歩くオヤジ
71話 歩くオヤジ
美唄市から旭川へ向かうのにヒッチハイクを。
金沢さんはお先に旭川へ向かった。
「このコースはクルマがつかまれば早く着ける。また、カッパでもキツネでもつかまえてちょうだい」
「なにそれ。北海道の道は物の怪が走ってるの当たり前な言い方。まえのは偶然だから」
「あつ、来た……ダメだった」
それから、お昼近くまで一台も停まらない。
「今日はダメねぇ」
「どうも、こんにちは。ヒッチハイクですか」
大きなリュックを背負ったおじさんだ。
若そうだが、よくわからないタイプの顔だ。坊主頭に髭面だからよけいだ。
首に高そうなカメラをかけてる。自然とか撮るカメラマンかな?
「そうなんだけど、クルマがまったく停まらないのよね。オジさんも?」
「僕は、違うよ。歩いてます。次は旭川まで歩くつもりです」
「旭川まで歩くの。たしかクルマで一時間半くらいだと聞いたから、歩いたら……アヤ、どのくらい?」
「よくわからないけど三時間とか、もっと?」
「まあ歩き方や、なんやで違ってくる。途中で休んだりね」
「オジさん、あたしたちも少し歩いてみるよ」
「マジかよ~静。あたし、歩くの苦手」
「シズカ、若いんだから。クルマ来たらヒッチハイクは続けるから。歩こう」
って、オジさんの後を。オジさん歩くの早い。
「あのおっさん、早いなぁ人間かよ。静、クマかなんかじゃないよな」
「人だよ。そんなに物の怪が、うろちょろしてないわよ」
あつ、オジさんが止まった。
空にむかってカメラをかまえた。
「オジさん、ナニ? 鳥?」
「いや、アレは鳥じゃないな。見えるだろ黒くて細長いのがフラフラと」
黒くて細長い。もしや。
空を見上げると、やはり。わたしは静ちゃんを見た。
「スパイだ」
「何言ってんの静、スパイって」
「君はアレをスパイ船と見るのか。ゆらゆらと何処にでも向かうわけでもなく、ただ浮いているのは、人類を偵察してるのかもな」
と、オジさんはカメラのシャッターを何回も押す。
レンズが伸びた。望遠ってヤツ?
姐さん写されてる。
「あっ飛んでった。札幌の方角だな。キミらみんな見たよな。あ、僕実はこういう者だ」
オジさんはわたしたちに名刺をくれた。
UFO超常現象研究家内山田健太郎
そういう人なのか。
「ちょと前にあのタイプのUFOの話を聞いたんだ、まさか見れるとは」
「どこかで見たような人だと、あんたテレビに出てたよね。広告バルーンをUFOって」
「あれ、見たのか。いや〜アレね正体わかるまではUFOだったんだよ。テレビ局の力だね。我々が調べられないとこまで調べる。ある意味うらやましいよ」
「で、オジさん。やっぱ今のは」
「なんだろなぁ。あ、君。なんで、あれをスパイだと?」
「アレは妖怪だよ、人間を見て回るスパイみたいなモノなの」
「妖怪……言われてみれば長いヒラヒラ。アレは一反もめんかな? でも、黒かったなぁ」
「彼女、妖怪研究家なの」
「自称」
「ほうそれは面白い」
つづく




