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1話 ツクモ隊の元に修行しに行くことになりました

 月紙つきがみヒカルは新人除霊師。


 除霊師である祖父の影響を受けたヒカルは、一人前の除霊師となる為に幼い頃から祖父母や父の元で修行をしていた。


 頑張り屋でセンスがあった彼女は、15歳という若さで見習いを卒業し、晴れて除霊師となった。

 だが、ヒカルはこれで満足しなかった。



 ヒカルが目指すのは一人前の除霊師。



 ヒカルは夢を叶える為に、高校に進学したら師匠である祖父母の元で泊まり込みで修行をしようと計画していた。



 高校入学前の春休み、祖父母の実家に向かう前日となったある日……



「ええっ!?お爺ちゃんとお婆ちゃんが入院!?」


 夕方頃。家に帰宅した父から即座に告げられた情報に、月紙ヒカルは思わず大声を上げて驚いた。


「ああ。どうやら仕事中に、二人して高所から落下してしまったらしくてな……」


 ヒカルの父は渋い顔で居間の座布団に正座し、祖父母の身に起こった事のあらましを伝える。


「お爺ちゃんとお婆ちゃんは大丈夫!?」

「命に別状はないらしい。大した大怪我にはならなかったとのことだ」


 ヒカルも座布団の上に正座し、真剣な表情で父親の顔を見つめながら次の言葉を待ち構える。


「とりあえずお爺ちゃんお婆ちゃんが無事で良かった……けど……」

「高校に通う間、ヒカルを両親の家に預ける話は無しになった。まあ、当たり前のことだが……」

「だよね……」


 祖父母の元で修行をする計画が消え、ヒカルは視線を落としてうつむく。彼女のバンダナと長いポニーテールが悲しげに揺れる。


「心配することはない。祖父が代わりの師匠を見つけてくれたんだ」

「えっ、ホント!?」

「ホントホント。しかも祖父よりも強くて優しい師匠らしい」

「やったー!」


 希望が見えたヒカルは途端に元気を取り戻し、その場で勢いよく立ち上がった。


「因みに何ていう人?私も知ってる除霊師?」

「ヒカルならよーく知ってるだろう。なんせ、歴史の教科書にも記載されてる人物だからな」

「えっ?」


 父の独特な言い回しにヒカルは思わず固まる。


「歴史の教科書に載る除霊師って……それって……」


 歴史の教科書に記載され、それでいてまだご存命の除霊師。ヒカルは一つだけ心当たりがあった。

 

「ツクモ隊の方々だ」


「ツクモ隊!?」



 かつて、この国は人々を脅かす妖怪で溢れかえっていた。


 そんな迷惑な妖怪を退治するべく日々奮闘する除霊師。だが、相手は有象無象の化け物。人の力だけでは限界があった。


 そんなある日、とある除霊師が人に友好的な妖怪に目をつけた。


 人より強い力を持つ妖怪なら、妖怪退治に大きく貢献してくれるに違いない。


 思い至った除霊師は、日本中から人間に友好的で戦える妖怪を募集。


 そして集まった妖怪を中心に、一つの部隊を結成した。



『ツクモ隊』



 道具に命が宿った妖怪である「九十九神」が多く集まったことから、部隊にこの名がついたとされている。


 

「確かツクモ隊って……もうほとんど引退状態で、今では普通の生活を送ってるとか……」


 現在、ツクモ隊はほぼ活動せず静かに暮らしてるとヒカルは聞いていた。

 近年で目立った活躍がないので、最近の人は歴史の授業以外でツクモ隊のことを知る人は少ないらしい。


「確かに現在、ツクモ隊はほぼ解散に近い状態らしい。だが、大きな妖怪の討伐依頼には参加する程度には除霊師とは関わりはある。腕も衰えておらず、実力は確かだ」

「で、でも……こんな若輩の小娘が、そんな大御所の元で修行するなんて……」

「……ツクモ隊の方々は全員、人の姿をしている。それに、あまり関わり合いのない相手と娘を同じ場に置くのは父さんも気が乗らないが……」

 

