同行者が
76話 同行者が
旭川に着いて金沢さんと合流。
小型バスのようなクルマの三人は、なんとかっていうサークルで。
旭川の仲間を乗せて札幌へ行くそうだ。あの、UFOのおじさんも一緒に札幌へ。
「次は留萌へ向かおう。無理しないで近場からせめようよ。クルマなら、2時間かからない」
と、いうことで、早めの夕食とり、旭川では泊まらずに留萌を目指した。
「次のヒッチハイクは留萌から海沿いを行って稚内を目指そう」
「まあ、一気には行けないと思うから」
「地図を見ると海沿いに大きな都市はないね」
「冬じゃないから、凍え死ぬとかないだろう。ヤバかったらいつでも連絡もらえば、あたしらが迎えに行くから」
旭川を出る前に留萌の宿を予約して。向こうに着いたらすぐに寝れるようにした。
留萌。
早朝、クルマで街を出た。
わたちたちは、クルマから降りてヒッチハイクを。
「あの人間が居ない方が気楽だな」
「まあ、あんたとも自由に話せるしね」
「静、寂しかったか」
「なんでよ、醜女」
「よしなさいよ。もう」
「お腹すいたよ、アヤ。このあたりにはコンビニないか……と、留萌でパン買っておいた」
「それで静のカバン、そんなにふくれてたのか」
「おまえには、あげない」
「いらんわ」
「静ちゃん、前見て小さい子が歩いてるよ」
「ホントだ地元の子じゃない?」
「でも、大きなリュック。あたしたちみたいなヒッチハイカーかしら?」
「声かけてみよう」
わたしたちは、速歩きで前を歩いていた子に追いついた。
「こんにちは」
あっこの獣臭。
この子見た目は人間だけど。
「やあ、あんたナニ? タヌキやキツネじゃないよね。熊でも鹿でもない臭い」
目のクリっとした三編みおさげが可愛い。
左右に一本づつ三編をたらし女のコだけど、この獣臭と妖気。
人ではない。
「おねえちゃんたち、妖怪だね。でも、ケモノじゃないのは、わかるよ。ユイはモモンガだよ」
「モモンガって、ムササビの小さい?」
「山ではケモノ姿だけど里におりたら、こんな感じだよ」
「そうか、モモンガ妖怪か。噂では聞いてたけど会うのははじめてだ。あんたらは日本中どこにでも居るんだよね」
「昔はね、本州にたくさん。子供をおどかしたりして、楽しい頃もあったよ。人が増えてきたからね……」
「で、北海道に。河童さんたちも似たように海を渡って」
「おねえちゃんたちもかい」
「まあ少しはあってるけど。あたしたちは旅行を楽しんでるの。普段は岩手に住んでるの」
「ユイと同じだよ。ユイも旅してる」
「そうなの。でも、その姿じゃいろいろと大変だよね」
「ユイはいくつに見える?」
「そうだなぁ人間の十くらいかな」
「そうか、もともとユイは小さいから人になっても幼く見えるみたいだ」
「子供の一人旅は無理があるよ、もう少し背は伸びないの」
「そうか、じゃ」
「おい、伸び過ぎだよ。あたしより大きい。せめて、こっちのおねえさんくらいなら。童顔の大人のフリで」
わたし、そんなに童顔じゃないよね。
まあ、童顔の方だと。
「モモンガはユイと、いう名前」
「そうだ」
「ユイはあまり人間に化けたコトないのか」
「まあないかな」
「お尻に尻尾が有るぞ」
「ああ、ユイは化けるのはヘタで」
と、両手で引っ込めるような手つきをして、リスみたいな尻尾を消した。
最初はあまり堂々とたらしてたのでアクセサリーかと思った。
わたしくらいの身長になった、モモンガのユイちゃんも一緒にヒッチハイクを。
彼女歩いて旅するつもりだったらしい。
しかも無一文。夜は山の中で、食事も山の山菜や木の実を。
わたしたちよりビンボー旅だ。人間界じゃ街より山の方が安全だ。妖怪なら。
そんなわけで同行者が一人増えた。
つづく




