22話:ベーゼの王
ルビナとエメクは王の評判や、本当に崇拝しているのか、それとも崇拝しているつもりなのかを調査する。
ルビナは街を歩いていた。
「王は寛大なお方だ。」
「王は私達の心配事や困った事をきちんと聞いてくださって‥我々市民の事を思っていつも行動して下さる。立派なお方だ。」
「こんなに市民が暮らしやすく王国を整えて下さる王は他にいない!」
「全くだ!」
話しを聞く限り、市民は問題なく暮らせている事に対して国に対する満足度が高い故に王を崇めている。といった所か。
辺りは夕焼けに包まれ始めた。エメクと合流しよう。
「話しを整理しよう。まず、ヴァイゼ王国に奇襲の件は、『ある女』が密告した事が原因だ。内容は『悪魔崇拝』している所を見た。という『虚偽』の発言。しかしこれについてはヴァイゼ王国で調査をしているから、まだ何とも言えないな。
それから密告した女は今城で軟禁されている。
こんなたった一人の女の言う事を聞くのか、と思ったが、ここの王は『願いを聞いて下さる』王だ、という事。証拠もないのに願いを叶えた訳だ。」
「そうね‥とんでもなく浅はかね。戦争になったっておかしくないのに。」
「後はうちの王がどう判断するか‥だな」
「密告した『女』ってミランダよね?」
「俺もそう思う。あいつ自分の為ならなんだってするぜ。」
「城に軟禁されている以上は、城への潜入は危険が伴う。どうする?」
「やるしかないだろう。今夜潜入して、ミランダかどうかを確認するだけにしよう。」
「明日は王が到着するから、それまでに情報をまとめておきたいわね!」
ー 人の営みも賑やかさから静けさへ変わり、闇が街を包む。ルビナとエメクは城へと潜入する。
屋根に上り、足音も気配も消し、見回りをしている兵が居なくなると、すぐに城へと入った。
地下室を目指す。隠密スキルによって、建物の中に居る人、中の構造が外観から見ると全て見えるのだ。
地下に鉄格子が見えたので、地下へと向かった。
地下室に着いた。罪人なのか、何人か牢に入れられている。奥へと進む。
するとそこにはミランダの姿があった。見る影もない、邪悪な顔をしている。
二人は「虚偽の密告」をしたのはミランダであった事を確認すると、すぐに城を後にした。
「流石に今日は疲れたわね!」
「そうだな。人には見つからないように離れた所で野営しよう。」
ー 二人はベーゼ王国から離れた森に入った。数匹ワイルドボアや雑魚モンスターを倒した。
「この辺りのモンスターは狩りつくしたわね。」
「ワイルドボアはいい収穫だったな!」
「嬉しい!そういえば、前に行ったルーイネンの町のスパイス、孤児院に渡しそびれて持ってるんだぁ!これで焼いてみようか!」
「いいね!」
「ん~~~!!美味しい!香ばしくて、ワイルドボアの臭みが消えてる」
「これは絶品!」
「なぁルビナ。これから先、二人で一緒に住んでさ、一緒にご飯つくったり、そういう日常を俺は楽しみたい。なんでもない日常が、平和で幸福でさ。家族を作りたいんだ。俺ら両親の事なんて知らないけどさ、でも孤児院に居た時みたいに、一緒に食卓を囲むんだ!それが俺の夢。」
ー ルビナは自分でも気づかないうちに涙を流していた。
「私達、孤児院に居た時確かに家族だった。私達も家族を作ろうね!」
焚火の光が照らす。エメクのマントにルビナは包まれ、二人寄り添って眠った。まるで失った愛を取り戻すかのように。親の愛を知らない二人は、手探りで愛を探す。




