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取材

50話 取材


 上野に着いてすぐに電話が鳴った。


「あ、金沢さんだ。もーし。静だよ」


「カオリ&シズカのシーちゃんです。まだ東京?」


 なんでも二人は北海道へ取材にクルマで行くと。


 帰るのなら、遠野まで乗せてくれるそうだ。

 と、いうわけでイイタイミングだつたので。


 その日は夜に埼玉県の浦和で会い。

 二人の家に泊まり翌早朝に出発した。

 昨夜は残業で、すぐに寝たから話は車内で。


「北海道なら、飛行機でって思ったんだけど。実は二人に頼みがあるんだ」


「頼み? お金以外ならなんでも」


「逆よ。取材、受けてくれる。もちろん取材料出すわ少ないけど」



「美女ふたりヒッチハイク旅」


「そう。そういうのを旅雑誌でコーナーでね連載やる企画が……あたしのプランなんだけど」


「その美女って、あたしら? それ、有名な雑誌?」


「イヤ、あたいらがやるくらいだから三流誌」

「そんな事言ったら怒られるわよ。まあソコソコ知られた旅行誌だけどね」


「やっぱり写真撮るよね」


「そりゃまぁ『美女』とタイトル入れて顔出し無しじゃサギだろ」


「あんたたちの写真でもいいんじゃ」


「それこそサギだ」


「そうかなぁ二人共美人じゃない」


「そんなことないよ、あんたらには負けるよ。あんたらだから美女旅なんだ。映画女優なんか、普通使えないボンビー会社なんだから静に出てもらえば」


「パパラッチがうるさいから、あまり世間には出ないようにしてんの」


「なるほど、まえに言ってたかな。後ろ姿で読者の想像力あおるなんて、どうかしら」

「ソレも面白いな金沢さん」


「後ろ姿は、前よりNGなんだけど」


 基本髪で隠れてるふたりの秘密。

 撮影で万が一の場合があったら大変だ。


「後ろ姿NG? ま、いいや。そこんとこはイラストでも入れてうまくごまかしますか」


「イラストなら漫画家の知り合いがいますけど」


「アヤちゃん漫画家の知り合いがいるの」


「ほぼ無名の。『二面少女アヤカ』って知ってます?」


「あ、ソレ深夜にやってたヤツね。見てたんだ。ちょうど残業から帰るとやってて。けっこうスケベなやつよね。アヤちゃんも好きなんだ」


「原作漫画はもっとエロいよなアヤ。東京で見たんだ」


「そうなの。今度ネットで見てみよ。その漫画家?」


「いえ、その漫画家のアシスタントです」

「でも、その漫画家に、ヒッチハイクで乗せてもらった縁で……」

 

「そういうのもネタになるわ。外国人がヒッチハイクして、日本人にご飯食べさせてもらっただけでテレビのネタになるんだから。美女なら、もっと面白いコトあったわよね」


「まあ漫画家なんて、普通よ。夜にヒッチハイクしてると、いろんな変なのにも会うわ」


 なんだか、もう取材うけてない静ちゃん。


「やっぱ、『怖い話』とかもあったの?」


「怖い……ないと思うけど、変な男たちに襲われたわね。はじめのヒッチハイクで。怖いというか悪い奴らね」


「やっぱ危険な事もあったのね……」


 前の鏡で見えた。シズカさんの顔と声が変わった。


「危険……なにもなかったよ。そんなの。あたしたち、見た目より強いんだ。のして河に流してやったわ」


「河に流した?」


 河ババァのおみやげのコトね。


「まあこうしてココに無事で居るんだから問題ないのね……」


「まあ、お礼もしたいし。取材うけるわ」


「ありがたい。やったね金沢さん」

「シズカの企画がとおるの珍しいのよ。この前お化け見たから、『お化け五十三次』とか、『東京百鬼夜行』とか。霊感とか、ないのに、そんなプラン出して」


「ソレは金沢さんの知り合いに頼んでみようって。これからの季節いいネタじゃん」


「それだったら、連絡くれれば。あたし自称妖怪研究家なんだけど。お化け見たってどんな?」


「マジですか静は妖怪研究家なのか。ああ、この前の遠野の帰り。ヒッチハイクお化けを」


「よく聞く幽霊がヒッチハイクしてたってやつ? 停めたら誰もいないとか、いつの間にか乗ってたとか?」

「わたしも知ってる。消えた後は座席がびっしょり濡れてたとか……」


「ああ、そういうのじゃないんだよね、金沢さん。見たのは『おんぶお化け』」


「おんぶお化け」


              つづく

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