サヨナラ北海道
97話 サヨナラ北海道
札幌で別れるつもりだったが、ユイちゃんは函館まで行くと。
わたしたちはフェリーに乗り青森県へ。
ユイちゃんに見送られた。
彼女が、会えた記念にと葉で包んだ木の実をみんなにくれた。
みんなで甲板で津軽海峡を見ながら。
「この木の実の包みって、アニメで見たアレよね」
シズカさんが包みをしげしげと見ながら。
「あの大きな生き物は、やはり妖怪とか、でしょうか」
網切さんが、何気なく静ちゃんに言った。
「ゴメン、あたしアニメ見ないから。ソレ、どんな生き物?」
「そうなんですか。そいつは……クマみたいな、でっかいタヌキみたいな、大きな猫みたいな」
「大きなネコはバスだよ」
シズカさんが。
わたしもネコ型の多足バスが出てくるアニメ、マカさんチで見た。
子供たちが出会う大きなもののけ。
確かにアレは例える動物はむずかしいかも。
「静ちゃん、わたしも見たよ。アレは木の精霊かな?」
「木の精霊か……」
「それでわかるの? 静は」
「いや、わからない。会ったコトないから」
「『妖怪アニメ』は、けっこう勉強になりますよ。でも、時々創作されたのも出ますけど」
「アニメでも、映画、人の噂でも。そういうトコから生まれる妖怪も多いんだ。そういのあなどれないんだぁ。まったく未知の生物ね」
「ほお、さすが妖怪研究家の静さん」
「自称」
「私、あのユイちゃんは、もしかしたら北海道の自然界の精霊かもと、今になって思います。山、川、森、大地、海と全部含めた」
「大きいなぁマリア。そうかもね。不思議な娘だった。でも、アレはモモンガだと思う」
あ、バラしちゃた静ちゃん!
多分だが、アレとは、わたしらが一緒じゃないともう会えないだろうよ。
と、裏アヤが。
帰りのフェリーでは、カモメに化けたヌシは現れなかった。
本州に帰ってきた。
青森により、弘前へ向かう。
ヒッチハイクがないから、進むのが早いし。深夜、歩いたりしないので。
夜間の妖異とも会うのが少ないけれど、妖怪は昼間でも現れる。
人間には見えないだけだが……。
「今、横断歩道をリンゴ頭が通ったの見ました?」
わたしたちと居るからか。同行者にも見えるようだ。
「背広着たりんご頭でしょ」
「やっぱり、居ましたよね」
リリリ〜ン
〘今、横断歩道をりんご頭に背広姿のが通ったよね!〙
横断歩道の前で、横に並んだ金沢さんのクルマからシズカさんが。
向こうでも見えたらしいが、横断時だけらしい。
わたしには、横断して、向こうの歩道を歩いてるのが見える。
「ねえ、岩手へ行く前に秋田へ行こうよ。見そこなった日本海見に行こうよ」
珍しい。食べ物じゃなくて、海なの静ちゃん。
「いいかなマリア?」
「いいですよ。早く帰る理由もないし」
電話したら、金沢さんたちも同意してくれた。
弘前で、休憩後。秋田県能代へ向かうコトにした。
つづく




