贈り物
贈り物
夜の街に赤いランプを点滅させた車が何台もやってくる。田舎の小さな町で起こった大事件
よく晴れた日だった。
昼の商店街は屋台で賑わい、夜になると空に花が咲く。そんな日だった。
人口が対して多いわけでもないこの町でも毎年この日になれば人々は意気揚々と外に出てブラブラと歩き回る。村の数少ない若者も都会はいいなと文句を言いながらも屋台に並んだ食べ物を次々に買っては食べていた。
『ただいま速報が入りました法務省の発表によりますと夏祭り連続殺傷事件の裁判で死刑が確定していた浅野雄二死刑囚の死刑が執行されました。浅野死刑囚は7年前の…』
なにかが体の中から抜けていく...
浅野死刑囚...テレビのニュース番組で流れてきた速報に随分懐かしい名前だど感じるのはきっと偶然ではないはずだ。21歳大学3年生になった野村一はそう感じていた。
♪♪♪
「もしもし...はい...はい...承知しました...はい...失礼致します...」
バイトに行かなければ...
なんでも人手不足だから手伝いに来てほしいと店長から...まぁちゃんと給料は払ってくれるらしいから良いんだけれども...
大学で一人暮らしの一は飲食店でバイトしていた。貧乏な環境で育った一は大学へ行くにしても一人暮らしをするにしても全て自分で働いて賄っていた。
「よう一じゃねぇか! どこ行くんだ?」
こいつは真也大学に入って初めてできた友人だ。
「バイトにいくんだよぉ!人手が足りないから入ってくれってさ」
「あぁら大変ねぇ 頑張ってらっしゃい♡」
「気色悪る...」
こいつは時々やけに気持ち悪い言葉でからかったりしてくる。今もやけに背筋を伸ばしながら胸の前で手を降って見送ってくるが、根は真面目でいいやつだ。気持ち悪いけれど。
バイトから返ってくると見に覚えのないものが届いていた。少し寒い肌寒い秋のことだった。