11話:受付嬢ミランダのメッキ
二人は冒険者ギルドへ向かった。
「ちょっとごめん!ギルド長は居る?」
相も変わらずこの女の笑顔には反吐が出る。
エメクが来て、もっと嬉しそうにするのかと思いきや、なんだか少し怯えてる?様に見えなくもない。
でも声は甲高い。
「ギルド長にどんなご用件ですか?」
「急ぎの要件と伝えてくれ。直接話したい。」
「申し訳御座いません、ギルド長は今外出しておりまして。」
「いつなら居る?」
「それが…」
エメクは二階にある応接室へと向かった。
「おーーい!ギルド長!ラグナス!!居るか?」
「なんだね!大きな声出して!お前は昔から変わっておらんな!」
「なんだ、居るじゃねぇか。ミランダはお前が留守だって言ってたけど、教育どうなってるの?」
「は?わしは問題が起こってもすぐに対処できるように籠っておる。書類仕事が溜まってるからでもあるがぁ…」
ー 私は茫然としていて一階の受付の前でエメク達のやり取りを見ていた。
ミランダは暗い顔をして下を向いている。
当然だ、私達に嘘をついたんだからな。今回はこのミランダの仕組んだ私への嫌がらせの件とは理解しているのだろうか。
舐められた物だ。
何かトラブルでも起こったのだと、他の冒険者達も空気が変わった事に気付き、集まってヒソヒソと喋っている。
私も二階へと向かった。
そりゃ、モテ男のエメクがアクションを起こせば皆見るし、私も同行しているので余計だ。
ー 私達はギルド2階の応接室に入り、ソファーに座った。
「して、わしに何の用じゃ?」
「あぁ、率直に言って受付嬢のミランダの不正だ。」
「何?ミランダが何をした。」
「こいつ、知ってるか?」
「あぁ、ギルド内で有名じゃな。腕もいいし、きちんと依頼をこなしてくれる、信用できる冒険者じゃな。しかもソロでやる手練れだ。」
ー ギルド長のラグナスが何やら書類を束ねた物をチラチラと確認している。
私の情報か何かだろうか...。
「そこまで知ってるのか。で、こいつランクいくつだと思う?」
「そりゃあ、過去に護衛主をジャイアントゴブリンから救ってくれて、ギルドの名声も上がった。
一人でその任務を果たすくらいじゃ。...Aはいくんじゃないか?」
「あぁ、それが普通だよな。だが、ランクCだ。ミランダがルビナの任務を確認してもランクを上げなかったんだ。どう思う?」
「うむ…それは不正だ。許されるもんじゃないな。冒険者のランクというのは、任務においての信用。
これを怠った事は、重大な罪だ。おーい!ミランダを呼んでくれ。」
ー ギルドで働く男性にラグナスが声を掛けた。
ミランダが呼ばれた。
何食わぬ顔で答えた。
「何か御用でしょうか?」
「おい、ミランダ。お前はとんでもない事をしてくれたな。ギルドに汚名をきせたいのか?!」
「何の事でしょう。」
「しらばっくれるか。…お前は何故ルビナのランクをCのままにしておるのかね。」
「え?そんな!私は…」
「上手い言い訳など見つかるわけなかろう。」
「ここに討伐履歴の帳簿があるが、差し替えておるな?」
「だが、皆も知っての通り、ルビナの冒険者としての実力は噂と依頼主からの言葉が実証しておる。」
「お前はギルドに汚名をきせた事になる。何故こんな子供染みた事をしたのか。」
「ルビナさんが悪いんです。男に囲まれて、いい気になって、それ所か私からエメクさんを奪った!」
ー おい何言ってんだこの女。頭おかしいのは知ってたけど、妄想癖があったなんて…
「ふん…お前の言い訳は聞くに耐えんな。即刻首だ!賠償金も請求させてもらう。出ていけ!」
「お許しくださ!!エメクさん!助けて!」
「俺に話しかけるな!糞アマ!」
ー ギルド長は広間に居る冒険者に大きな声で言った。
「おーい!誰かここに居るミランダをギルドから追放してくれ!一人2万ジェルドだ!」
「ギルド長!あんまりです!!身を粉にして働いてきたというのに!!」
「お前は男に媚び売ってただけだろうが!」
ー 血に飢えた獣のような冒険者達が群がって来て、まるでお祭り騒ぎのように、ミランダを抱えてギルドから出て行った。
万一何かあったって、ゴブリンに犯されるよりいいだろう。
こうしてミランダの悪事が暴かれメッキが剥がれた。
地獄に落ちろ…
ー ギルド長が口を開く。
「ルビナ。悪かったな…。申し訳ない。今すぐランクをAに上げる!謝礼金も出そう。」
「いえ!ランクが正しく評価されれば私は謝礼金なんて…」
「駄目だ!これはギルドの名に掛かってる。支払わせてくれ。」
ー そう言ってラグナスは500万ジェルドを差し出した。
「駄目です!こんなに…」
「よかったじゃないか!酒でも飲みに行こうぜ!」
ー エメクがニヤニヤしてる。
わたしはこうして無事Aランク冒険者になった。Aランクの証のネックレス。銀のプレートを嬉しくてずっと触っている。
なんだか、エメクと出会って私の人生が好転していっている。
今回もエメクに助けられた。
エメクとギルドを出て酒場を探して歩いている。
「エメク…ありがとう。」
「良かったな!俺もあの甲高い嘘くさい笑顔嫌いだったんだよなぁ。もう顔を合わせる事がなくなって清々したわ!」
「エメクも同じ事感じてたんだ!あははは」
ー 夕暮れが射す街並み。エメクと一緒に笑った。あなたはただ無邪気なのね。
エメクって…お兄ちゃんみたい!
※おまけラフイラスト。ミランダを描きました。
目線の先はルビナさん。
恋じゃないんかーい!




