津軽海峡のカモメ
58話 津軽海峡のカモメ
青森で一泊。
旅慣れしている金沢さんがキリストの墓で予約を入れていたので、宿に向かうだけだった。
マカさんチで一泊したから、その分宿代が浮いたからと宿代は出してくれた。
まあ取材旅行費は出版社から出るからと。
ホントに寝るだけで宿を出て。
牛丼のチェーン店で朝ごはんセットをコレも金沢さんたちの旅費からだからと。
わたしたちのビンボー旅には助かる。
「遠慮しないで、北海道取材もあなたたちのヒッチハイク記事に入るから」
「あのーわたしたちヒッチハイクしてないんですけど」
「気にしない気にしない。そこんところ別のヒッチハイクネタからもってきて、あたしが、うまく記事にするから。ただ、一緒に楽しんで」
「フェリーで海峡渡るわよ」
「津軽海峡だね。『津軽海峡冬景色』好きなのあたし」
「え、静は演歌好きなのか?」
「べつに。あの歌が好きなだけ」
「そーか。あたしも演歌嫌いだけど『天城越え』はカラオケで歌うよ」
「あ、歌は聞く方が多いかな得意ではないわ」
いや、けっこう歌うの好きだ静ちゃん。
津軽海峡横断フェリー上。
「実はあたし、本州から離れるの初めてなんだ。四国も九州も行ったことない」
「わたしも同じだよ。旅するのも千葉から遠野に移った時だけだったけど、静ちゃんとすごく久々に旅したよ」
「この頃いろんなトコ行ってさ、あたしが旅してたのは狭い範囲だったなぁと、わかったよ。ほぼ千葉県内だった」
そこへカモメが一羽寄ってきた。
「こんにちわ。妖怪さんたち」
「あんたも妖怪ね」
よく見ると目が人のような目だ。それに足が三本ある。
カモメは手すりにとまった。
「旅かな? どこから来たんだ? あんたは何妖怪だね?」
「質問が多いなぁ。その前にお前が名乗れよ」
裏アヤが、わたしの顔から声を出した。
口がわるいよ、あんた。
「二面女アヤカ」のマネをしてみたんだ。
静ちゃんはソレを気づいてたのかニコニコしてる。
「それは、悪かった。わたしゃ今はカモメだが、『海峡守りのツガル』だ。今はナニもしてないが、昔はこの海峡の主だった。暇なんで、あんたらのような人外の者らに話しかけてる」
「そうなんだ。あたしらは岩手の遠野から」
「遠野かぁ昔、河童が何匹か海峡わ渡ったね」
「本州から渡ったカッパもいたんだね」
「あたしらは旅行だよ」
「おーい静ぁ〜ビール飲む?!」
シズカさんが缶ビールを持って来たからか、カモメは飛び去った。
「今の、でっかいカモメだったね。あ、コレ飲んで」
「金沢さんは?」
「寝てる」
「運転大変だものね。シズカさんて、運転しないんですか?」
「あたしは、下手くそだから。金沢さんが嫌がるんだ」
「そうなんだ」
「それに運転すると好きな時に飲めないだろ。金沢さんは飲まないんだよ酒。一緒に飲めるあんたらと旅出来てちょっと嬉しいんだ」
「そう。あたしらビンボー旅だったから、お金の心配しなくていいのは嬉しいよ」
「鳥見たらさ、食べたくなっちゃたよ。売店で焼き鳥売ってたから行こう」
「つまみにいいねぇ行こ!」
二人は行ってしまった。
なんか、似てるんだよね性格が。見た目全然違うのに。あの二人しずか。
「おい、あんたらはナニ妖怪?」
カモメの海峡守りのツガルが戻った来て聞いた。
つづく




