釧路合流
86話 釧路合流
「一応目ぼしいトコ、見たけど。今更感あるわね。やっぱり観光地だから。クマもねぇ……」
知床半島取材中。
「北海道ガイドなんて、大手で出まくってるし、最近はスマホ一つで、ガイド本なんか見ないよね」
「ナニかのパフォーマンスかしら熊の着ぐるみ着た人が……」
「ほら、あっちカメラ撮ってる人が。なんかの撮影よ」
「金沢さん、やっぱり静たちの後をくっついてた方が面白かったかも」
「多分ね。熊と友だちの娘と熊は、どちらが面白いかと言うとね……」
「熊鍋はこっちでも食えるけどね……」
「あ、アイヌのかっこうした子が……」
「ウソ、隣にクマが立って歩いてるよ」
「あっ、消えた」
「見たよね、金沢さん!」
「うん、見た。今のはナニ?」
ウオオオー
「あれ、さっきの。さっきのクマとは違うよね」
「あのカワイイ着ぐるみクマとは、違うわ。リアルなクマだったもの」
「そうよね、あっちの着ぐるみクマには、アイヌの子が居ないし」
「あんたたち、わたしたちが見えた?」
え、振り向くとクマとアイヌ少女が。
「見えるけど、あんたたちナニ?!」
「わたしはシャマ。クマ巫女よ」
「それは昔の話だシャマ。今は、ただの友だ」
「クマがしゃべった! あんたパディントン?」
「はあ? ソレはなんだ」
「この熊はマーだよ」
「そうですか、それはこんにちわ」
「金沢さん、この子……」
「私たちになにか?」
「ううん、別に。わたしたちが見えるから、声をかけたの。あなたたちモモンガと会ったの?」
「モモンガ? あのムササビの小さいの」
「違うわ、わたしのいうモモンガは、森の精霊よ」
「精霊……妖怪みたいなのかしら」
「妖怪かぁ……。マーみたいなら妖怪ね」
「妖怪とは、失礼な。わしも熊の精霊。モモンガは、猿ではないが猿と似ている。尻尾はリスのようだ。アレの方が妖怪だ」
「そうなの……」
「それじゃ、楽しい旅を」
「消えた。おんぶお化けに続いてまた見た。金沢さん……コレは怪異」
「シズカ、大丈夫? あんた震えてない」
「ゴメン、あたし漏れそうなの。クルマの影でしてイイ」
「早く行きなさい、見はっててあげるから」
かるく取材をすまして釧路へ。
泊まりは、ヘビヅカヤホテル。
夕食は、外で。
「どうだった山は」
「まあ、クマとかシカとか、食べたけど、ユイは、やっぱり」
「わたし、やっぱり肉はダメでした。特に森の動物は」
「話変わるけどさ、モモンガって知ってる?」
「ムササビの小さいのですか」
「じゃなくてアヤ。猿みたいな妖怪よ妖怪研究家の静さん」
「ああ知ってます」
「網切さんも妖怪博士なんだよ」
「アヤさん、博士はヤメて下さい。ただの素人研究者で静さんには、かなわないですから」
てれながら網切さんが。
「ももんじ、とか、もんもんじゃとかいろいろな呼び名があります。猿に似た人型の妖怪ですね。モモンガぁとは子供をおどろかす言葉だと」
「モンモンジャーって、戦隊ヒーローみたいね。モモンジとか、ジジィの妖怪なの?」
「どうなのかしら、姿は猿みたいに毛むくじゃらだからと、お爺さんとは」
「ホントはリスみたいな尻尾があって可愛い女の子みたいなんだよ。彼女は森の妖精よ」
「ユイちゃんも知ってるのね。北海道では有名なのかな?」
「たしか、北海道の妖怪では、ないと……」
「どこかで、聞いたんですかモモンガのコト?」
シズカさんは一度、金沢さんの顔を見て。
「知床で見たのよ」
「モモンガを?」
静ちゃんが、ユイちゃんを見た。
ユイちゃんは首を横に。
「違うのクマ巫女とクマの精霊」
「シャマとマーだ!」
「そうよ。ユイちゃん知ってるの」
「友だち」
「友だち……。そのシャマとマーが、わたしたちが見えるのはモモンガに会ったからじゃないかと」
「なるほど怪異だね……シズカ」
つづく