 ツクモ隊の妖怪はほぼ全員、人間の姿をしている。


 その中でも、特に血気盛んで妖怪退治に積極的な勇敢な者を集めた。その為か、ツクモ隊に所属する妖怪は男の姿をした者ばかりらしい。


「だが大丈夫。九十九神の方々は人に恋愛感情を持たないそうだ。人間と同じ屋根の下で暮らしても問題ない、と祖父は言っていた」

「それでもちょっと…………えっ?同じ屋根の下……もしかして私、そのツクモ隊と暮らすことになってる?」

「そうだ。明日からヒカルはツクモ隊の方と暮らすことになった」

「ええっ!?」


 ヒカルは驚きのあまり目を見開く。


「大丈夫、ツクモ隊のメンバーはご年配で良識のある方ばかりだ。それに妖怪退治の知識は人間より遥かにある」

「そ、そうかもしれない……けど……」

「それにヒカルが厄介になる家には、女性の九十九神もいるそうだ。男性二人と女性一人……と言っても、道具だから性別はあまり関係ないかもしれん」


 父はテーブルの上に置かれた湯呑みを取り、中のお茶を飲み干す。


「無理には勧めない。ヒカルが嫌ならこの話は無しにする」


 父は目を閉じ、静かに湯呑みを置く。ヒカルは視線を落として黙りこくる。二人のいる居間は静寂に包まれる。


 しばしの沈黙の後、ヒカルが静かに口を開いた。


「…………ツクモ隊」

「ん?」

「あの伝説のツクモ隊に修行をつけてもらえるってことは……一人前に近付く大チャンス……だよね」

「そうだな。お父さんだったら喜んで飛びつくぐらいには大チャンスだ。むしろ譲ってほしい」

「…………お父さん。私、ツクモ隊の家に修行しに行きます!」



 ヒカルにとって又とない機会。一人前になる夢を叶える為、ヒカルはツクモ隊の家に居候する意思を固めたのだった。



 次の日……



「(つ、ついにこの日が来てしまった……!)」


 電車を乗り継ぎ、とある駅に到着したヒカル。大荷物は既に配送済みなので、私服姿にバッグを持った軽装スタイルだ。


「(ツクモ隊は基本的に人の味方……でも、個性はバラバラ……)」


 ヒカルは駅の外に向かいながら、心の中で考え事を巡らせる。


「(本の話では、ツクモ隊に所属する隊員はあくまで妖怪だから、時折、人間の常識を理解していない事があるとか……自分勝手で何を考えてるのか分からない九十九神もいるから、接する時には注意が必要とも……)」


