表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/100

小美人

90話 小美人


 釧路で一泊し、帯広へ。


「ねえ、静ちゃん。ずっと網切さんのクルマ乗ってるけど。ヒッチハイクの旅じゃないよね」

「アヤさん、あたしたちの旅の目的はナニ? ちょっと勘違いしてない。もともとヒッチハイクは、たんなる移動手段。一反姐さんに乗って旅してもいいのよ」


 アヤさんって静ちゃん。


「アヤさん、気にしないで。私、貴方たちと一緒で楽しいの。嬉しくもあるわ。ずっと再会したいと思ってたの。まさか北海道で、会えるなんて、なんの巡り合わせかしら」


「そうなの。わたしたちといて、楽しいですか?」


 わたしは、静ちゃんと居てたのしい。

 アヤ、道連れが増えたな。ひとりじめ出来ないな。

 まあ、静ちゃんは人気者だから。

 ククク夜は静を独占じゃないか、昼間は我慢しな。

 裏アヤ、変な言い方しないでよ。独占って。


「ナニ、なんか言ったアヤ」

「べつに……」

「ああ、いつものアレか、二面のセクハラ」

「あのな『底なし』。ワレをあの漫画と一緒にするな」

「しっ、裏アヤ声を出さないで」


「どうしたのアヤさん、珍しく静さんとケンカ?」


「いや、なんでもない。アヤの一人芝居よ。それから、網切さん。マリア、静でいいよ」


「わたし、モモンガで、いいよ」

「可愛いモモンガさんだこと。ユイちゃんの方がいいわよ。でも、なんでモモンガ?」


「言わなかったけ、ユイちゃんの姓は百河(ももが)っていうのよ。百河唯がフルネームなの。だから……」 


 国道を走って二時間半。帯広に到着。


「網切さん、お疲れ様」


「金沢さん、毎度運転ご苦労さまです」

「あら、なんの冗談。シズカさん?」

「べつに、冗談じゃ。『さん』は、やめて」

「そんなこと言ったの初めてよね。大勢で旅してみるもんだわ」


 そういえば、クルマ二台の旅は初めてだ。

 なんか楽しいわけだ。


「なんか学生時代思い出すなぁ」 

「その頃は運転してたの?」

「いや、免許持ってなかったから学生の頃は。おーい静ぁあ。夏には海行こうか」


 どうしたのシズカ。夏って気の早い。


「アヤさん、静さん。帯広に友だちが居ます。会いませんか」


「いいよ、妖怪?」

「精霊です。コロボックルの姉妹です」

「コロボックルか」


「コロボックル?!」


「あ、網切さん聞こえましたか」


「ええ、お友だちと……。熊と話せるユイちゃんならありえるかと、私も会いたいです」


「ちょっと待っててね」


 ユイちゃんは、駐車場横の草むらの方に走って行った。


「おーいどうしたのユイ。オシッコ?」


「違うよ」


「シズカ、あんたと一緒にしたらかわいそうよ」

「金沢さん、しっ!」


 もどって来た。


「いま、カエルに伝言を夜の目立たない時間にまたココへ」


「え、ナニ、静。カエル? 夜ココでナニが」

「夜のお楽しみ」




 深夜、カエルが伝言に現れたと。

 ユイちゃんが。


 宿から歩いて行けるれいの駐車場にみんなで出かけた。


 駐車場脇の草むらへ。

 彼女たちは待っていた。


「コロボックルの双子の姉妹ナツとリリです」


 二人は美しかった。

 服装はアイヌのようでアイヌではなかった。なにか独特の服装。何とはわたしの知識では表現できない衣服。


「こんにちは、はじめましてみなさん」


 二人はハモりながら同時に喋った。


「姉のナツです」

「妹のリリです」


「本当に居たんだなコロボックル」

「まるで映画の小美人だ。モスラとか、呼びそう」

「たとえが古いな、シズカ」


「感激です。本物ですよね……ちっちゃいオジさんとは違いますよね。妖精ですか静……さん」


「都会に居る奴らと同じ類かもね。北海道では、コロボックルと。小人は何処にでも居るから。有名な一寸法師とかも、仲間だよ」

「さすが、妖怪研究家だな」

「自称ですけど」


               つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