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【4】スキル『溺愛』

「……占師?」

「ええ、そう! 占師よ! 近所によく当たるって評判の占師が来てるの!」

「そうそう! だからメル様も行きましょう!」


 その日、わたしは学友から占師に視てもらおうと誘われた。

 何を占ってもらうのかと思えば、やはり恋愛についてだった。将来どんな人と結ばれるのか、気になって仕方ないのだろう。


 わたしにはエリック様がいるから、恋愛相談の必要はない。

 でもこれはチャンスだと思った。


 その占師がインチキではなければ、恐らくは何らかのスキルを持っているはず。

 だとすれば、わたしの力について何か手掛かりが見つかるかもしれない。


 わたしは、スキルの存在自体は調べて知っていた。


 きっと、わたしの力も何らかのスキルに違いない。その正体を知りたい。

 だからわたしは学友の誘いに乗ることにした。


「やあやあ、お嬢ちゃんは実に不思議な力を持っているようだ」

「やっぱり、わたしにはスキルがあるのね? それはどんな名前なの?」


 占師の言葉に、わたしは胸を躍らせた。


 スキルを持つ人間は滅多にいない。モルドーラン王国では、わたしの知る限り一人しかいない。それは第一王子のマルス様が持つ『王制』スキルだ。

 王国民であれば、マルス様のスキルについて知らない者はいないだろう。


 わたしは『魅了』のようなスキルを持っているのではないかと予想した。

 それだとすれば、誰も彼もがわたしを好きになったとしても納得がいく。でも、


「お嬢ちゃんのスキル……それは『溺愛』だな」

「……で、できあい?」


 その日、わたしは初めて自分の持つスキルの名称を知るところとなった。


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