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プロローグ 嘘と幻想
ねぇ、エドガー。
覚えてる? 2年前のあの約束。
――誰一人理不尽な思いなんてしなくていい、そんな世界を作る。せめて、その助けになりたいんだ。そのために、俺は王国騎士団に入る。
――なら、あたしがエドガーの助けになるよ。あたしも、そんな世界が見てみたいから。
今でも鮮明に思い出せるよ。だって、エドガーの言葉のおかげで頑張ってこれたんだから。
だけど、ごめん。約束、守れそうにないや。
「おい、聞いてんのか? お前はもういいとこのお嬢様でもねぇんだ、偽名くらい自分で考えろ」
「――ライリ」
とっさに出てきた名前は、それだった。
……だめだな、あたし。もう諦めなきゃいけないってのに、会いたいって思っちゃうよ。せめてちゃんと謝りたい、ってね。
だけど、それはもう叶わない幻想にすぎない。それは、この日に決まったことだったんだ。
プロローグ読んでくださりありがとうございます。
1話も同時公開しておりますので、そちらも併せて読んでいただけますと幸いです!