 ツクモ隊の本の内容を思い出し、脳裏に不安がよぎる。バッグを持つ手に力が入る。


「(……でも、お爺ちゃんがそんな危険な所に孫を入れるような真似は絶対にしない!それにお父さんも出発の時に…………少なくとも、私に命の危険はない筈!)」


 考えをまとめて意を決したヒカルは、勇み足で駅から外に飛び出した。片田舎の丁度いい町が視界に飛び込む。


「(えーっと……駅に迎えに来てくれるツクモ隊の方は、初代ゲーム機のロゴが入ったオレンジ帽子をしてる若者……)」


 ヒカルはそこそこの人混みの中から目当ての人物を探そうと、顔を左右に向ける。


「あーーーーっ!」


 ヒカルが人探しをしていると突然、小さな子どものような可愛らしい声が飛んできた。


 ヒカルが声のした方に目を向けるとそこには、ヒカルより遥かに背の低い可愛らしい子どもの姿が。


 黒髪でどことなく子犬っぽい雰囲気の女の子は、ヒカルを真っ直ぐ見つめ、しかも元気よく駆け寄ってくる。


「あ、ロゴ入り帽子……」


 ヒカルの元に駆け寄ってきた子は、初代ステステのロゴが入った灰色のニット帽を被っている。


 その帽子はもしかして……と言いかける前に、目の前の子が真っ先に口を開いた。


「大きいポニーテール!」

「あ、はい」

「オレンジのバンダナ!」

「お気に入りのバンダナです」

「明るい茶髪!」

「お父さん譲りの髪色です」


 ハイテンションで言葉を投げる相手に対し、冷静に答えるヒカル。


「オレンジっぽい服装だから……お姉さんが月紙ヒカル!?」

「あ、そうです」

「やったーーーー!!」


 目の前の子はその場で飛び跳ね、大はしゃぎでヒカルの周りを走り回る。


「あ、あの……」


 走り回る子の腰には、黒い尻尾のような物がついている。尻尾も本人と同じくらい元気に振られて暴れ回っている。


「オミミ、そんなはしゃいだら周りの迷惑だよ〜」


 ヒカルが尻尾を凝視していると、走り回っていた子のそばに一人の若い男性が現れた。

 水色に染めた髪にオシャレな服装の、今時な若者っぽく見える不思議な人だ。


「こら、相手が困ってんじゃん」

「あうっ!」


 水色髪の彼は、走り回っていた子を手で制して止める。走っていた子はそのまま掴まれ、動きを止めてしまった。


「もー、初対面相手にするテンションじゃないでしょ」

「クゥ〜ン……」

「(今、あの人も私の名前を……)」


 言葉にできない不思議な雰囲気をかもし出す、尻尾の生えた女の子と水色髪の男性。

 恐らくこの二人が、ヒカルを迎えにきた元ツクモ隊のメンバーだろう。


「あ、あの……もしかして……お二人はツクモ隊の方々ですか?」


 ヒカルは二人に恐る恐る近付いて確認を取る。


「うん、そうだよ。君は月紙ヒカルだよね?」

「あっ、はい!自分は月紙ヒカルと言います!宜しくお願いします!」

「宜しく〜。あ、ヒカルって名前で呼んでいい?」

「あ、はい……大丈夫ですよ」

「(なんかゆるい人だ……)」


 ヒカルが呆気に取られていると、目の前の二人はヒカルに笑顔を向けて更に近付いてきた。


「初めまして、僕は青丸号あおまるごう。気軽に青丸って呼んでね。宜しく〜」

「青丸さん、よっ、宜しくお願いします!」


「あっ!次はオミミね!オミミはね、小倉おぐらオミミっていうの!オミミって呼んでね!よろしく!」

「オミミさん、宜しくお願いします!」


 相手の距離の近さにたじろぎながらも、ヒカルは何とか挨拶を返した。


「ヒカル、長旅お疲れさま〜。とりあえず僕らの家行く?それとも、ここで軽くショッピングでもしてく?」

「あ、とりあえずまず先に家に向かいたいです……改めてしっかりと挨拶したいですし……」


 ヒカルが緊張しながらも自分の意思をはっきりと伝えると、青丸はヒカルをじっと見つめながら「ほぉ〜」と気の抜けた声を出した。


「ヒカルってばしっかり者だね〜」

「え、いや……そういうところはちゃんとしないと、って思って……」

