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40. 皇帝の後悔

 離山が皇帝のもとに行き、ご厚意に対する不義理を詫び、辞職したいと告げた時、彼は離山をどれほど評価し、期待しているのかを述べた上、理由を尋ねた。


「私には、守りたいものがあるのです」

「守りたいというのは、人のことか」

「はい」

「ここにいては、守ることができないと言うのか」

「はい」

「では、ここにいて、わが国、いや、この私を守ってくれようという気持ちはないのか」

「私がいなくても、皇帝をお守りする方々は多くおります」

「その人には、そなたしかいないと言うのだな」

「はい。その人にも私がおりませんし、そしてこの私にも、その人しかおりません」


 皇帝はしばらく何も言わずに、机の一点を見つめていた。


「私にも、似たような思いをしたことがある。しかし、そなたのようにはできなかった。大切な者を守ってはやれなかった」

「個人ではできても、国王のお立場では無理なことが多くあると察します。どんなに願ったとしても」

 そんなこともあるな、と皇帝は気がつかれないように息を吸った。

 そのことは深く傷として残っていて、そこに孤独の風が染みるのだ。しかし、それは当然受けるべき懲罰なのだと思って、日々を生きているのだ。


「離山、今日は、そなたのことがつくづく羨ましいと思うぞ」

「羨ましと思われるようなものは、私は何も持っておりません」

「いつか、わかるだろう。行くがよい」

 皇帝の言葉は少なかったが、彼はわかってくれたのだった。どのような経験を積んでこられたのだろう。


「皇帝のようなお方のそばで、短い時間でしたが、お仕えできたことを今生の幸せに思います。どうぞ末永いご繁栄がありますように。申し訳ありませんが、行かせていいただきます」

 離山が深々と頭を下げた。





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