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画廊喫茶

83話 画廊喫茶


 天野邸(マカさんチ)


「なんだか、いつの間にかお化け屋敷になってる」


 ウチの居間。


「ナニを言ってる。マカ、お化けは一反だけだ」

「ヒドイな久慈姫ババァ。みんな、お化けみたいなもんだろ。いやお化けだ」


「いや、はたから見たら。やっぱりお化けは姐さんだげた」

「ガキが、角生えたヤツに言われたくないわ」


「静にせんか、今いいところじゃ」


〘シジ、わたし実は病気なの〙

〘病気なんて気にしない。二人で気長に治そう〙

〘いえ、治せない病気なの……〙


「おい、また不治の病かよ、あきれるね」


 最近は誘われて見てる韓国メロドラマに付き合ってる。が、オレもけっこう楽しんでる。


「シジ、そこで抱きしめんか!」


「あ、うっかり。悪いな、留守番頼む」


 ナニも悪くないココはオレんチだ。こいつらが勝手に押しかけてる。


「行っておいで。ここはまかせろマカ」


 今日は、店は休みだが、店で人と会う約束だ。




 店は開けずに前で待ってると。


「先生、お待ちになりました? 遅れてすみません」


 遠野に住んでる彩菓子さんだ。


「ごめんなさいバスが遅れてて」

「あ、イヤ。オレも今来たところだから」


 なんだ、このベタな待ち合わせは。

 まあ実際、今来たところだから。


「先生と、デートなんで眠れませんでした」

「デートって、やっぱそうなる」


「ごめんなさい。私はそのつもりで勝手に浮き上がってます」


 浮き上がる。


「まあ気楽に行きましょうよ」


 彩菓子さんが、最近遠野の市立図書館近くに画廊喫茶が出来たので一緒に行ってくれと誘われた。


 もてないオレは女性からのお誘いをありがたくうけた。


 彩菓子友(あやかしゆう)さん、電車内で出会い。また、遠野駅前で会ったのが縁だが。

 彼女は数少ないであろうオレのファンでもある。




「画廊喫茶ふぐるま」


「妖怪めいた名前だな」

「文車ですか。文車は、昔の貴族の書庫みたいなものと。画廊とはちょっと違いますね。むしろ古本屋さんみたいな。そういえばあの待ち合わせの場所、古本屋さんでしたよね」


 わかりやすいと思い、ウチの店の前を待ちあわせ場所に。

 あの店の店主だとは言ってない。


「入ってみましょう」


「いらっしゃい!」


 年寄の経営店かと入れば、やたら元気の良いエプロン姿の女のコが。

 キャプを反対にかぶってる目がクリクリした可愛い娘だ。


「お二人さんで。お好きな席へどうぞ」


 画廊なので壁には絵が沢山。


 あれは、赤名めじろの。本物か?


「ナニにします?」

「あ、オレはアイスココア」

「アイスコーヒーとプリンアラモードを」


「ねえ、あの赤名めじろの絵は本物だよね」


 あれは、数年前の「幻想エンタ」の表紙になった絵だ。画集にも載ってたアレが、こんなトコに。

 あ、失礼かな。こんなトコとは。


「すみません、絵はあたしわからないから。姉さん、ちょっと」


 この娘は店主の妹か。


 カウンター席の横の扉を開けて。松本零士の漫画の絵の女性みたいに髪が長くて細身の人が出てきた。切れ長の細い目と長いまつ毛もソレらしい。まさに、あの絵の実写版だ。


「姉さん、お客さんが絵の事で」


「やっぱり、あなたね」


 なんだ知り合いか彩菓子さん。


「誰かと思えば山……」


「彩菓子よ、忘れた。マカさん、この人は学生時代の……」

 

「綾樫……彩。じゃないよね」


 なに! 綾樫彩だって。この女性は。


「彩菓子友よ、忘れたの」


「あ、そうか。アヤカシという知り合い多いから。で、ナニかしらフブミさん」


「こちらのお客さんが」


「あの赤名めじろの絵は本物ですよね?」


「ああ、コレですか。そうですよ」


「いや珍しいと思ってつい聞いてしまったんです。やはり高いんですよね」


「彩菓子さんのお知り合いで」


「ええ」


「旦那さん?」


「いいえ、そんな……違います。私なんか」


「お安くしますわ。一万円くらいでは」


 おい、それじゃ画集より安くなってるぞ、ありえない値段だ。


「本気で言ったんですか?!」


「高いかしら、では五千円でどうですか?」


 それ、クルマも買える財産級の絵じゃないのか!

 いくら知り合いの知人だからと。


              つづく

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