23話:ヴァイゼ王国とベーゼ王国の会談
朝になり間もなく王が到着する。
ベーゼ王国の手前で王を待つ。調査報告をする事になっている。王の馬車が到着する。
王国騎士団の団長シュタルクが話しかけてきた。
エメクは昨日見て聞いた事を全て報告した。
「こちらでも調査をしていた件だが、誰も知らないし、怪しい者も偶像となる物も何も出てこなかった。怪しい場所も何もなかった。結果、悪魔崇拝者はいない。...と結論付けた。其方達の情報も合わせて良き会談が出来よう。感謝する。」
やはり「悪魔崇拝」はミランダの虚偽だった。
ベーゼ王国に乗り込んだ上、虚偽の話しをし、命乞いをしたミランダは極刑を免れぬ事であろう。
ー 両国の王の会談が始まった。
「テウフェル王よ。この騒動の成り行きをお聞かせ願いたい。」
テウフェル王はグラスのワインを回しながら、怠惰に答える。
「ある日、ミランダという女が其方の国からやってきた。ボロボロの状態で、まぁ見るも無残な姿だったそうだ。何故そのような事が彼女の身に起こったのかと聞くと『悪魔崇拝をしている所を目撃した為、命を狙われ逃げてきたので保護してほしい』と申しておったので、軟禁した。
私はこの国の王であり、国民を守る責任がある。
ただその女は『復讐したい』と言っておってな。
奇襲を仕掛けたわけだが、正直『悪魔崇拝』だの『復讐』だのどうでもいい、と思っている。
真相は知らんが、ミランダとか言う女が『復讐』を願ったので兵を出した。
思いのほか兵たちは信じ切っておって、やり過ぎたようだがな。
崇拝とは、依存であり、頼るもの。私はこの国で国民の満足度を上げる事で従順で扱いやすくしておるだけだ。」
「やはりそういった経緯であったか。そちらに逃げて来た女はヴァイゼ王国の冒険者ギルドの元受付嬢だ。不正を働き追放となった者。こちらで『悪魔崇拝』は本当に行われているのか調査をしたが、それらしい物は何もなく、『虚偽』である事を確認した。そちらの国を惑わした事は謝罪しよう。
しかし、ただの一人の意見だけでこちら側は甚大な被害が出ておるのだが、どうしてくれようぞ。」
「‥それは人手か?金か?虚偽の発言をした女を野放しにしたそちらが悪いのでは?」
「確かにそれは否めない。そちら側でその女の処遇を任せても?」
「あぁ。極刑だな。だがこちらもその女の『願い』を聞く必要があった。市民の為だ。王は『願いを叶える』存在でなくてはならない。その為の犠牲だったと思ってくれ。死人は出ていないのだろ?」
ー 王の会談は無事幕を閉じた。
ミランダを追放し、処刑せず、野に放った責任もヴァイゼ王国にあり、ベーゼ王国は国の基準に従って行動した。ヴァイゼ王国は被害は出たが死人も居なかった為、「全ての元凶」であるミランダの死刑と共に話し合いは成立。国家間の間に争う理由もなくなり、ひとまず平和は守られた。
そしてミランダは「市民を惑わした悪魔」という罪で、広場のど真ん中で火炙りの刑となった。
この国では最も重い処罰として扱われた。
エメクとルビナもその光景を見、ただただ滑稽な人間の末路はこんなもんなのかと鼻で笑ったのであった。
そして王とその御一行とエメクとルビナは国に帰還する。