「ヒカルえらい!いつもゆるい青丸とは大違い!」

「こらオミミ、僕だってしっかりする所ではしっかりするってば」


 二人はヒカルの前でゆるい言い合いをしている。


「オッケー。じゃあヒカルのお望み通り、僕らの家に行こっか。あ、途中で寄りたいお店とかあったら言ってね」

「は、はいっ!」

「(な、何だか思ってたより……接しやすい……?)」


 ヒカルは二人の後をついていき近くの駐車場に移動。青丸の所有物と思われる青の車の後部座席にヒカルは乗り込んだ。

 オミミも後部座席に乗り込み、ごく自然にヒカルにそっと寄り添った。


「じゃ、出発するね」

「お願いしますっ!」

「レッツゴー!」


 ヒカル達を乗せた車は走り出す。駅から離れ、窓の外を見知らぬ景色が流れていく。


 ヒカルは窓の外には目もくれず、オミミと青丸に視線を向ける。


「(二人とも見た目も中身も若い……現在はもっと貫禄のある姿をしてると思ってたけど、歴史の教科書に載ってる若い姿からずっと変わってない……)」

「もっと貫禄のある人が来ると思った?」

「えっ!?」


 まるで心を読み取ったかのような青丸の発言にヒカルは驚く。


「あ、あの……歴史の本や祖父が見せてくれた古い白黒写真で、ツクモ隊の皆様は見たことはあるのですが……今もまだ若々しいなって……」

「若いって色んな人からよく言われるんだよね。数百年も経ってるなら、見た目も中身も年取ってるかと思ったって」

「あ、皆んなもそう思ってるんですね……」

「まあ僕も同じこと思ってるけどね」


 青丸は運転しながらお気楽に話を続ける。


「でも安心して。家で待ってる最後の一人はヒカルの想像した通りの貫禄ある奴だから。見た目若いけど」

「そ、そうなんですか……!?」

「あはは、そんなかしこまらなくていいよ。それにしてもヒカルは、相変わらずリアクションが良くていいね」

「相変わらず……そういえば、私は過去に皆さんにお会いしたことがあると父から聞いたような……」

「やっぱ覚えてないかー。昔のヒカルも、今みたいにハキハキしてて元気でいい子だったなーって」

「うん!ヒカル、すっごく可愛くて元気でいい子だった!」

「ねー」

「いや、そんな……あはは……」


 ヒカルの幼少期の話に花を咲かせる二人。何だか気恥ずかしくなったヒカルは、視線を窓に向けて外の景色を眺める。


「それにしても、ヒカルが新人除霊師になるなんてね。凄いじゃん」

「ヒカルすごい!いいこいいこ!」

「あっ、ありがとうございます!除霊師は子どもの頃からの夢だったので……!」

「ヒカルのお爺さんからも聞いてたよ。孫が除霊師目指してものすっごーく頑張ってるって。お酒が入るとヒカルの写真まで見せて絡んできてさー」

「お爺ちゃんそんなことしてたんすか!?」

「あれは面白かったなぁ〜。俺の孫は凄いぞ、その辺の下手な除霊師より遥かに腕があるぞってめちゃくちゃ褒めててさ〜」

「うん!お爺ちゃん、ヒカルのこと喋ってる時すっごく嬉しそうだった!」

「お爺ちゃん……」


 三人で会話してる間に、車はいつのまにか町から離れ、外の景色に自然が増えていく。

 ヒカルは酔っ払った祖父に思いを馳せ、ただひたすら片田舎の景色を眺める。


 やがて青丸の操縦する車は人気ひとけのない一本道を通り抜け、大きな土地の中央にある大きな和風建築の屋敷の前で停止した。


「ついたよー」

「とうちゃーく!」

「すごい屋敷……!」


 さながら旅館のような風貌で、趣のあるお洒落な屋敷。ヒカルは思わず気分がたかぶる。


「二人とも先に家に入っといて。僕は車置いてくるから」

「オッケー!」

「分かりました!」


 青丸はオミミとヒカルを車から下ろすと、再び車を走らせて屋敷の裏へと消えていった。


「ヒカル!こっちこっち!」

「はっ、はい!お邪魔しますっ!」


 ヒカルはオミミに物凄い力で引っ張られ、屋敷の中へと引き込まれる形で室内に入った。


「き、綺麗……」

