ扱いしてるな?

しかも自慢げにニコニコと。

しかも肉体改造とか精神誘導とか聞き捨てならない単語が聞こえたが…今は気にしても仕方ないか。

過ぎた事を掘り返しても面倒なだけだ。

聞かなかった事にしよう。


「…想定外って言ってたな」


学校で聞こえた言葉を口にすると顔を横に背けた。

分かりやすい奴だな。


「あー…

 本当は好意を抱く程度のはずだったんだぜ?

 効くのも昼休み頃を想定してたんだが…

 魔法の抵抗力の低さを読み間違えた」


「どういう事なんだ?」


「魔法で精神破壊しちゃった」


今更、可愛いく言うな。


「元に戻せるのか?」


「無理。

 別人として組み立てる事は可能だけどな。

 壊れた精神は魔力に変えた。

 今は残骸と最初の命令しか入ってない。

 兄弟に好意を持てってな。

 記憶と感情の大部分が欠けたまま実行中さ」


つまり、こいつは…クラスメイトの半数を魔法で廃人にしたって事か。

それも精神、記憶や感情を魔力に変えたなんて恐ろしい情報を事もなげに言いやがった。

とんでもない事になった。

なったが取り返しがつかないなら今は考えないようにしよう。


「それでさっきは何を宣伝してたんだ?」


「精神操作はまだ無理なのは分かった。

 だけど肉体操作は兄弟のおかげで完璧!

 だから奇跡を起こせると宣伝したのさ!

 なぁ、兄弟。

 神にならないか!?」


こいつは何を言っているんだ?


「兄弟に貯まってる魔力を使えば!

 なんと欠損も不治の病も老化さえも!

 解決できるのさ!

 大金を得るチャンスだぜ、兄弟!」


こいつ、人の精神を破壊して手に入れた魔力で金儲けを企んでやがる。

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