親戚
55話 親戚
静とアヤが帰ってきた。
また、客を連れてだ。
今度は女、二人。
男よりマシだ。
「ねえ、なんであの二人向き合ったまま、だまってるの?」
「さぁ。わかりません? 金沢さん」
「なんでかしら?」
金沢さんの相棒のシズカさんとマカさんが会うなり。
「あっ!」
二人は同時に。
「わかった!」
「おまえ、一郎兄貴の……娘だよな」
「あんた、やっぱり。親父の弟。たしか、ニ郎叔父さん、和美叔母さん、三郎丸叔父さん、そして三四郎叔父さん。おバアちゃんの葬式に来なかった三四郎叔父さんだよね。たしか最後に見たのは中学生の頃のお正月」
え、シズカさんとマカさんは親戚だったの。
「ああ、そういえばマカさんの本名天野だよね。シズカと同じだった」
静ちゃんが、そうだ天野だった。
「摩訶富仕義先生はシズカの叔父さんだったのね。シズカ、叔父さんのペンネームくらい覚えてなさいよ。失礼よ」
「言ったじゃないか。興味なかったって。それに付き合いもなかったから、親父の弟が何処に住んでるかも知らなかったんだよ。曾祖父ちゃんが岩手だとは聞いてたけど……」
「シズカ、おまえもシズカか。そういえば、義姉さんがしずちゃんて呼んでたな。面白い偶然だな静」
「ナニが? たまたま同じ名前なだけじゃない」
「あのさ、このふたりおまえらの正体知ってんの?」
「知らないわ」
と、二人が小声で会話してるのを見てか。
「静、まさか叔父と、付き合ってるの?」
「マカさんとぉ。んな、わけないじゃない。あたしは……ただの」
「付き合っては、いない。はじめは店の客から、友だちになった。それだけだ」
「そうなの友だち……」
と、そこに。音が二階から。コレはもしや一反姐さん。
「ナニ、突然。二階からテレビの音かしら?」
「あ、タイマーかけてたんだ。止めてくる」
と、マカさんは、あわてて二階へ。やっぱり姐さんだ。
今度は。
「マカセンセ、静たち帰ったんだって」
インターホンも押さずにドアを開けて河ババァが入って来た。
「おや、お客さんかい。たけのこをもらったから、煮てやろうかい」
「あ、近所の河田のお婆ちゃんよ。よくマカさんチに来るの」
「こんにちは、お婆ちゃん。静ちゃんとアヤちゃんの友だちで金沢です。こっちはマカ先生の姪です」
「センセィの姪っ子さんかい。こりゃどーもセンセには、お世話になってます」
「あ、いや。叔父の方がお世話になってるみたいで」
はあぁ〜。
河ババァが見た目は普通の老婆で良かった。
河ババァもさすがだ。うまくやっている。
「マカセンセは? 静、台所借りると言っといてな」
多分、河ババァは、たけのこを煮に台所の方へ。
「なんか、婆さんの声がしたけど」
マカさんが降りてきた。
「河田のお婆ちゃんが、たけのこ煮るから台所へ」
「なんだか新婚の叔父さんチに来ちゃたみたいだなぁ。ホント、泊まってイイの」
「新婚って。あたしら帰るから、マカさんお願いします」
「ああ、メシ、食ってけよ」
「大丈夫よ、また明日ぁ」
「気をつけてな……」
「まさか、シズカがマカさんの姪とはねぇ」
「ホントに世の中広いようでせまいね」
「ほぉ~い。静ぁ」
「あ、姐さんだ」
「なんだか、また客連れて来たんだな。そうと知らずに茶の間に入ってテレビ、つけちまったよ」
「そうだと思ったよ」
「姐さん。まだ明るいから、あまり家に近寄らないで」
「で、どうだった旅は面白かったかい」
「まあね。美味しいたこ焼き食べたよ」
「たこ焼き。あたしゃ食べコトないんだ」
「そうなんだ。向こうの妖怪連中も美味いと」
「取り寄せ出来るとか、言ってたよ」
「ホント、そうかじゃマカに頼もう」
「来たら呼んでおくれ」
「あ、それからあたしら、明日からまた出かけるから」
「マカのトコの連中とかい」
「そう、彼女たちと北海道へ行くんだ」
つづく