「でしょ!玄関はオミミが毎日掃除してるんだよ!」


 広い玄関は小綺麗でしっかり整えられている。物が少なく、コンパクトにまとめられているようだ。


「よいしょ!」


 玄関に入ったオミミは被っていたニット帽を脱ぐ。帽子の下から可愛らしい三角耳がピョコンと飛び出した。


 黒い三角耳が頭に現れ、更に子犬っぽくなったオミミをヒカルが見つめる。


「オミミのお耳、可愛いでしょ!」

「はい!可愛らしくて素敵なお耳ですね!」

「えへへ〜」


 オミミは誇らしげに耳をピルピル動かす。ヒカルはこの可愛らしい光景に目を細めて微笑む。


「帰ったか」


 ヒカルとオミミがやり取りしていると、廊下の奥から一人の男が姿を現した。


 真っ黒な髪をオシャレなオールバックにした、メンズファッションを着こなすそれなりにガタイのいい男性。


 二メートルはありそうな高身長の彼は、覇気のある目でヒカルを睨みつける。


「あっ……こっ、こんにちは!」


 ヒカルは貫禄のある大男に驚いたものの、臆せずしっかりと挨拶をする。


「自分は今日からお世話になる月紙ヒカルと言います!高校に通う間、こちらでお世話になります!よっ、宜しくお願いします!」


 緊張により固くなったものの、しっかりと自己紹介をして深々とお辞儀をするヒカル。

 大男はそんなヒカルをじっと見つめ、ようやく口を開いた。


「俺の名は鉄火一てっかはじめ、かつてツクモ隊の隊員だった九十九神だ」


 先程出会ったオミミと青丸より遥かに大人びた人物。ヒカルは伸びていた背を更に伸ばし、今以上に顔を引き締める。


「俺のことは鉄火と呼んでくれ」

「はい!鉄火さん、宜しくお願いします!」

「こちらこそ、宜しく頼む」

「はいっ!」


 全体的に厳つい雰囲気で近寄り難い印象を持つ彼だが、ヒカルは鉄火の持つ人柄の良さを何となく察していた。


「(鉄火さん、腕にネギついてる……)」

 

 よく見ると鉄火の上着ポケットから、先程まで巻いていたであろう赤のバンダナがはみ出ている。恐らく彼は、先程まで料理をしていたのだろう。

 ヒカルの到着を聞きつけた鉄火が、慌てて玄関に飛び出したのがなんとなく見て取れた。


「月紙ヒカル、とりあえず上がるといい。長旅は大変だっただろ」


 鉄火は近くにあったスリッパ置き場からオレンジのスリッパを出し、ヒカルの前に置いた。


「ありがとうございます!ではお邪魔します!」


 ヒカルは靴を脱いて家に上がり、鉄火の出してくれたオレンジのスリッパを履いた。


「たっだいま〜」


 ヒカルが家に上がり込んだ所で、ようやく青丸が追いついてきた。ヒカルと会う前に駅周辺で買ったであろう商品の袋を大量に持ち、笑顔で家に上がり込む。


「すごい量の荷物だな」

「まあね。遠出のついでに色々買っちゃった」


 鉄火は水色のスリッパを出して青丸の前に置く。

 青丸はスリッパに履き替えて家の奥に進んでいくが、途中でハッとしてヒカルの方を振り返った。


「あ、そういえば……ヒカルは晩御飯まだだよね?」

「あっ、はい!もうお腹ペコペコです!」

「いいね。鉄火、晩御飯はできてる?」

「もうテーブルに並べてある」

「さすが鉄火。じゃ、今すぐ晩御飯にしよっか」

「わーい!ご飯!ご飯!」

「オミミはしゃぐな、埃が舞うだろ」


 オミミはヒカルの側に引っ付きながら大喜びする。鉄火ははしゃぐオミミを軽くたしなめる。


「ヒカル、鉄火は料理上手だから期待していいよ」

「そうなんですか!?鉄火さんの手料理、とても楽しみです!」

「……おう」


 鉄火はヒカルから目を逸らして素っ気ない返事をする。


「あ、鉄火がヒカルの素直な感想に照れてる」

「うるせぇ、お前はさっさと荷物置いて飯食う準備しやがれ」

「はいはい」


 青丸は荷物を別の部屋に置きに行き、その間に鉄火はヒカルを居間に案内した。

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