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男鹿半島の伝説

98話 男鹿半島の伝説


 能代に着くと目についたヘビヅカヤホテル。

東北にもあったんだ。

 青森あたりにもありそうだが、なかった。


 能代のヘビヅカヤへ予約を入れて食事に出た。


「どうせなら、思いきって男鹿半島まで、行って日本海を。どう静?」

「いいね。最先端の入道崎まで行こうよ」


 と、食事を終えて男鹿半島の最先端、入道崎へ。


「昔、このあたりに『先入道』っていう入道妖怪がいたんだ。そいつが助平でね、ココへ来る女を見つけては抱かせろって」

「変態坊主だったのか、そいつは」

「ああ、そいつは目が三つで厚い唇、デカい口だ。それにヒゲ面でモテるわけない、しかも首がろくろ首みたいに伸びて逃げる女を追いかけるんだ」


「キモい妖怪だな」

「そう、キモいのはその先よ。着物のすそを開け、アレも伸びて女を襲うんだ」


「いやねぇ、ここの名前の由来はそいつなの静? なんか私、別の話聞いたような……」


「あたし、由来とか言ってないよ金沢さん」


「でも、その名前だと、そう思いますよね」


「たまたまじゃない。この入道妖怪は、元は江戸に居たんだ。でも、悪さするんで強者の武士に、こらしめられて、江戸から逃げたんだ」


「それで秋田まで、来て。また悪さ。悪い奴ね」


 そんな話をはじめて聞いたわ。

 静ちゃんが、江戸にいた頃の話かな?


「そんな悪いのを、こっちでは野放し?」

「いえ、このあたりに不思議な力を持つ蝙蝠姫という娘がいてね」

「また、妙な名前だな蝙蝠姫。アメコミなら、バットガールとか」


「その娘はコウモリ柄の着物を好んで着ていたからそう呼ばれてたの」

「不思議な力って、コウモリの羽があって飛んだとか?」

「かもね、入道は蝙蝠姫が退治したと聞いたわ」


「私、そんな言い伝え知りませんでした。さすがですね。私は、まだまだです」


 そんなに落ち込まないで、網切さん。

 静ちゃんは。


 ホントは、見た話じゃないのか。アレのことだ。


 そうかもね。

 静ちゃんは、嘘つきじゃないもんね。


 そうかぁ?



 夕食をすまして、ヘビヅカヤへ。


 ユイちゃんが、居ないので久しぶりに静ちゃんと二人だ。


 お風呂もふたり。なんでも、今日は他の客は居ないそうだ。


「アヤ、あたしちょっと出てくる」

「コンビニ? わたしも行ってイイ」

「かまわないよ。おいで」


 静ちゃんは、ヘビヅカヤの別館受付で、ナニか聞いてる。


 ヘビヅカヤを出るとコンビニへ。

 コレもふたりで久しぶり。

 受付でコンビニの場所聞いてたのかな。


 静ちゃん、お弁当とオニギリ、お菓子、デザートを袋二つ分買い込んだ。

 

 静ちゃん、夜食多すぎ、朝の分も有り?


 静ちゃんはヘビヅカヤと逆の方を歩き始めた。

 そっちは街外れだ。

 夜の海でも見に行くのかな?


 気になったけど、わたしは黙ってついて行く。

 静ちゃんもナニも話さない。


「ここだ……」

 

 静ちゃんが目指していたのは、海のそばの空き家。

 周りは草が生い茂っている、わたしたちが住んでる遠野の空き家と大違いだ。


 草をかき分けて、玄関に。


 ドンドン ドンドン ドンドン


 と、三回叩いたら、ドアが開いた。


 わたしたちが家に入ると、部屋のロウソクが点いた。明るくなると、家の中はキレイだ。

 外見とはおおちがいだった。


 静ちゃんはロウソクが灯った燭台を一つ取りニ階への階段を。


「アヤ、こっち」


 静ちゃんの髪の毛が二つのコンビニ袋を持って二階に上がる。


 二階は板の間で、なんか洋風だ。

 部屋の真ん中には黒い大きな箱が。


 あ、コレは西洋のお棺だ。

 お棺のフタがひとりでに開いた。


「二口じゃないか、久しぶりだなぁ」


 起き上がったのは着物を着た少女。

 着物の殻がコウモリだ。

 この娘は。


「友だちのアヤ、二面女ね。アヤ、こいつは通称蝙蝠姫の八龍はちりゅうミカよ。ミカ、差し入れ」


 やっぱり。

 よく見ると外国人ぽいけど、普通に日本語を。

 ハーフかな?


「はじめましてアヤ。あたしはミカと」


 静ちゃんが買ったお菓子やデザートは差し入れか。

 お弁当は自分のらしい。


「ミカは昼間は寝てるから夜に」


 夜も寝ていたよね。


「暇でさぁ、遊びに来るのはコウモリくらいだ」


「よかったら遠野に来ないか? ここよりいい空き家もあるし仲間も居る」


「遠野かあ……飛べばすぐだね」


 やっぱり飛べるんだ。


              つづく

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