休憩中
82話 休憩中
「静さんって、やっばり不思議な人ですね。アヤさんや、あのユイちゃんも……やはり、類は友を呼ぶみたいに集まってくるのかしら」
「どうなんだろ」
「静、ビール飲む。えーと、そちらさんは」
「私は運転がありますから」
「あ、そうだよね。金沢さんトイレだから今のうちに。隣で飲んでると怒るから、ぷふぁ。静もハイ」
「それじゃ」
「アヤは呑まないんだよね。あの新入りは?」
「さて、どうなのかなぁ。おーいユイ、あんたお酒呑める?!」
ユイが、走って来た。
「ケモノ酒はよく呑んでるけど」
「ケモノ酒? なによ、ソレ」
「動物が造る酒です」
「静、知ってる?」
「よく聞くのが猿酒よね。木の実なんかを発酵させて作るのでしょ」
「猿が酒作るの……あ、そんなんじゃなくて、コレ、缶ビール飲む?」
「ビール……飲んだことない。美味しい?」
「そうか、はじめは苦いかもな……あのさ、あんた大人だよな。未成年に酒飲ましたら面倒だからなぁ」
「人は二十年生きたら大人と聞いた。とっくに過ぎてる」
「なら、大丈夫だ。飲んでみな。ホラッ」
「ん、コレどうやって飲む?」
「かして、開けてあげる」
「うーん口の中シュワシュワとする。これ酒か?」
「あ、ソレ金沢さん用のドクペだっ、悪い間違えた」
「でも、甘くて美味しい」
「あ、このお茶、アヤに。もう一本。ドクペ買ってこなきゃ」
休憩。海が見える駐車場にて。
「オホーツク海。やっぱり岩手とは違う海ね」
「アヤ、シズカから、お茶」
「ありがとう。シズカさんは?」
「もう一本買いに行った」
「クッチャロ湖って屈斜路湖と似てるよね。クッチャロ湖の怪物はクッチャーとかいうのかな。屈斜路湖のクッシーは有名だよね。テレビで見た」
「屈斜路湖のクッシーって最近の名なのよね。あそこのは『くつくつ』だ、昔はそう呼んでた」
「ユイちゃん知ってるの」
「クッシーは怪物じゃないよ。ちょっと大きくなりすぎたウナギの妖怪なんだよ」
「そうなの。メモしとこー」
妖怪研究家の網切さんは、スマホにメモした。
くつくつの方か、妖怪ぽいっ。
「くつくつは、人に化けて、北海道中旅してまわってるんだ。だから、あまり湖にいないんだ」
「ユイさん、それは北海道では知られてるのかしら?」
「どうかな〜。他人に聞いたことないしー。今も何処か歩いてるらしいよ。黒いボロボロの服で歩いてるから不気味で人が近寄らないんだ。けど、親切にしてくれた人は幸せになると」
「なるほど……面白いわね。マリア、クルマに乗せてあげたらイイ事あるかもね」
「あら、あなたたちも乗せたら良い事あったわ」
「そうなんですかぁ。網切さんお仕事辞めたそうだし」
「それも、いいのよ。あのまま仕事してたら、私、壊れちゃたわ。辞める時、貴方たちとの妖怪談義思い出したの。ああ、私の仕事場はココじゃないと感じたわ」
「遠野で欲しい本見つけたって」
「それも良かったわ。貴方たちの地元だし」
「アヤ、その本屋はマカさんとこなんだよ」
「マカさん、あの店のご主人マカさんと。まさか、摩訶富仕義先生」
「そうよ、話さなかった?」
「聞いてないわ……。あの時、ナニか失礼なコト言わなかったかしら私」
「ちなみに、あの旅行雑誌のシズカはマカさんの姪っ子。ホント、世の中広いようでせまいよね」
つづく




